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北海道のお土産から球団、映画コラボレーションまで、ハンドメイドガラスジュエリーノースワン成長の軌跡

ノースワングラスジュエリ


毎月10,000件のショップがお商売を始めているSTORESには、個性豊かなショップオーナー様がたくさんいらっしゃいます。

今回は、北海道千歳市でガラスジュエリーを販売するノースワン株式会社の代表前原さんとデザイナー伊藤さんにお話を伺いました。

北海道の思い出をお土産に

 ーノースワングラスジュエリーを始めたきっかけを教えてもらえますか?

 

前原さん:2013年に会社を辞めて、独立しました。「インバウンド」という言葉が出てきた頃で、北海道には台湾、中国、韓国、タイ、オーストラリアなどから観光客がたくさん来始めた時期でした。これからは観光黄金期で、ビジネスチャンスだと思っていた時に、たまたまガラス職人の方と出会いました。

 

北海道のお土産といえば食べ物ばかりなんですよね。でも、食べ物は食べたらなくなってしまうので、北海道の思い出として持って帰れて、普段から使えるものを作りたいなと。

 

北海道で何よりも価値があるものは、自然なんですよ。山、湖、動物、空、花、そういった素晴らしい景色をデザインしたガラスのアクセサリーができないかと、デザイナーの伊藤に相談しました。

 

ノースワングラスジュエリー2

 

 

ー伊藤さんは元々アクセサリーのデザインをされていたのでしょうか?

 

伊藤さん:前職はTV局向けのソフトウェアをデザインしていました。ソフトウェアのUI/UX、テロップのデザインなどですね。でも、デザインって対象が何であっても変わらないと思っていて。何か作るものがあって、作る人がいて、そのできたものをかっこいいな、買ってよかったなと思ってもらえるようにするのが僕の仕事だと思っています。

 

前原さん:商品ももちろんですが、ブランディングに力を入れています。商品そのものがかっこいい、オシャレだけじゃなく、その商品の背景にあるストーリー、何を伝えたいと思っているのか、商品の見た目だけじゃなく、付加価値をつけるためのコンセプト作りが大変なんですよ。

 

伊藤さん:僕は面白いなと思いながらやっていました。TV局の最先端の機械が好きな方たちがお客さんだったのが、今は女性向けのきらびやかなものをデザインしている。もし、前原が出会ったのがガラス職人じゃなければ、違ったものをデザインしていたかもしれません(笑)。

 

ー本当にたまたまガラス職人の方に出会ったんですか?

 

前原さん:そう。会社を辞めて、はじめはアイス屋さんを始めたんですけど、全然うまくいかなくて。やばいなと思った時に、ガラス職人に出会ったんです。ガラス職人さんがいて、デザインができる伊藤がいて、僕がいて。やってみようかとなりました。

 

ターゲット層は、結婚して、子どもはいるけどもう手がかからないくらい大きくて、可処分所得がある、40代〜60代までのオシャレな女性。そんな方はきっと北海道に来てもお土産として民芸品は買わないだろうから、ニーズがあると想像して、きっと喜んでもらえるんじゃないかと思って、形にしました。

 

ー商品ができて、これは売れる!と思ったきっかけはありましたか?

 

前原さん:最初ね、路上で販売してたんですよ。札幌駅前地下歩行空間で。売れるかなぁとどうかなぁとやり始めたら、売れたの。1日100個も。

 

ノースワングラスジュエリー3

 

ーすごい!お客様は観光客の方だったんですか?

 

前原さん:観光客も、北海道在住の方も、両方いましたね。これ、売れるね、悪くないねって。そこで、8ヶ月間やったんですよ。

 

ー8ヶ月間も路上で販売されてたんですか?

 

前原さん:対面販売すると、お客様の声が聞けるじゃないですか。商品を買うのは女性なのか、男性なのか、子どもがほしがるのか。何が売れて、何が売れないのかがよくわかりましたね。

 

ーその後は?

 

前原さん:路上での販売はあくまでもマーケティング。次は対面販売ではなく、接客なしで販売したいと思ったんです。

 

北海道に来て、北海道の思い出の商品を買いたい人はどこにいるかと考えると、リゾートホテルだった。ノースワングラスジュエリーはだいたい1個2,500円、1泊6,000円のホテルに置いても売れないだろうと。1泊1万円以上のホテルに置いたらどうなるかを試そうと思いました。

 

会社は千歳市にあるんですが、千歳市に鶴雅リゾートというリゾートホテルグループの道南本部が支笏湖にあって。しこつ湖鶴雅リゾートスパ 水の謌というホテルの売店で販売したいと提案したら、OKが出ました。

 

ーすごいですね。

 

伊藤さん:前原は敏腕営業マンなんです。

 

前原さん:せっかくホテルで販売するんだからと、特注のアクセサリー販売用什器を伊藤にデザインしてもらいました。

 

ノースワングラスジュエリー4

 

伊藤さん:売店の入り口に置いてもらえたんですよ。

 

前原さん:販売し始めたら好評で「前原さん、これがなかったら今月の売上厳しかったです」とホテルの売店スタッフの方が喜んでくれました。リゾートホテルグループなので、横に広がって、他の系列ホテルでの販売が決まっていきました。

 

ー今も色んなホテルで販売されていますよね。

 

前原さん:そうですね、誰もが知る有名ホテルからも販売してほしいと声がかかるようになりました。星野リゾートトマムもですね。

 

星野リゾートトマムは、雲海テラスという雲を上から見渡せる壮大で幻想的な景色が名物の展望台があり、絶景ポイントだった。ならば、アクセサリーも雲海を表現したモデル作ってみようと。今までは北海道の自然や動物など、特定地域に絞らなかったのを、トマムの雲海や洞爺湖みたいなエリア限定のモデルを作るようになりました。

 

伊藤さん:限定モデルをデザインする度に、現地に行きました。限定モデルは販売店舗も限られていて、その場所に行かないと買えません。通販でも販売してないんです。

 

お客様の声から生まれたコラボレーションモデル

ー雪ミクやプロ野球球団とのコラボレーションモデルもありますよね。

 

伊藤さん:始まりは北海道大学とのコラボレーションでした。北海道大学のグッズ企画担当者の方と知り合い、OG向けの大学グッズを作れないかと相談を受けて、OEMが始まりました。

 

今までは、ノースワングラスジュエリーのラインナップに限定モデルを追加して、シリーズで展開していたのですが、北海道大学では生協での販売で、他のラインナップはなく2種類だけの販売でした。売れるのかと不安だったのですが、3月に販売を始めて翌月には完売しました。

 

卒業式で卒業される方や、入学式で入学されたお子さんのお母様が買っていかれたようで。びっくりしましたね。

 

ノースワングラスジュエリー5


 

 

伊藤さん:北大の校章のモチーフでもあるエンレイソウをイメージしたデザインで、当時は北海道新聞にも取り上げていただきました。

 

他にもコラボレーションモデルができるんじゃないかと思い、北海道日本ハムファイターズにメールを送ってみたんです。「北海道のブランドとのコラボシリーズがあるので、やってみませんか」と連絡をもらって。

 

まだまだ知名度は低いのに、採用してくれるんだと驚きました。コラボモデルを販売したら、先方からニュースリリースを出していただいて、また新聞に取り上げていただきました。こちらも初回はすぐに売り切れましたね。

 

ー雪ミクとのコラボレーションも同じような流れで始まったんでしょうか?

 

ノースワングラスジュエリー6

 

伊藤さん:これはたまたまなんですが…前職にいる時に、初音ミクがグッドデザイン賞を受賞したというブログを見て、僕もグッドデザイン賞に応募したんですよ。そしたら、賞をもらって。ブログがきっかけで賞に応募したので、お礼の連絡をしたら初音ミクをプロデュースするクリプトン・フューチャー・メディアさんと仲良くなりました。

 

ノースワンに入って、Twitterでノースワングラスジュエリーのエゴサーチをしていたら、こんな投稿を見つけて。

 

 

そういえば初音ミクの会社知ってるぞと思って、お声がけしたら、やらせていただくことになりました。ツイートしてくれていた方に御礼のDMを送ったら、「投稿していいですか?」と聞かれて、一連の流れをまたツイートしてくれたんです。

 


ーめっちゃいい話じゃないですか!

 

前原さん:SNSが勝手にノースワングラスジュエリーの知名度をあげてくれて、北海道に来たら…というブランドになってきましたね。

 

OEMの体制が整ってきたので、昨年は展示会に出展しました。色んな企業と出会いがあり、東宝さんとお仕事をさせていただくことになりました。

 

2019年1月18日(金)公開『映画刀剣乱舞-継承-』Blu-ray&DVD豪華版のTOHO animation STORE 限定版に、作中に出てくる桜吹雪をモチーフにしたグラスジュエリーをつけて販売したところ、多くのご注文を頂いたそうです。

 

伊藤さん:Twitterでお客様の声を拾っていたのですが、ファンのみなさんが喜んで買っていただいているようで嬉しかったですね。

 

前原さん:お土産から始まった商品でしたが、プレゼントとしての需要、ファングッズとして、好きなチームや作品のものを身につけたいという需要も捉えられるようになりました。

 

ー素晴らしい成長ですね。販売数も年々伸びていると思うのですが、どうやって作っているのでしょうか?

 

伊藤さん:ガラス職人さんの工房で、何人かで手作りされていますね。1ヶ月に何千個と販売するようになったので、当初の人数じゃ間に合わなくて。作り手が1人だと、「作家の◯◯さん」が作っていることが価値になってしまって、ボリュームが担保できない。それだと、ブランドとして成り立ちません。

 

生産はガラス職人さんの技法を伝承していただき、検査などの業務はアルバイトでもできるような手法に変えました。

 

ー職人さんの工房も拡大したんですか?

 

伊藤さん:はじめは1人、2人だったのですが、今は何人いるんだろう?拡大しましたね。

 

前原さん:検査の仕事は近所のお母さんたちが喜んでくれていますね。自宅でできる仕事をお願いしているので、子育てや家事の合間にやっていただいてます。もっと仕事ないの?と言われています(笑)。

 

路面店としてネットショップを構える

 

ーホテルでの販売に加えて、なぜネットショップを始めようと思ったのでしょうか?

 

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前原さん:その場で商品を買っていただく方もいますが、悩んで買わずに帰る方もいるんじゃないかと思いました。また、プレゼントで複数買われているのを見て、ギフト需要に応えるためにもネットショップを立ち上げた方がいいなと。

 

伊藤さん:北海道のお土産として販売しているのに、ネットショップでも買えるというのは賛否両論ありましたね。でも、先に買ってもらって、北海道につけてきていただくのもいいなと。

 

ーなぜSTORESを選ばれたのでしょうか?

 

前原さん:ノースワングラスジュエリーは商品のストーリーやコンセプトがあって、ブランディングに力を入れてます。モール型のECだと、そのお店で買ったというよりも、モールで買ったという印象が残りませんか?

 

ネット上だけど路面店として店を構えたいと思ったので、STORESにしました。

 

伊藤さん:いちからECサイトを作るのにはお金も労力もかかりますよね。STORESは、使いやすそうだと感じました。自社サイトがあったので、購入ボタンをつけられるのもよかったです。

 

ーネットショップの運営で苦労していることはありますか?

 

伊藤さん:以前はお問い合わせの度にメールを検索して、購入されたお客様なのかを調べていました。今は顧客管理機能ができたので、過去に買ったお客様かがわかりやすくなりましたね。

 

ーリピーターの方が多いのでしょうか?

 

伊藤さん:新作が出る度に購入いただいているお客様もいます。あと、プレゼント用にと1度に複数個買われる方が多いんですよ。価格帯とネックレスがワンサイズなのでプレゼントしやすいんだと思います。

 

ネットショップではオーガンジーの袋に入れて、紙袋も同梱しています。クリスマス、ホワイトデーは男性の注文が多かったですね。あと、意外と軽いんですよ。

 

ー本当だ、めっちゃ軽いですね。

 

伊藤さん:普段はネックレスをつけないけど、これは軽いし、つけやすい、と買ってくれる方もいますね。

 

写真で見るよりも実物の方がきれいだと言ってもらえるんです。ガラスのキラキラ感は実物の方が伝わるので、届いた後の満足度が高いようです。レビューのコメントも嬉しいご意見が多いです。

 

ーノースワングラスジュエリーのファンの方がいらっしゃるんですね!
今後、挑戦したいことはありますか?

 

前原さん:ガラスだけをずっとやります、みたいなことはないですね。ノースワンの特性を活かせると思えば、新しい何かを始めたいと思います。実は今も色んなことにチャレンジしてます、うまくいってるものといってないものがありますけどね。

 

ー最後に、これからお商売をはじめる方にアドバイスをいただけますか?

 

前原さん:リスクはとらないといけません。リスクをとらないと明るい未来はないですね。安全な道においしいものはない、険しい道にいきなさい。険しい方、難しい方に成功という道はあります。チャレンジすると言うことは必ず、失敗はつきもの。失敗を恐れずチャレンジする、失敗は成功の為に必要不可欠な経験です。「失敗は成功の素」と言いますが、その前に「失敗は成長の素」ですから。

 

ネット通販に関していうと、商材によって違うと思いますが、数年やってやっとコツを掴んできました。でも、一筋縄ではいかないです。ただ始めただけでは売れません。売れるためのチャレンジと努力をしないと。

 

ーその通りだと思います。本日はありがとうございました!

 

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文:STORES Magazine編集部
写真:ノースワン株式会社提供
 
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