エステサロンを開業しようと思っていても、具体的な手続きや用意すべき設備が分からない人もいるはずです。念願のサロンをオープンするには、どのような準備が必要なのでしょうか。
本記事では、エステサロンの開業に必要な資格や届出をご紹介します。集客のポイントも解説しますので、開業に必要な資格や資金も押さえて、開業の計画を練りましょう。
- エステサロンの開業方法を知ろう
- エステサロンは自由に開業していい?
- エステサロン開業の手続き
- エステサロンオープンまでに用意するもの
- 設備・備品以外にかかる費用は?
- お客様の満足度を上げるには
- 細やかな心配りでサロンを繁盛させよう
エステサロンの開業方法を知ろう
エステサロンの開業形態には、大きく分けてテナントを借りて出店するスタイルと自宅の一部をエステサロンに改装するスタイルがあります。
それぞれのメリット・デメリットを把握して、自分のサロンに向いている形態を判断しましょう。
テナントサロンとして開業する
テナントサロンは、ビルのテナントに賃料を払って出店する形態です。もともと集客力のあるビルに出店できれば、初めから新規顧客を獲得できる可能性があります。
内装の自由度が高いため、自分のこだわりを反映したサロンを開業できるのもテナントサロンのメリットです。
ただしテナントを借りるための敷金や礼金・内装設備にかかるコストが大きく、開業に必要な資金の額はかさみます。
サロンの運営が安定するまでの運転資金も考えると、かなりの金額を用意しなくてはいけません。特に大型のテナントの場合、1,000万円以上の初期費用がかかるケースも珍しくありません。
自宅サロンとして開業する
自宅の一室をサロンとして開業するのも、エステサロンをオープンする手段です。物件を借りるよりも初期コストを大幅に抑えられます。できるだけコストをかけずにスタートしたい人には、自宅サロンがおすすめです。
持ち家ならば内装も自由に変更できるため、改装の費用を捻出できれば求める雰囲気に近づけられるでしょう。ただ店舗の外観はテナントのようにはいかず、生活感が出やすい点には注意が必要です。
宣伝の際には自宅住所を掲載することになるため、個人情報を一部公開することになるリスクは考えなければいけません。
自宅の情報を掲載するのに抵抗がある人は、テナントやサロン用の別物件を借りた方がよいでしょう。
エステサロンは自由に開業していい?
エステサロンの開業にあたって、「資格が必要なのでは?」と考える人もいるのではないでしょうか? しかし、開業に特別な資格は不要です。
ただし提供するサービスによっては、資格の取得や届け出が義務付けられる可能性があります。どのようなケースで資格や届け出が必要になるのでしょうか。
エステサロン開業に必要な資格
お客さまに癒しを提供する『セラピー』であれば、専門資格は必要ありません。しかしメニューに『マッサージ』を入れる場合は、国家資格である『あん摩マッサージ指圧師』の資格が必要です。
腰痛や肩こりといった不調の治癒を目的とするマッサージは、資格が必要な『治療』に分類されます。一方、美容エステで行う施術は、治療ではないため資格がなくても可能です。
完全に美容目的のサロンにするのか治療に当たるようなマッサージも提供するのかで、資格の要・不要が変わってきます。提供するサービス内容の決定はあらかじめ計画して適切に準備を進めましょう。
エステティック協会が定めているエスティシャン向けの各種資格は、必須でないものの取得すると有利な資格です。エステサロンを開業するなら、チェックしておきましょう。
保健所に申請が必要なケースとは
エステサロンの開業にあたって、保健所への申請は基本的に必要ありません。首より上に施術する『フェイシャルエステ』を取り入れる場合は『美容所』として届け出が必須です。
また、刃物を顔に当てるシェーバーを使った施術、まつ毛エクステ、ネイルサロンなど器具を使う場合、国家資格である美容師免許や管理美容師が必要となり、こちらも申請が必要となります。
営業開始前に行われる保健所による立ち入り検査では施設の設置基準もチェックされるため、工事を始める前に相談しておくのがおすすめです。
参考:理容師法及び美容師法の運用について|厚生労働省
エステサロン開業の手続き
エステサロンを経営するために会社を興す人もいますが、多くは個人事業主として店舗を開くことを目的にしているはずです。個人で事業を始める場合、基本的に税務署に開業届を提出すれば店舗の開業ができます。
サロンの屋号を決めて開業届を提出する
エステサロンを開業するタイミイングで、税務署に開業届を提出しましょう。特に複雑な手続きは必要ありません。
開業届は税務署の窓口で取得するか、国税庁のホームページからPDFをダウンロードできます。ただし期限は開業から1ヶ月以内と定められている点は要注意です。
開業届を提出する際には、屋号も決めてもおきましょう。個人事業の名乗る『屋号』は、会社の社名のような役割を果たします。事業名や店舗の名前を使用するのが一般的です。
必ず屋号が必要なわけではありません。しかし屋号で事業用の銀行口座が作れるので、個人の銀行口座と分ければお金の管理がしやすくなるメリットがあります。社会的な信用を得るためにも、屋号は決めておいた方がよいでしょう。
エステサロンでは『〇〇ビューティー』『〇〇スパ』などの名前や、『美』の文字を入れた屋号にする人が多いようです。
[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
優遇措置がある青色申告を申請する
個人事業を営む人は、毎年3月までに確定申告をする必要があります。収入を申告して納めるべき税金を明らかにするのが、確定申告です。
確定申告には白色と青色の2種類があり、『青色申告』では最大で65万円の特別控除が受けられたり最長3年間、赤字を繰り越せたりします。
個人事業主は『青色申告承認申請書』を開業届と同じ税務署に出し、条件が合致すれば青色申告で確定申告が可能になります。税制面で優遇を受けられるので、事業を始めるならば青色申告を申請しておきましょう。
開業届と同じく国税庁のホームページからフォーマットをダウンロードできます。
[手続名]所得税の青色申告承認申請手続|国税庁
エステサロンオープンまでに用意するもの
エステサロンを始めるには、店舗だけでなく設備や備品・道具も必要です。施術に使うもの以外にも、エステの接客で大事な『おもてなし』に必要なものを用意しましょう。
エステ用ベッドや美容機器など
エステの開業に必要な設備・機材としては、次のものが挙げられます。
- エステ(施術)用のベッド
- エステ用機器(美容機器など)
- タオルキャビネット
- オイル
- 化粧品
- ローブやタオルなど
- パソコン
- 事務用品
エステ用の機器は高額で数十万円するものが多いため、提供するメニューに合わせて慎重に選ばなければいけません。費用を抑えたいときには、レンタルやリースを利用する方法もあります。
他の備品はリサイクルショップから購入することで、コストの削減が可能です。見た目に問題がなく業務に使えるなら、多少古いものでも問題ないでしょう。
「おもてなし」の演出に必要なもの
エステサロンではお客様に施術をするだけでなく、『おもてなし』の心が伝わる演出が重要です。
居心地のよい環境を提供できるように、BGMや照明にこだわりましょう。花や観葉植物・アンティークなど、お店の雰囲気に合うインテリアを置くのも接客の工夫です。
施術中はお客様が目を閉じている状態になるため、肌触りの良いタオルを使ったりアロマで癒し効果を演出したりする『おもてなし』も満足度につながります。
快適にすごしてもらうためには、入口や施術室の温度管理も大事です。サロンのコンセプトに沿った演出ができるよう、自分なりに施策を考えましょう。
設備・備品以外にかかる費用は?
施術に必要な設備や備品以外にも、エステサロンの運営のために負担すべき費用があります。
スタッフを雇うなら人件費はもちろん、求人を出すための費用も考えなければいけません。店舗を宣伝するための費用や集客にかかる費用も必要です。
スタッフ採用にかかる費用
たとえ個人サロンであっても、オーナー1人で全ての業務をこなすのは困難です。
お客様と1対1でサービスを提供するならスタッフがいなくても施術はできますが、予約の管理や電話対応など1人では業務を回せない場面も出てくるでしょう。
オーナー自身が体調不良になってしまった場合、他に人手がなければ予約を断らなければなりません。
創業当初はオーナーが1人で業務をこなすにしても、後々スタッフを雇う必要は出てくるでしょう。エステティシャンを募集するには、求人情報誌や求人サイト、人材紹介、専門学校からの紹介などが利用できます。
無料で求人情報を掲載できる媒体もあるので、取捨選択しながら広く人材を募集できる方法を選択しましょう。
人材紹介だと1件あたり数十万円のコストがかかる場合もありますが、店舗側のニーズにマッチした人材を紹介してもらえます。
集客にかかる費用
エステサロンの集客方法には、ネット広告の出稿・SNSでの宣伝などのオンライン集客とチラシや情報誌・フリーペーパーを使ったオフライン集客の2種類があります。
近年はオフラインの方法よりも、オンラインでの集客が主流です。まずはインターネットを活用した集客方法を考えた方がよいでしょう。ネット広告は情報を掲載する媒体によって費用は変わってきますが、10万円程度はかかると計算しておきましょう。
店のWebサイトも制作すると、信頼度が高まります。制作費用は業者に依頼した場合10〜20万円かかるケースが一般的です。費用を抑えて作成したいなら、自力で簡単にサイトを作れるサービスを活用しましょう。
スキルアップにかかる費用
エステサロンを開業できても、努力なしに長く安定した経営は続けられません。お店を開く理由も『自らの手でお客様に施術し、満足してもらいたい』という人が大半でしょう。
オーナー自身が開業後もエスティシャンとして、スキルアップをし続ける必要があります。施術の腕を磨き続けなければ、お客さまは他の店に行ってしまうかもしれません。
オーナー自身はもちろん雇用しているスタッフも、常にスキルアップが必要です。技を磨くには相応のコストがかかります。
エスティシャンの講座やサロンの経営スキルを磨くためのセミナーは、ほとんどが有料です。知識を得るための書籍代も含め、継続的に学べるように資金には余裕を持たせておきましょう。
お客様の満足度を上げるには
エステサロンの顧客満足度を上げるには、接客や店の雰囲気・施術レベルなどさまざまな要素をレベルアップさせる必要があります。中でもオンライン化が進む現代では、キャッシュレスとネット予約への対応が利便性の向上に貢献するでしょう。
キャッシュレス決済に対応する
近年はエステサロンに限らず、さまざまな業界の店舗でキャッシュレス決済の導入が進んでいます。クレジットカードやスマホでの決済を導入すれば、多くのお客様が便利に利用できる環境づくりが可能です。
支払いが現金にしか対応していない店舗とキャッシュレス決済が可能な店舗とでは、お客さまのリピート率が変わってきます。エステサロンではサービスによって数十万円にもなるケースがあり、クレジットカード対応は必須と考えましょう。
店舗にキャッシュレス決済を導入するなら、『STORES 決済』がおすすめです。クレジットカードだけでなく、電子マネーやQRコードにも対応しています。導入サポートを受けられるので、初めてのキャッシュレス決済導入にも安心です。
STORES 決済(旧:Coiney) |お店のキャッシュレスをかんたんに
ネット予約に対応する
お客様からの予約は電話だけでなく、インターネットからでも受け付けられるようにしておきましょう。近年はパソコンやスマホから店舗の予約をする人が増えています。
特に個人サロンの場合、時間帯によっては電話に対応できない場合も少なくありません。お客様側はもちろん、店舗側にとってもメリットが大きい施策です。
エステサロンのオンライン予約システムとしては、導入費用が無料で効率的に予約管理ができる『STORES 予約』が選択肢の一つです。10万社以上の導入実績があり、初めての予約システムとしても安心して使えます。
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細やかな心配りでサロンを繁盛させよう
エステサロンの開業に必須の資格はなく、基本的に開業届のみ提出すればお店をオープンできます。ただし提供するメニューによっては、資格や保健所への申請が必要になる可能性があるので注意が必要です。
理想とするエステサロンの規模感やコンセプトをもとに、テナントサロンか自宅サロンかから計画を練り始めましょう。開業にあたっては施術やおもてなしに使うものを用意し、気持ちよく過ごしてもらえるお店を目指します。
設備や備品以外にかかる広告費用や人件費なども考慮して、しっかり事業計画を練ってから開業に臨みましょう。