ネットショップ検定という試験をご存じでしょうか?
ネットショップ検定に合格すると、ネットショップ運営の実務能力を証明する「ネットショップ実務士」という資格を取得できます。 実際にネットショップを運営している方がより効率的に運営できるようになるだけでなく、これからEコマース業界で働きたい人にとっても、就職や転職に有利になる可能性があるおすすめの資格です。
今回はネットショップ実務士を目指せるネットショップ検定の概要や受験するメリット、試験の難易度、合格するための勉強方法などについて解説します。
そのほかのネットショップ関連の検定・資格については、以下の記事もご覧ください。
ネットショップ検定とは?
まずは、ネットショップ検定の概要や受験するメリット、受験方法などについて説明します。
ネットショップ実務士を目指せる検定試験
ネットショップ検定とは、合格するとネットショップ実務士という資格が得られる検定試験のことです。
まずはネットショップ実務士についてご説明します。
ネットショップ実務士とは、特定の事業者に偏らない基準により、EC業界での実務能力を認定する資格のことです。
ネットショップ実務士は、ネットショップを運営するために必須の資格というわけではありません。しかしネットショップ実務士を取得することで、Eコマースに関する体系的な知識を得てネットショップ運営に役立てたり、実務能力を証明してEコマース業界への就職・転職を有利に進めたりできます。
ネットショップ実務士はレベルが設けられており、レベル1からレベル5まであります。
- レベル1 基礎知識
- レベル2 実践知識
- レベル3 実践経験
- レベル4 EC企画能力
- レベル5 EC経営能力
レベル1の下にネットショップ実務士補と呼ばれるレベルもありますが、ネットショップ実務士補は研修受講のみで認定されるため、実際の試験はレベル1からです。
ネットショップ検定のレベル1では、Eコマースに関する基礎知識が問われます。受験対象者としては新卒予定者、転職希望者、ネットショップ運営初心者などを想定されています。
レベル2は、レベル1よりも実践的な知識が問われます。受験対象者としては、ネットショップ運営者や転職希望者のほか、コンサルタントや制作会社といったネットショップの支援事業者です。
レベル3については、レベル1や2のような知識だけではなく、実践経験も問われてきます。さらにレベル4やレベル5で問われてくるのは、より高度な企画能力や経営能力です。
レベル1とレベル2には受験資格はなく、誰でも受験できます。レベル3以上は実務経験などが必要になってくるため、まずはレベル1やレベル2の取得を目指しましょう。
ネットショップ検定を受験するメリット
ネットショップ検定を受験するメリットは2つあります。順番に説明します。
①Eコマースについての体系的な知識を得られる
ネットショップ検定を受験することにより、Eコマースについて体系的に学ぶことができます。専門知識が身につくため、より効率的にネットショップを運営できるようになるでしょう。
また自分の専門分野だけではなく、担当以外の知識を学ぶことで、社内コミュニケーションが円滑になったという声や、知識を得たことで自信をもって顧客へアドバイスできるようになったという声もあります。
②自分の能力や意欲を可視化できる
ネットショップ検定に合格してネットショップ実務士を取得することで、自分の能力や意欲を証明できます。Eコマースに関する専門知識があったとしても、それを他人でもわかるように証明するのは難しいですよね。
しかしネットショップ検定に合格していれば、自分のEコマースに関する能力を客観的にアピールできます。また、Eコマース業界で働きたいという意欲を示す材料にもなるので、就職や転職の際に有利になるかもしれません。
ネットショップ検定の試験日や受験方法
ネットショップ検定の試験は、CBT方式が採用されています。CBT方式とは「Computer BasedTesting」の略称で、コンピューターを使った試験のことです。
受験会場となるテストセンターは全国にあり、好きな場所で受験できます。受験日についても、申し込みから最短3日で受験できるため、年始年末を除けば1年中好きなときに受験できます。
試験は試験会場にあるコンピューターで実施されるので、試験終了後はただちに合否結果やスコアもわかります。
予約については、試験を運営しているCBTソリューションズのサイトでユーザー登録しておけば、いつでもインターネット上で予約が可能です。受験費用はレベル1が7,000円、レベル2が7,500円です。
試験の詳細な流れについては下記サイトをご確認ください。
ネットショップ検定の難易度はどのくらい?
ネットショップ検定試験の合格率は発表されていません。はっきりとした難易度はわかりませんが、「資格の王道」などいくつかの資格サイトを調べてみると「やさしい~やややさしい」レベルとされており、それほど難易度は高くないといえます。
それぞれのレベルについて、出題範囲や合格基準について説明します。
レベル1の難易度や合格基準
レベル1は『改訂版ネットショップ検定公式テキスト ネットショップ実務士レベル1対応』から4択70問で出題されます。詳細な出題範囲は以下のとおりです。
ビジネス知識(23問) |
ネットショップのビジネス環境 |
小売業の分類と特徴 |
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ネットショップの位置づけ |
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ネットショップの動向 |
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社会人としての基礎知識 |
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前提知識(18問) |
ネットショップの出店形態と特徴 |
ネットショップ実務の共通知識 |
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ネットショップ事業の準備 |
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実施知識(29問) |
ネットショップの制作 |
ネットショップのプロモーション |
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ネットショップの運用 |
全体で70%以上の正答率が必要であるほか、「ビジネス知識」「前提知識」「実施知識」のカテゴリごとに50%以上の正答率も必要です。
つまり全体で70%以上正答しても、「ビジネス知識」などのカテゴリ内で正答率が50%未満の場合は不合格になってしまいます。
レベル2の難易度や合格基準
レベル2のネットショップ検定試験は、『ネットショップ検定公式テキスト ネットショップ実務士レベル2対応』から出題されるほか、経済動向などの時事問題や一般常識問題も出題されます。詳細な出題範囲は以下のとおりです。
運営業務(15問) |
受注~出荷指示 |
物流センター業務 |
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問い合わせ対応、クレーム対応 |
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商品管理 |
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Web制作業務(20問) |
トップページ |
商品ページ |
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その他ページ |
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商品写真の企画と撮影技法 |
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カラーデザイン |
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知っておくべき知識 |
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ライティング(15問) |
キャッチコピー・文章 |
メールマガジン |
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新規顧客獲得(キーワードマネジメント) |
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プロモーション業務等(20問) |
新規顧客獲得(キーワードマネジメント以外) |
リピート購入(リテンション) |
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EC業界ニュース、日本の経済動向、用語など一般常識 |
合格基準はレベル1と同様に全体で70%以上かつ「運営業務」「Web制作業務」「ライティング」「プロモーション業務等」の各カテゴリで50%以上の正答率が必要です。
レベル3以降について
レベル1とレベル2のネットショップ検定は誰でも受験できますが、レベル3は受験資格があります。まずレベル2に合格していなければなりませんし、優良ネットショップでの勤務実績なども必要になってきます。そのため、まずは受験資格のないレベル1とレベル2の合格を目指しましょう。
対策は公式テキストや練習問題の活用がおすすめ
レベル1、レベル2ともに、公式テキストと公式問題集が販売されており、下記のサイトから購入可能です。
ネットショップ検定の問題は4択で、難易度もそれほど高くはありませんから、独学で対応可能といえます。勉強方法としては下記のようなやり方がおすすめです。
- テキストをざっと読む
- 問題集を解く
- 間違えたところをテキストで復習する
- もう一度問題集を解く(2周目)
注意点としては最初にテキストを読むときは、あまり熱心に読み込まないことです。どのようなことが書いてあるのかを把握する程度で十分です。実際に問題集を解いて、間違えた箇所についてしっかりとテキストを読み込みましょう。
2周目でほとんど間違えなくなれば、本番の試験を受けても大丈夫です。2周目でまだ間違える問題が多いようであれば、間違えた箇所をテキストでよく復習して、問題集を3周、4周……と続けていってください。
最後に:ネットショップ検定合格よりも大事なこと
ネットショップ検定合格のために勉強をすれば、Eコマースについての知識を体系的に学ぶことができ、ネットショップの運営だけでなく、EC業界への就職や転職に有利になるかもしれません。
ただ注意点として、ネットショップ検定に合格してネットショップ実務士になったからといって、必ずしもネットショップの運営が成功するわけではありません。ネットショップ検定で学んだ知識はあくまで理論です。実際のネットショップ運営では、理論どおりにいかないことも多くあるでしょう。
もちろん、これからネットショップを始めようという方のなかには「うまく運営できるか心配」という不安もあると思います。そうした方がネットショップ実務士の資格を取ることで自信が得られるのも確かです。
ネットショップ検定の勉強と並行しつつ、実際にショップをオープンさせて、実践的な知識やノウハウを学んでいきましょう。
また、ネットショップの開業については、『2021年最新版】ネットショップ開業・開設手順はこれを見れば完璧!初心者〜上級者向けにご紹介』で詳しく解説しています。