全くの未経験から陶器のEC市場に参入するには、どのような手順を踏めば良いのでしょうか?「陶器のネットショップを開業したい」という人が知っておくべき開業の流れや注意点、さらには陶器のネットショップを開業した人の事例を紹介します。
- ネットショップを開業する流れ
- 陶器をネットショップで扱う際のポイント
- 購買意欲を刺激する陶器写真の撮り方
- 破損を防ぐ梱包方法と考え方
- トラブルがあった場合の対応方法
- 陶器ネットショップに関する成功事例
- 魅力的な陶器をネットショップで販売しよう
ネットショップを開業する流れ
近年はネットショップ開業支援サービスなども登場し、個人でネットショップを開業する人が増えています。「ネットショップで陶器を販売したい」と考えた場合、どのような流れで準備すればよいのでしょうか?
ネットショップを開業するときの流れやポイントを簡単に紹介します。
①ネットショップのシステムを決める
ネットショップの開業を決めたら、出店システムを決めましょう。システムの種類は、主に以下の2種類に大別できます。
- ECモール型
- 自社ECサイト
ECモール型とは、インターネット上に構築済みのECプラットフォームを活用する方法です。Amazon・楽天などがこれにあたり、「百貨店に出店する」と考えると分かりやすいかもしれません。
ECモールに出店するメリットは、ECモール自体に集客力がある点です。とはいえ、ショップによほどアピールできるものがないと、強い競合に埋もれてしまう可能性もあります。
一方、自社ECサイトは、インターネット上に個人のショップを構築することです。比較的自由な運営が可能ですが、売上アップにはマーケティング戦略が重要となります。SNSなどを使って、積極的に情報を発信できる人に向いています。
②ショップデザイン・決済・配送方法を決める
出店の形態が決まったら、ショップとしての体裁を整えましょう。お客さまが商品についての情報を正しく得られるよう、見やすいレイアウト・ページデザインが必要です。
また、商品ページにはショッピングカート機能も設置しておかなければなりません。決済方法は1種類ではなく複数そろえておくと、購入時の離脱を防ぎやすくなるでしょう。
配送方法については、「どの業者を選ぶのか」「配送料金はいくらにするか」を考える必要があります。配送方法もショップの使いやすさに直結するため、まずは競合他社の配送方法をチェックしてみるのがおすすめです。
③商品の登録をして開業
ネットショップとしての体裁が整ったら、販売したい商品を登録します。商品説明・価格・商品名を併せて登録すれば、すぐに開業できます。
ただしお客さまの中には、ページを開いたときの第一印象で商品を購入する・しないを決める人もいます。商品写真はアングルや明るさにこだわって、見やすくハイクオリティな写真を掲載するようにしましょう。
より魅力的な店舗にしたい場合は、商品に関連する口コミやミニ情報、使い方の詳しい説明を掲載するのもおすすめです。店舗のレイアウト・デザイン等は固定させず、お客さまの反応を見ながら改良を加えていくと良いでしょう。
陶器をネットショップで扱う際のポイント
陶器をネットショップで販売する場合は、「陶器を求めている人の注目を集めやすくすること」「陶器の特性を理解した上で購入してもらうこと」が重要となります。
陶器のネットショップを経営していく上で、気を付けたいポイントを見ていきましょう。
コンセプトをしっかり決める
陶器のネットショップなら『普段使いしやすい○○焼のショップ』『有名作家の作品メインのハイクラスショップ』など、さまざまなコンセプトが考えられます。コンセプトやターゲットを明確にし、ショップの方向性を決めましょう。
ネットショップは、インターネットを使う全ての人が潜在的な顧客です。これは一見するとメリットのように見えますが、競合が無限に存在するとも言い換えられます。「何を売っているのかよく分からない」「どの層がターゲットなのか分からない」では、顧客も見に来てくれません。
陶器特有の注意点を記載する
陶器を購入してくれるお客さま全員が、陶器に詳しいとは限りません。後々クレームやトラブルに発展しないよう、注意点・理解してもらいたいことはショップ内に分かりやすく記載しておくのがベターです。
例えば陶器の特性として、『風合いが変わる』『色・柄の出方に差がある』『扱いに注意が必要』などは記載しておくと良いでしょう。不良品と誤解されやすそうな特徴については、画像を載せて説明すると理解を得やすくなります。
ネットショップでは、色違い・イメージ違いによるトラブルが珍しくありません。写真は本物の質感・色が伝わるものを掲載し、不明点については問い合わせを促す一文を載せておくと安心です。
購買意欲を刺激する陶器写真の撮り方
ネットショップでは、視覚からの情報は商品写真しかありません。顧客の購買意欲は、写真の出来・不出来にかかっていると言えるでしょう。
陶器が魅力的に見える写真の撮り方を紹介します。
イメージ写真の撮り方
イメージ写真は、商品を使った日常をイメージさせる写真です。陶器の食器ならおいしそうな料理を盛り合わせたり、花器ならきれいな花を活けたりすると良いでしょう。
また、ショップ内の複数の陶器を組み合わせたイメージ写真は、選択肢の豊富さをアピールできます。魅力的な写真が撮れれば、「画像に写っている商品をセット買い」する人も出てくるかもしれません。
イメージ写真があれば、お客さまは商品購入後の暮らしを疑似体験しやすくなります。ショップ内に効果的に配置することで、購買意欲を刺激できるでしょう。
商品写真の撮り方
商品写真を撮るときは、商品の良さが伝わる撮り方を心がけましょう。陶器の形状・厚みによってベストなアングル・カメラ位置の高さは異なるため、商品に合わせた撮影が必要です。
例えば、陶器の器を撮影する場合、以下の撮り方が望ましいとされます。
- 厚みがあって幅が広くない器(マグカップ・小鉢など):斜め上から縁が写るように撮影
- 厚みがあって幅が広い器(グラタン皿・ボウルなど):斜め上から底が写るように影
影 - 平らな器:絵が付いているものは真上から・無地のものは斜め上から厚みが分かるように撮影
また陶器の写真で注意したいのが、表面にほかのものが写ってしまう『写り込み』です。陶器表面に余計なものを写したくない場合は、白い板などで商品の周辺を囲うことをおすすめします。
破損を防ぐ梱包方法と考え方
陶器を通信販売するリスクとして、『配送中の破損』が挙げられます。ネットショップを開業する際は、破損のためのリスクヘッジを徹底しておくことが大切です。陶器が破損する原因や破損させないコツ・おすすめの資材を紹介します。
配送中に陶器が破損する原因
配送中の陶器が破損する理由としては、『箱内部で陶器同士がぶつかって割れる』『外から強い圧力・衝撃を受けて割れる』の2パターンが考えられます。
箱内部で陶器同士がぶつかってしまうのは、箱内部がスカスカの状態だからです。陶器が割れないよう、固定された状態にする必要があります。
一方、外圧や衝撃を受けての割れは、陶器を入れ過ぎている状態で頻出します。陶器をギチギチに入れていると、ちょっと圧力が加わっただけで割れてしまうのです。
梱包のコツ
陶器を配送してもらう場合は、ダンボール・緩衝材をセット使いするのが鉄則です。
陶器は個別に緩衝材に包んでテープ等で留め、立てて納めます。ダンボールの底面・側面・上面にも緩衝材を敷いておき、あらゆる方向からの衝撃に備えることも必要です。
また、発泡スチロール・ざら紙・新聞紙などをすき間に入れるのも、忘れてはいけません。箱が揺れても陶器が固定されていれば、破損の可能性はグッと低くなるでしょう。
梱包・すき間埋めを適切に行った後は、ダンボールのフタを閉めて粘着テープで封をします。このとき『取扱注意』『ワレモノ注意』『上積厳禁』等のシールを貼り、配送員に一定の配慮を促すことも大切です。
おすすめの梱包資材
陶器の梱包資材としてそろえておきたいのは、以下のものです。
- ダンボール箱
- 発泡シート
- 粘着テープ
陶器を包むときは、空気の入った発泡シートが安心です。空気の層がクッションとなり、陶器が割れるのを防いでくれます。
また、ダンボールの外側に使う粘着テープは、布製を選びましょう。クラフト製は表面がツルツルしていて、配送員が手に持ったとき滑りやすくなります。布製の方が安定して持ちやすく、落下のリスクを軽減できるのです。
「【基本編】初心者におすすめのネットショップの梱包の選び方やコツ」もぜひ参考にしてみてください。
トラブルがあった場合の対応方法
誠実にネットショップ運営に取り組んでいても、トラブルが発生する可能性はゼロではありません。ネットショップでトラブルがあった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?
基本的な対処法と、クレームへの心構えを紹介します。
基本的な対応方法
トラブルがあった場合の基本は『対応を後回しにしないこと』『正確に現状を把握すること』です。
トラブルの対応が遅れて「誠意がないショップ」と見なされれば、お客さまも離れてしまうかもしれません。顧客第一の姿勢を見せ、お客さまの信頼をつなぎ止めることが必要です。
また、今後の対応を決めるには、正しい現状把握が不可欠となります。特にネットショップのトラブルは、配送業者が絡んでいるケースが少なくありません。必要があれば配送業者にも事情を聞いて、『責任の在所』『今後の対応』を冷静に判断しましょう。
徹底しておきたいポイント2つ
クレーム応対で徹底しておきたいのは、以下のポイントです。
- 顧客の気持ちを落ち着かせること
- 顧客とのやり取りを記録に残すこと
相手が感情的になっているときは、論理的な話ができません。ひとまずは相手の気持ちに寄り添って謝罪をしましょう。相手の気分を落ち着かせ、話し合える状況を作ることが必要です。
また、やり取りは必ず記録して、後でチェックできるようにしておきましょう。会話の全てを録音しておけば、話の整合性を確認できます。つじつまの合わないこと・言い分が変わったことにもおかしいと気付きやすくなるでしょう。
万が一脅迫を受けた際は、会話の記録が動かぬ証拠となります。ネットショップオーナーとして、もしもに備えて自衛することは大切です。
陶器ネットショップに関する成功事例
陶器の販売について、実店舗や対面販売の経験しかない場合、「ネットショップって難しそう」という不安を持つ人も多いのではないでしょうか?
陶器のネットショップのサクセスルートを知りたい人は、STORES で陶器のネットショップを開業した人の成功事例をチェックしてみましょう。有田焼の窯元『貝山窯』のケースを紹介します。
有田焼の魅力を発信「貝山窯様」
貝山窯は、業務用製品を中心に扱う有田焼の窯元です。窯主である藤本さんは「有田焼の世界観をもっと多くの人に知ってほしい」と考えて、ネットショップの経営を始めました。
ネットショップのデザインは無料のテンプレートを使用し、写真は全て自前のスマホで撮影したそうです。イメージ通りになるまで試行錯誤を重ねたというサイトは、有田焼の繊細な世界観とよくマッチしています。藤本さん自身、「自分なりの有田焼を表現できた」と語っています。
ネットショップ構築に当たり、藤本さんはSTORESを選びました。STORESは、ネットショップ開業に必要な機能が一通りそろったネットショップ開設サービスです。『テンプレートが豊富』『難しい知識が不要』『手数料が安価』という特徴があり、「小さく陶器ショップを始めてみたい」と考える人には、有力な選択肢の一つとなるでしょう。
藤本さんは今後のネットショップ戦略として、SNSによる情報発信の強化を考えているそうです。ネットショップで有田焼に親しんだ人が、いつか有田まで足を運んでくれればと期待しています。
参考:「有田焼や佐賀県の認知度に繋げたい」有田陶器市の中止がきっかけでネットショップを立ち上げた貝山窯
魅力的な陶器をネットショップで販売しよう
ネットショップ隆盛の現在、陶器のネットショップでも多くの顧客獲得を期待できます。まずは開業場所・サイトデザインを決め、販売したい商品を登録しましょう。売上アップを目指すには、きれいな写真・丁寧な説明が不可欠です。
陶器をネットで販売する注意点としては、破損しない梱包方法を知ること・イメージ違いによるトラブルを防ぐことなどがあります。ネットショップを開業する際は梱包資材をきちんとそろえ、サイトには陶器ならではの注意点をきちんと記載しておくのがベターです。
「魅力的なサイトを作れるか不安」という人は、多彩なテンプレートがそろったSTORES のサービスを検討してみてはいかがでしょうか。
また、ネットショップの開業については、『2021年最新版】ネットショップ開業・開設手順はこれを見れば完璧!初心者〜上級者向けにご紹介』で詳しく解説しています。
『ネットショップを開業するために実践したい12の行動リスト』『ネットショップ開業の7ステップ!開業の基本的な流れと集客・販促のコツ』もぜひ参考にしてください。