今や多くの飲食店があり、競争が激化しています。どのようにお客さまを呼べばいいのか、悩んでいるオーナーや店長さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは飲食店における集客課題や効果的な飲食店の集客方法についてご紹介していきます。
飲食店の集客方法を考える上で考えるべきこと
飲食店といっても、居酒屋やカフェ、定食屋など、いわゆる食事をメインで提供することを主軸に置いている店舗もあれば、バーやビアホール、さらにはキャバクラなども飲食店に分類されます。それらの飲食業全体の事業所数を合計すると、小売業などと比べても非常に多くなっています。
さらに、飲食店の競合にもなり得るスーパーやコンビニエンスストアなどの中食産業を含めると、ライバルは非常に多いと言えるでしょう。また、日本の人口は減少の一途をたどっており、うまく経営できない飲食店はさらに淘汰されていくと見込まれます。
一方で、インバウンド政策がうまくいっていることもあり、観光やビジネス目的の外国人の外食需要は伸びつつあります。そのような飲食店をめぐる激しい状況の変化に対応していくためにも、今まで以上に効果的な集客施策を実行していく必要があります。
店舗への集客の際に気を付けること
店舗への“集客”といわれると、チラシを配ったり、フェイスブックなどのSNSに投稿したり、「とりあえず宣伝すれば大丈夫だろう」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、やみくもに宣伝すれば飲食店に集客できるような時代ではありません。集客するためには、自分の店はどのような特徴があるのか、どんな顧客に好まれるのか、他の店舗に勝てるものはないのか、どんなメッセージであれば顧客に響くのか。飲食店ならではの集客課題をふまえて、戦略を考えなければなりません。
その上でどのような店舗に関する集客手法がベストなのかを選別し、実行していく必要があります。具体的な施策の選別に入る前に、まずは集客戦略を考えることが大事となります。
ここではその集客戦略の立て方から、デジタル・アナログ双方の具体的な飲食店の集客方法やその特徴などについてご紹介していきます。
飲食店の集客戦略とは?
まずは自分の店舗に必要な集客戦略を考えていきましょう。そのためには、顧客のニーズを理解することが大事となります。
たとえば、オーナーや店長は「自分たちが提供する料理がおいしいからお客さまは来てくださる」と思っている飲食店があるとします。しかし、実際にはお客さまは料理のボリューム、つまり量が多くて満足できるから、という理由で来ている場合もあります。
そのように店舗側が思っているセールスポイントと顧客が来店する理由がズレているケースがあるのです。つまり、オーナーや店長が自分たちお店の強みをしっかりと捉えきれていないのです。
このような状態では、「うちの店は味が自慢です」という謳い文句だけで宣伝しても、効果を最大化することはできないかもしれません。それよりも、「うちはボリュームが多くて、味も良し。コスパが抜群です」と伝えた方が、顧客の納得度も高まり、口コミなどでも広がりやすいかもしれません。
自分たちの現状把握、つまり、店舗の強みをしっかりと把握することが大事です。レストランや居酒屋の集客など、それぞれで最善な策を講じるためにも、顧客にどこがいいのかストレートに聞くのが一番です。まずはそこから始めてみましょう。
その1:コンセプト立案とブランディング
顧客に自分たちの強みをヒアリングしていくと、どのような点が他の店と比べて選ばれる理由なのかが分かってくると思います。それらを集約した上で、次に取り掛かるのが店舗のコンセプトを決めることです。
顧客は何を目的に来店し、他の店舗では得られないどんな良いことを提供できるのか、といった店舗のポジションを定めていくのです。「うちのお店は、こういうニーズのある方が利用するお店です」ということを自分たちで理解できていないと、宣伝するメッセージも明確になりません。
また、コンセプトを立てながら、お店にどんなブランドイメージを付けるか、という視点を持っておくことも重要です。たとえば「焼き鳥といえば、○○」というように、お客さまの会話の中で真っ先に名前があがること。そのように第一想起されるようになることが、良いブランドが付いた状態と言えます。
ブランディングがうまくできれば、店舗としての価値が高まり、顧客から選ばれやすい状態が作れます。いきなりは難しいかもしれませんが、目指すべきブランドイメージを持ち続けて店舗へ集客していくことが大事となります。そうすることで、宣伝文句などのメッセージにも統一感が生まれ、顧客の認知度も深まります。
その2:ネーミングを工夫しよう
顧客のニーズを把握したり、コンセプトを決めていく中で、細かい点にまで気を配っておくことも重要です。特にすぐに実践しやすいのが、メニューのネーミングを工夫することです。
たとえば「○○農園の朝採れ野菜を使ったパリパリサラダ」と「グリーンサラダ」だったら、どちらが美味しそうに見えるでしょうか。せっかく良い素材を使っているにもかかわらず、その良さを伝えきれていないのはもったいないと言えるでしょう。産地やこだわりを入れるのは、居酒屋などでの集客手法として有効です。
また中華であれば「パラパラチャーハン」としてみたり、レストランでの集客力を高めるために「ふわとろオムライス」と表現しているお店も多くあります。このように五感を意識させる表現を使うことも大事です。
メニューのネーミングによっても、お店のイメージが作られていきます。なお、これらもコンセプトや目指したいブランド像に基づいてメニュー名を付けていくことが重要となります。
その3:目玉となるメニューを作ろう
ネーミングと同様に、“仕掛け”としてオススメしたいのが目玉商品を作ることです。思わず驚いてしまうような、口コミやSNSで話題にしたくなるようなメニューを作っていきましょう。見た目のインパクトがすごいもの、特に大きなものがよいと思います。
たとえば、「デカ盛りカレー」でレストランの集客力を高めたり、「タワーに見立てて積み上げた唐揚げの盛り合わせ」で居酒屋の集客力を高めたり、その他にも「ジャンボお好み焼き」「エベレスト盛りそば」「一升チャーハン」「バケツ入りラーメン」「超巨大パフェ」など、SNSで写真に撮ったら話題になりそうなものであれば、一気に広まる可能性も高く、お店の名前を広めていく“飛び道具”になります。
その4:リスク対策をする
しっかりと店舗へ集客したり、ブランディングしていたとしても、突発的に発生するリスクによってそれが台無しになってしまうこともあります。
特に飲食店において、最も神経をとがらせるのが食中毒です。もし発生してしまえば営業停止になるだけでなく、全国ニュースやSNSでもその情報が広まり、すぐに評判が落ちてしまいます。せっかく築き上げたブランドも一気に崩れてしまいます。
また、地震や洪水などの自然災害によって、営業停止になったり、店舗が倒壊してしまう可能性もあります。これらのリスクに備え、事が起こったときにいち早く事業を再開させるためにも、しっかりとBCP(事業継続計画)を作成しておくことが大事です。
たとえば、電気やガス、水道が止まっていたとしても、常温保存できるストック食材を使って、弱い火力でも作れるメニューを1~2種類提供する。そのような計画を記載し、マニュアルとして従業員に事前に共有しておくなど、万が一の備えを十分にしておくことも大切となります。
[飲食店の集客方法 その1] デジタル手法
現在はインターネットを活用した様々な集客手法があります。飲食店においては、どのような方法が効果的なのか、詳しくご紹介したいと思います。
その1:ホームページ
公式サイトやWebサイトとも言われますが、営業時間やアクセスなどの店舗の基本情報をはじめ、写真付きのメニュー紹介など、コンテンツを充実させることが大事となります。内容が薄ければ、いくら他の広告で誘導してきてもすぐに離脱してしまいます。
また、SNSやWeb広告などを経由してホームページを訪れる方も多く、いわば集客の要にもなります。そのため、先に立案したコンセプトやブランドに基づいて、統一された世界観を意識したデザインにすることも大事となります。
高級レストランで集客を図るのであればラグジュアリーな雰囲気にしたり、安さをウリにした居酒屋の集客を図るのであればカジュアルで親しみやすいテイストにするなど、業態や店舗のポジションによって見せ方を工夫していきましょう。
その2:ブログ
ホームページを作るにはサーバのレンタル費用なども発生するため、まずは無料のブログから始めるのも一つの手です。
店長やスタッフなどの日々の様子など、気軽に投稿できます。アメブロなど様々なものがありますが、利用規約をしっかりと確認しておくことが大切です。
商用目的ではなく、日記など利益を目的としない情報の発信でなければ認められないものもあります。
その3:Facebook
Facebookページを作ることで、集客に役立てることができます。ビジネスアカウントを取って店舗のビジネスページとして運用していきます。新しいメニューの紹介やスタッフの声などを投稿し、フォロワー数(ファン)を増やしていきます。
ただ、これも開設しただけで終わらせてはいけません。世の中にはほとんど投稿されず、放置されているものも多くみられます。興味を持ってFacebookページを開いてみたものの、数年前で投稿が止まっている…。その状態を見たユーザの中には不信感を抱いてしまう人もいます。
そうならないように、社内で専任者を置くか、もしくは外部の専門業者に運用を委託するとよいでしょう。
その4:Twitter
タイムリーにお店の口コミを拡散させたいなら、ツイッターが向いています。特に若年層のユーザが多いツイッターでは、若者をターゲットとした店舗の集客に適しています。
リアルタイムで投稿することができるので、空席情報などをこまめに発信することで、集客につなげることができます。
その5:Instagram
ビジュアルでの訴求力が高いインスタグラムは、メニューや店内を写真でアピールするのに向いています。インスタ映えしそうなものであれば好感度が高くなるでしょう。
特に20代~30代の女性ユーザに多く利用されているため、女性をメインターゲットにしている飲食店ではあれば必ず活用したいところです。
レストランの集客においても、居酒屋の集客においても、スイーツなどの女性の人気が高いメニューは見栄え良く撮影し、積極的に投稿していきましょう。
その6:メルマガ
顧客とやり取りをする仕組みとしてはSNSが主流になっていますが、メルマガもまだまだ飲食店の集客方法としては有効活用できます。
SNSの場合はユーザから訪れてもらうことで情報を見てもらう形になりますが、メルマガの場合はお店からのアプローチ、つまり、プッシュ型での情報発信になります。
たとえば、キャンペーンの日程に合わせて計画的にメールを配信したり、新作メニューや割引情報などを伝えることでも集客していくことができます。
その7:ウェブ広告
ウェブ広告といっても、実に様々なものがあります。検索エンジンで検索した際にページの上位などに表示されるリスティング広告、SNSにおいては、友達の投稿が掲載されるフィード上に表示されるフェイスブック広告やインスタグラム広告などがあります。
ユーザの年齢や性別、趣味趣向などでセグメントした形で広告を出稿することができ、戦略的な集客を行うことができます。
その8:その他の集客ツール
その他にも、ぐるなびや食べログなどのグルメ情報サイトに掲載したり、店舗向けスマホアプリを活用することもできます。スマホアプリはユーザに専用のアプリをダウンロードしてもらい、アプリ上で空席情報を調べることができたり、メッセージのやり取りもできるようになっています。
[飲食店の集客方法 その2] アナログ手法
古くからある看板やチラシなど、インターネットを使わない集客手法においても様々なものがあります。効果が見込めるものもあるので、こちらもご紹介したいと思います。
その1:看板
お店の前を歩いている人や車で通りがかっている人に、直接的に働きかけるものになります。たとえば看板の出ていないお店に入ってみたい、という方は少ないのではないでしょうか。
看板がある店舗と無い店舗では入店率も大きく変わってきます。店名だけでなく、どんな特徴のお店なのかを明示することも大事です。またインパクトのあるものなど、看板の写真をSNSにアップしてもらうことを意識したデザインなども有効でしょう。
その2:クーポン・スタンプカード
クーポンなども飲食店の集客方法としては有効です。たとえば単に割引を謳うだけでなく、「お一人様割」「○○という名前の方限定割引」など、特徴的なクーポンを発行することも話題作りに最適です。単に安くして来てもらうことだけを考えるのではなく、特徴付けをして話題性を狙うことで集客効果を高めます。
また再来店を促すスタンプカードも、リピーターの集客には欠かせません。効果を高めるためには、3回スタンプを押してもらったらクーポンなどの特典を付けることです。
特典までの道のりが長い場合、リピート効果が得られません。できるだけ早くお得感を抱いてもらうことで、その後の固定客の増加につなげていきます。
その3:チラシ
チラシは地域を絞って効率的に配布できるため、地元のお客様にリピーターとなってもらいたいときに効果的です。新聞の折り込みチラシをはじめ、ポスティングサービスをしている会社などに依頼することができます。
たとえば、チラシを持参された方へのご来店特典の情報を掲載するなど、効果を最大化していきましょう。
その4:ウェルカムボード
最近、カフェやレストランの集客目的として、入り口などに黒板を使ったウェルカムボードが置かれています。メニューを書くだけでなく、お店からのメッセージやイラストも掲載するなど、温かみのある雰囲気を演出できます。
なるべく人目に付くところに設置して、集客効果を狙いましょう。
その5:店頭演出
のぼり旗やタペストリーなど、店頭での演出も重要です。ひと目で何のお店なのか分かりやすく、カラフルなものはそれだけで目を引きます。
遠くからも見えるので、車通りの多い郊外型店舗においても有効かつ直接的な集客方法となります。
その6:情報誌出稿
クーポン紙などのフリーペーパーやタウン誌などがあります。いずれも地域に根差した媒体であり、エリア内ではある程度の立ち位置を築いていることもあり、店舗の集客としての有効です。
また、プロのカメラマンが撮影したシズル感のあるメニューの写真を掲載してくれる可能性もあるので、ブランディングとしての効果がある媒体もあります。
無料の場合と有料の場合があるので、それぞれの媒体価値を確認した上で利用を検討してみましょう。
まとめ: 自分の飲食店にあった集客方法を実践しよう
いかがでしたでしょうか。飲食店の最適な集客方法などをご紹介してきましたが、大切なのは自分のお店を客観的に見てみることです。
それによって飲食店としての集客課題が分かり、おのずとコンセプトや目指したいブランドイメージ、具体的な宣伝メッセージ、集客方法などが見えてくるのではないでしょうか。
レストランや居酒屋の集客方法、バーやカフェの集客方法など、業態によって最適な集客方法が変わってきますし、コンセプトによっても違ってきます。地道に戦略を立て、様々な集客手法を試みながら、改善をしていく。そのような繰り返しがあってこそ、お客様から選ばれる飲食店となり、“名店”というブランドを手に入れることができるのかもしれません。
まずはご自身の飲食店にあった集客手法を取り入れながら、売上を伸ばしていきましょう。