カフェの経営にあこがれる方は多いようですが、興味を持って調べてみると、経営の難しさや厳しさを痛感してしまうかもしれません。
今回の記事ではカフェ経営が難しいといわれる理由を説明し、個人でカフェ経営を成功させるためにはどうすれば良いのか、ポイントを解説します。
時代の変化を意識した営業スタイルやデジタルツールの活用はもちろん大切ですが、やはり競合とどのように差別化するのかが重要です。
カフェ経営の夢、あきらめずにもう一度考えてみませんか？
カフェ経営が難しい理由
飲食店のなかでもカフェの経営が難しいといわれる理由を解説していきます。
①客単価の低さ
カフェ経営の難しさの第一の要因は、客単価の低さです。
例えばカフェの主力メニュー「コーヒー」の単価は、内装がすごい・食器がすごい・入手困難の豆を使っているなど特別な理由でもない限り、高く設定できません。
厚生労働省の報告を見ると、喫茶店のお客1人あたりの平均料金単価は500～750 円未満が33.6％で、次いで750～1,000円未満が16.9％と続きます。特に個人経営店では47.8％が料金単価500～750 円未満です。
同じ飲食店でもアルコールを提供する居酒屋や食事が中心のお店であれば、メニューの単価・顧客単価ともにここまで低くはなりません。
②回転率の悪さ
単価が低くても回転率が高ければ売上・利益の向上が目指せますが、カフェは「顧客が飲み物を楽しみながらゆっくり過ごす空間」というイメージが強い飲食店です。長い時間滞在するお客が多く、回転率が悪くなりがちな営業スタイルといえるでしょう。
個人経営のカフェで回転率を上げるような工夫をしてしまうとカフェに求める魅力がぼやけてしまい、この部分を強引に改善するのは難しいかもしれません。
③競合店の多さ
カフェの経営が難しい背景には、競合の多さもあります。
「コーヒーが飲める店」として考えたとき、多店舗展開するお手頃価格のチェーン店、ブランド力のある全国展開カフェ、動物系カフェ、ネットカフェなど、競合が多様化しています。
コンビニエンスストアのテイクアウトコーヒーやファストフードのコーヒーの品質の高さもあなどれません。
そのような激戦区で自分のお店を選んでもらうには、顧客の選択根拠となる競合店にはない価値が求められます。
④生活様式の変化
感染症流行によるライフスタイルの変化で、喫茶店需要が減少しているという逆風もあります。
2021年度の喫茶店の廃業件数は過去最多といわれており、今後しばらく影響が続く可能性があるでしょう。
カフェ・喫茶店は昔ながらのスタイルからの変換期を迎えているのかもしれません。
カフェ経営の厳しさを正しく理解する
カフェ経営は大手チェーンですら苦戦する時代です。個人経営の場合、より現実は厳しいでしょう。
長く続いている個人経営カフェを街で見かけるかもしれませんが、必ずしも収益を出しているとは限りません。本業が別にある、引退した方が趣味でやっている、所有物件で賃貸料がかからないなど、特別な理由があるケースが多いからです。
上記のような特別な条件でない限り、カフェ経営への安易な参入は禁物です。カフェの開業を成功するためには、周到な戦略と準備が求められます。
カフェの個人オーナーはどれくらいの年収が期待できるのか？
実際に個人経営のカフェオーナーはどの程度の年収が期待できるのでしょうか？毎月の売上シミュレーションから、期待できる年収の目安を予想しましょう。
前述の厚生労働省の報告から、個人経営店の以下の客数・単価を基準にします。
・売上は、1日平均客数35.1人、平均客単価1573.7円で計算
・利益率は、一般的な飲食店経営の目安の10％で計算
35.1人×1,573.7円＝1日の平均売上が55,236.87円です。月に20日間営業すれば、月間売上は55,236.87円×20日＝1,104,737円で、ここから仕入れ原価や人件費、家賃、水道光熱費など必要経費を引いた金額がオーナーの手元に残ります。
利益率10％とすると、1,104,737円×10％＝利益は110,474円で、年収にすると130万円ほど。仮に利益率20％だとしても300万円未満の年収になります。経営の厳しさが良くわかる数字です。
個人がカフェ経営を成功させるために意識したい5つのポイント
個人経営のカフェを成功させるには、以下の5つのポイントを意識することが大切です。
①大手チェーンにはない価値提供による客単価向上
資金力のある大手チェーンと同じ土俵で戦ってもまず勝ち目はありません。全国展開店舗にはない価値の提供こそが顧客を惹きつける要因になるでしょう。価値が伝われば価格競争の必要もなく、集客アップ・客単価アップの可能性が高まります。
独自の価値提供の例としては、以下の記事でご紹介しているお店の事例が参考になりますので、ぜひチェックしてみてください。
『店舗でもネットショップでも 「なんかおいしい」体験を伝えたい - LIGHT UP COFFEE -』
②メニューの絞り込みによるコスト削減
メニューの多さは魅力かもしれませんが、調理の手間がかかるうえにロスが多いと原価率が上がり経営を圧迫します。
以下の観点でメニューを絞ってみましょう。
- 原価が高くないか？
- 賞味期限の短い食材を使っていないか？
- 一日の売上は？
- 調理に手間がかかりすぎないか？
- 大手チェーン店でも食べられるメニューではないか？
- お店のコンセプトとズレたメニューではないか？
③デジタルツールの活用による業務効率化
人件費は業務の効率化で削減できるはずです。デジタルツールを導入し、自動化できる部分は自動化してしまいましょう。おすすめは以下のシステムです。
STORES レジ
レジとしての利用に加え、ネットショップを運営する場合は店舗データとの一元管理も可能、STORES 決済 と連携すればキャッシュレスにも対応できます。売上データはWebで確認でき、期間の絞り込み、CSVダウンロードもOKです。
STORES 決済
クレジットカード（タッチ決済対応）・電子マネー・コード決済などのキャッシュレス決済に対応したシステムです。初期費用・固定費は不要で、気軽にお試しできます。新規開業の方向けのサポートが充実している点も魅力です。
STORES 予約
予約の管理はもちろん、事前決済や回数券機能もあり、カフェ経営に役立つ仕組みが豊富です。さまざまなタイプの予約に対応しており、カフェ運営をサポートしてくれます。
オンライン・オフライン両方を活用した集客戦略
カフェの経営を成功させる最大のポイントは、安定した集客を実現することです。
コーヒーの味や内装、接客などの提供価値を磨くことはもちろん重要ですが、それらが優れていたとしても集客できるとは限りません。お店の存在や魅力を周知してお客を集めるための施策が必要です。
オンラインの集客では、TwitterやInstagramなどのSNSを活用したりネット広告を出稿したりするのがおすすめです。
オフラインではチラシの活用もおすすめです。チラシの作成は難しく思えるかもしれませんが、無料のアプリやサービスを使えばプロが作ったかのようなハイクオリティなデザインのチラシを作ることができます。
『スマホで！PCで！無料でチラシ作成できるおすすめアプリ&サービス5選』
インターネット販売による販路拡大
実店舗に限定してしまうと売上に限界を感じるかもしれません。そこで、インターネット通販で販路を拡大するのも有効な選択です。
コーヒー、パン、スイーツなど、カフェには魅力的な商品がそろっています。カフェオリジナルのマグカップやTシャツなども販売できますし、「コーヒーのおいしい淹れ方」「コーヒー豆の選び方」といったオンラインセミナーを開催することも可能です。アイデア次第で、販路拡大の可能性はいくらでも広がります。
インターネット通販と聞くと敷居が高く感じるかもしれませんが、現在は STORES のような手軽にネットショップを構築できるサービスがあるので、WebやITの専門知識は必ずしも必要ありません。
以下の記事で、カフェのネットショップを開業するためのポイントや事例を解説しているので、ぜひご参照ください。
『カフェのネットショップ開業！コーヒーのネット通販に必要な許可やポイントを解説』
カフェ経営に関するQ&A
カフェ経営に関して質問の多い項目をまとめました。
なお、それぞれのQ&Aの内容については、以下の記事でも詳しく解説していますので、併せて参考にしてみてください。
『喫茶店開業に必要なステップは？成功のコツや資格・資金もチェック』
必要な資格や許可は？
カフェに限らず、飲食店の開業には食品衛生責任者が必須で、各都道府県の食品衛生協会が開催する講習を受講すれば資格取得できます。
保健所に店舗営業許可申請をする際にも食品衛生責任者の資格が必要です。許可には厨房・食器棚・空調など店舗設備に細かい規定があります。所轄の保健所に事前相談に行っておきましょう。
収容人数30名以上の飲食店を開業する場合、防火管理者も必要で、日本防火・防災協会開催の講習を受講すれば取得できます。
調理師免許などは特に必要ありませんが、調理師や栄養士の有資格者は講習会受講なしで食品衛生責任者に認められます。
独立開業であれば管轄税務署に開業届を提出しますが、確定申告の際に最高65万円の控除が受けられる「青色申告承認申請書」も提出しておくとよいでしょう。
開業に必要な資金の目安は？
店舗の家賃・敷金・礼金、内装工事費、設備費用、開業後の当面の運転資金などを合計すると、1,000万円程度は必要と考えましょう。
自宅の一部を改装してカフェとして営業する場合も、内装費・設備購入費などで600～800万円は必要です。
店舗型ビジネスは開業時のイニシャルコストが高くなってしまいがちなため、自己資金だけでは不足する場合が多いでしょう。融資の利用や補助金・助成金の活用も視野に入れてください。
一定の条件を満たすと利用できる補助金や助成金は基本返済義務がありません。各自治体の創業支援の補助金制度や助成金制度を調べてみましょう。
例えば、東京都港区の「新規開業賃料補助」は、店舗の月額賃料の3分の1（最大50,000円）を補助する制度で期間は1年間、年に2回募集があります。
厚生労働省には、アルバイトスタッフを正社員登用するともらえる「キャリアアップ助成金（正社員化コース）」があります。客席の分煙用に設備導入する際に利用可能な「受動喫煙防止対策助成金」もあり、申請条件や期限などを確認しましょう。
参考：
新規開業賃料補助｜東W京都港区
キャリアアップ助成金｜厚生労働省
受動喫煙防止対策助成金｜厚生労働省
毎月のランニングコストはどれくらい？
オーナーだけでカフェを経営しても、家賃・水道光熱費・仕入れ費用などで、70万～80万円ほどは必要です。
店舗運営に欠かせない費用を大幅に削減するのは難しいですが、ラニングコストダウンは利益向上に直結します。売上高に関係なく発生する固定費は特に意識し、契約先の変更など可能な限り削減しましょう。
代表的な固定費
- 人件費
- 家賃
- 水道光熱費
- 通信費
- 減価償却費
人件費はデジタルツールの導入でかなり削減できますし、通信費は契約内容や契約先の変更で削減できる可能性があります。契約プランに不要なスペックや利用していないオプションがないかなど、チェックしてみましょう。
長く愛されるカフェを開業しよう
カフェ経営が難しい理由とオーナーの収入目安、成功につながるポイントをお伝えしました。
価値観やライフスタイルの大きな変革期を迎えている今こそ、大手チェーン店にはないコンセプトで顧客に訴求するカフェを開業する良い機会です。成功事例も参考にしながら、ぜひカフェの開業・経営にチャレンジしてみてください。
『カフェのネットショップ開業！コーヒーのネット通販に必要な許可やポイントを解説』
