緊急事態宣言が解消され、お酒を提供しているお店は賑わいを取り戻してきました。バーの開業を一度保留にされていて、再度開業に向けて動き始めている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回、バーの開業に必要な資金や資格、飲食店とは異なる物件選びの注意点などをご紹介いたします。ぜひ参考にしてみてください。
- そもそもバーとは?
- どの種類のバーで開業をするのか考えてみよう!
- バーを開業するのに必要な資金はどれくらい?
- バー開業に使える補助金はある?
- その他のバー開業に使える資金調達方法は?
- バーを開業するのに必要は資格や許可は飲食店と一緒?
- バー開業の物件選び
- 立地選びの注意点はあるの?
- バーを開業する際の注意点や許可、補助金のまとめ
そもそもバーとは?
バーとは、お酒の味を楽しむことを目的とした飲酒店です。カウンターでバーテンダーが、カクテルやウイスキーを提供してくれるイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
よく、バーと混同されるのがパブ。パブはパブリックハウスの略で、バーよりカジュアルです。カウンターだけでなくテーブル席もあります。
どの種類のバーで開業をするのか考えてみよう!
実は、いろんな種類があるバー。バーを開業するにあたり、ご自身がどんなスタイルのバーを開業したいのか考えてみましょう。
オーセンティックバー
オーセンティックバーは、みなさんがイメージしているような正統派スタイルのバーです。本格的なバーカウンターがあり、熟練された技術を持つバーテンダーがいます。
バーテンダーの立ち振る舞いから使用する氷、グラス、使用する果物など、細部にこだわりがみえ、落ち着いた雰囲気の中でお酒を楽しめます。
ショットバー
お酒をボトルではなく、1杯(ワンショット)ずつ注文するスタイルのバー。かつてはボトルキープが主流だったため、そのバーに対して作られた和製英語です。いろんなお酒を楽しむことができます。
現在では1杯から注文できるのが普通なため、オーセンティックバーよりカジュアルなバーと認識するのがいいかもしれません。
ダイニングバー
お酒でなく食事の種類も豊富に提供しているバーです。カジュアルな雰囲気を楽しむことができます。
スタンディングバー
立ち飲みスタイルのバーなので、比較的料金が安く、サクッと立ち寄れます。全員立っているため、お客さま同士が仲良くなることが多いです。
その他
上記にあげた以外にも、お酒と一緒にいろんなことを楽しめるバーもあり、種類はさまざまです。
目の前でマジックを楽しめるマジックバー、演奏を楽しめるミュージックバー、スポーツ観戦を楽しめるスポーツバーなどがあります。
バーを開業するのに必要な資金はどれくらい?
飲食店を開業する資金は、平均で1,000万〜1,500万円と言われていますが、バーの開業資金も同じくらいです。
立地や物件によって異なってきますが、内訳は、準備に約500万、当面の運転資金に約500~700万程度と言われています。
バー開業に使える補助金はある?
小規模事業者持続化補助金
「小規模事業者持続化補助金」は、商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいる「小規模事業者」及び、一定の要件を満たした特定非営利活動法人を対象とした補助金です。
販路開拓等の取組や、あわせて行う業務効率化の取組を支援するための補助金で、それらに要する経費の一部を補助してくれます。最大で50万円の補助金が出ます。
なお、令和2年度補正予算小規模事業者持続化補助金事業<コロナ特別対応型>と本事業の両方を採択された場合は、いずれか一方しか補助金を受け取ることができませんので注意が必要です。
ものづくり補助金
新しいものづくりに挑戦する事業者を支援する補助金制度で、正式名称は「ものづくり・商業・サービス革新補助金」です。“ものづくり”と書いてありますが、キッチンカーの開業でも申請できます。
既に開業している事業者でないと申請ができないため、開業届を出していない場合は気をつけましょう。
設備導入費用や原材料費などの項目が対象です。補助金の上限は1,000万円で、補助率は1/2まで。小規模事業者である場合は2/3まで補助率が上がります。
補助金のため、原則返済の必要はありません。ただし、申請しても審査に通過しなければ受給できないので注意しましょう。
その他のバー開業に使える資金調達方法は?
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、日本政府が運営している金融公庫です。無担保・無保証で利用でき、銀行に比べて低金利で融資を受けることができます。
まずはお近くの支店の窓口へいき、相談をしてみましょう。
制度融資
各地方自治体、民間金融機関、信用保証協会の連携によって行われる融資が、制度融資です。日本政策金融公庫と同様に、低金利で融資を受けられます。
各地等自治体によって制度や融資内容に違いがありますので、詳細は各地方自治体へ問い合わせをしてみてください。
バーを開業するのに必要は資格や許可は飲食店と一緒?
バーを開業するのに必要な資格や許可は、飲食店を開業する際に必要なものとほぼ同じです。ここでは、特にバーを開業するのに必要な資格を詳しくご紹介していきます。
なお、飲食店を開業する際に必要な資格や許可は、「飲食店を開業するには?必須の資格・届出と手続きの流れ」にて紹介しています。参考にしてみてください。
深夜酒類提供飲食店営業届
午前0時から午前6時までに酒類を提供する飲食店は、営業開始の10日前までに警察署へこの届出の提出が必要です。
無届で営業していた場合、50万円以下の罰金があるため気をつけましょう。ただし、お酒を提供していても、午前0時までに閉店する場合は、提出は不要です。
- 深夜営業をするには、以下の要件を満たす必要があります。
- 客室の床面積が9.5㎡以上であること(客室が1室のみの場合は制限なし)
- 客室に見通しを妨げる設備がないこと
- 客室の出入り口に鍵をかけられる構造にしないこと
- 明るさが20ルクス以上あること
- 騒音または振動の数値が55デシベルに満たないようにすること
- 風俗を害する恐れのある装飾、写真、広告物の設備がないこと
防火管理者選任届
お店の収容人数が30人以上を超える場合(従業員も含む)、防火責任者を選任し管轄の消防署へ提出する必要があります。
届出を提出した後は、消防系柵作成届出書の提出も必要なので、忘れないようにしましょう。
特定遊興飲食店営業許可
もし、バーに併設してダーツやカラオケなどの遊戯施設を設置する場合は、特定遊興飲食店営業許可を管轄の警察署へ提出する必要があります。
無許可で営業した場合、2年以下の懲役若しくは200万円の罰金、又はこの両方の罰を受けることになりますので注意してください。
バー開業の物件選び
居抜き物件
居抜き物件とは、最後に借りていたオーナーの使用していた設備などがそのまま残っている状態の物件です。ある程度設備が整っているため、初期費用を抑えられたり、工事にかかる時間や労力がかからなかったりというメリットがあります。
しかし、内装がイメージと異なっていれば工事が必要ですし、設備や備品が古すぎると買い直しが必要な可能性もあるため、事前に把握しておくことが非常に重要です。
また、最後に入っていたバーの廃業理由を確認しておく必要もあります。
事業拡大などポジティブな理由の場合はいいのですが、評判が悪く廃業していた場合、払拭するのにコストや労力がかかってしまう可能性が。
立地的な理由だった場合、自店舗でも影響を受けてしまうので、しっかりと確認しましょう。
スケルトン物件
スケルトン物件はその名の通り、内装や設備が全て取り払われた状態の物件です。そのため、ご自身のこだわりを詰めこんだ店舗デザインにすることができます。
好きなようにデザインできるところはもちろん、「〇〇用物件」などの縛りがないため物件の選択肢が豊富なことがメリットです。しかし、こだわればこだわるほど初期費用や時間がかかってしまいます。
また、スケルトン物件は退去時に元の状態に戻す必要があるので、気をつけましょう。
立地選びの注意点はあるの?
用途地域の確認
バーに限らず飲食店には、出店できない場所があることをご存知でしょうか?
地域ごとに建設していい物件を法律で決めている「用途地域」があります。
住居系地域、商業系地域、工場系地域の3つに分けられ、商業系地域なら深夜酒類提供しても大丈夫ですが、住居系地域の場合、深夜酒類提ができないため注意が必要です。
もし、住居系地域で深夜酒類提供してしまうと、違法営業になるので立地を選ぶ際には気をつけましょう。
バーを開業する際の注意点や許可、補助金のまとめ
いかがでしたでしょうか?
バーにもいろんな種類があり、飲食店と同様に使える補助金もありましたね。
届出も飲食店とだいたい同じですが、深夜に酒類を提供する場合は必要な届出があるので、注意をしましょう。
また、立地に関しても知らぬ間に違法営業になっていないよう、最初にしっかり確認が必要です。
これらに注意をして、ご自身のこだわりが詰まったバーを開業してみてください。