データ分析は店舗の販売を効率化させるために必要な作業です。しかし、データ分析で行う内容についてよくわからない方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、データ分析の概要をはじめ方法の種類や事例などを解説します。データ分析に関する資格も紹介しているので、気になる方は取得を検討してみてください。
そもそもデータ分析とは?
自分の経験や知識を活かして、売れ行きにあった仕入れを行い、商品の消化率や回転率を高めて、利益額を向上させている方もいることでしょう。ただし、店舗の運営スタッフによってスキルは異なり、すべての人が適切な販売ができるとは限りません。
仮に一人のスタッフに販売の運営を依存してしまえば、病欠や退職などの要因によって店舗の売り上げや利益が縮小してしまうこともあるでしょう。したがって、過去の経験や知識だけでなく誰しもが安定的な販売利益を上げられる仕組みを整えておくことが大切です。
そこで基本となるのがデータ分析です。データ分析とは、目的に応じて集めた数値を分類・整理・成形・選択し、価値のある意味を見出す作業です。バラツキのあるデータであったとしても、数学的な手法を用いることで数値的な性質や規則性が見えてくることがあります。
近年は、IT技術が進歩し膨大なデータを蓄積・高速処理できるようになりました。店舗運営においてもデータ分析に注力することで、販売に関して有用な情報を導けるかもしれません。
また、データ分析の方法をルール化することで、個人の能力に依存しない販売体制を構築しやすくなるといえます。安定した販売を行いたいのであればデータ分析について理解を深めておくことをおすすめします。
販売に役立つデータ分析の種類
データ分析にはさまざまな種類があり、役目や導き出せる結果も異なります。販売に関連する代表的な分析方法を確認してみましょう。
データ分析方法1.クロス集計
クロス集計は、特定の2つないし3つの情報に限定してデータを分析する方法です。
縦軸と横軸に項目を割り振り、動的な変化を視覚的にわかりやすく表現します。項目同士の相互関係を明らかにすることが可能です。
同じ属性の顧客が好む商品を把握するのにも役立ち、仕入れや新商品の販売予測を立てる際にも利用できます。
データ分析方法2.商品カテゴリー分析
商品カテゴリー分析は、アイテムの売れ筋把握や商品の売れ行き予測を目的とするデータ分析方法です。具体的には、消費者のデータをもとに顧客が商品をどのようにカテゴライズしているかを分析します。
同じカテゴリーに属するアイテムを同じ棚に陳列することで、売上を高めることができるでしょう。
データ分析方法3.アソシエーション分析
アソシエーション分析は、ビックデータにもとづいて商品やサービスの相関関係を導き出すデータ分析です。一見関連がないように見える項目でも隠れた関連性を発見できます。ECサイトのレコメンドエンジンでもアソシエーション分析が活用されています。
データ分析の事例
データ分析によって企業が独自の課題を解決した事例はさまざまあります。データ分析の効果がわかる事例を2つ紹介します。
データ分析事例1.全日本食品株式会社
全日本食品株式会社は、小売業の流通を支える国内最大級のボランタリーチェーンです。同社は加盟店向けに顧客の購買履歴に応じた販売促進サービスを導入していました。
しかし、膨大なデータをうまく活用しきれていない課題があり、レシートデータをフル活用できる分析基盤を構築しました。
ビッグデータを高速に処理することで、顧客の購買行動を詳細にデータ分析し、販促活動をさらに効率化することに成功しています。
データ分析事例2.キリンビジネスシステム株式会社
キリンビジネスシステム株式会社は、キリングループの情報機能会社としてITソリューションを提供している企業です。
キリンビジネスシステム株式会社では、SQL(データ分析の際に役立つデータベース言語)のスキルを保有した一部の社員しか販売実績データを抽出できないという課題がありました。抽出だけでなく加工処理の実施や変更にも時間がかかり、需要の変化に対応しにくい環境だったようです。
対策として、誰でもデータを分析できる帳票アプリケーションを開発しました。販売実績データを分析することで、営業戦略に適したアクションが行えるようになったとのことです。
データ分析に役立つExcel(エクセル)とは?
顧客や販売データを分析するのに役立つのがExcel(エクセル)です。Excelとは、Microsoft社が開発・販売している表計算ソフトです。入力した数値データをもとに表やグラフを作成できます。
関数という機能を利用することで、データの数値を合計したり、最大値や最小値を抽出したりすることも可能です。
ただ、Excelを使い慣れていない人であれば、データ分析をどのように行えばよいのかわからない方もいるでしょう。そんなときに役立つ機能がアイデア機能です。AIがデータを自動的に分析して、最適な表やグラフを提案してくれます。
利用する手順は簡単です。表が記載されているシートを表示して、ホームタブからアイデアボタンをクリックするだけです。実行されると表全体が自動的に選択されて、データ分析が始まります。最終的に画面の右側に作業ウィンドウが展開され、Excelが行った分析結果が表やグラフとして表示されます。すべてのアイデアを確認したい場合は、作業ウィンドウをスクロールすることで閲覧できます。
表示されたグラフは挿入ボタンによって、別シートに追加することが可能です。データ分析を行いたいけれど、何から始めるべきかわからない方は、Excelのアイデア機能をぜひ有効活用してみてはいかがでしょうか。
データ分析におすすめの資格
店舗経営をさらに効率化させるために、本格的なデータ分析を学びたいという方もいることでしょう。データ分析を学ぶ機会として資格の取得もおすすめです。データ分析に関連する資格を複数紹介します。
資格1.ITパスポート
ITパスポートは、情報処理技術者試験の一試験区分であり、ITに関する基礎的な知識を学べる国家資格です。ビッグデータをはじめとするIT技術をはじめ、マーケティングや財務などの経営知識まで学習範囲に含まれています。
資格2.基本情報技術者
基本情報技術者はITパスポートの上位資格にあたる国家資格です。
経営やマネジメントに関する知識をはじめ、SQLといったデータベース言語やExcelの表計算についても学べます。本格的なデータ分析を行いたいという方であれば勉強してみる価値は高いでしょう。
資格3.マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト資格(Excel)
データ分析をすでにExcelを用いて行っている方もいることでしょう。そんな方におすすめなのが、マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト資格(Excel)です。
グラフの表示やフィルターの設定など、Excelの使い方を実際のソフトを利用しながら学べます。学んだExcelテクニックや関数をそのままデータ分析に活かしやすい点が魅力的です。
データ分析のサービスも検討【まとめ】
データ分析をしたほうがよいと思っても、日ごろからデジタル環境に慣れている方でないと、スムーズに分析を開始できないでしょう。そこでおすすめなのがデータ分析サービスの利用です。
たとえば、入店客の店内行動をもとにした店舗分析サービスがよい例でしょう。3DカメラやセンサーなどのIoTデバイスによって、来店者のカウントや顧客行動のトラッキング、滞在時間の測定などを実施できます。
蓄積されたデータをもとに課題を発見し、施策を立案できる仕組みです。データの分析結果にもとづき、入店客の多い時間帯を把握すれば、人員の配置も最適化できるでしょう。
ただ、データ分析サービスを利用するにはコストが発生します。不要なサービスを利用すると、費用が膨らんでしまうこともありえます。データ分析サービスを導入する際には、店舗の予算をふまえたうえで適切なプランを検討することが大切です。