クレープ屋さんは、子どもや若い女性を中心として根強い人気を誇っています。イベントでも長蛇の列ができることは珍しくありません。しかし、無計画な開業は失敗の可能性があるのも事実です。
そこで今回は、クレープ屋さんを開業するのに必要な許可や資金の目安、成功させるためのポイントを説明します。クレープ屋さんのメリット・デメリットや、開業に必要なものもお伝えしますから、クレープ屋さんの開業を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
- クレープ屋さんを開業するメリット・デメリット
- クレープ屋さん開業に必要な許可
- クレープ屋さんの開業に必要なもの
- クレープ屋さんの開業に必要な資金の目安
- クレープ屋さんを成功させるポイント
- クレープ屋さんの開業ポイントまとめ
クレープ屋さんを開業するメリット・デメリット
まず、クレープ屋さんを開業するメリットとデメリットを確認していきましょう。
メリット
たこ焼き屋などと比べて、クレープは日常的な食べ物ではありません。家庭ではクレープ屋さんのような薄くおいしいクレープを簡単には作れないこともあり、クレープ屋さんを見かけるとついつい買ってしまいたくなるような希少性があります。
そのため、イベントなどでも売上が良いのが特徴です。たこ焼きや焼きそばなど食事系とはターゲットがずれるため、競合が少ないのもメリットでしょう。
またクレープは、トッピングがメインのため、トッピングの組み合わせ次第でオリジナルのメニューを作りやすいのもメリットです。
魅力的なトッピングを組み合わせたクレープは、SNS映えするのもポイント。おもなターゲット層の若い女性にも訴求しやすいといえます。
デメリット
一方で、クレープ屋さんにはデメリットもあります。まず単価が安いため、薄利多売で売上を増やさなければなりません。焼く手間がかかるため、回転率が落ちてしまうのもデメリットです。
客層が子どもや若い女性が中心となり、高齢者はあまりターゲットになりません。そのため、出店する地域をよく吟味する必要があります。
ほかにも、クレープといえば生クリームのイメージが強いため、夏やランチタイムには売上が落ちてしまうこともデメリットの一つです。
クレープ屋さん開業に必要な許可
クレープ屋さんを開業するのに必要な許可には、食品衛生責任者、飲食店営業許可などがあります。それぞれ、確認していきましょう。
食品衛生責任者
クレープ屋さんを開業する場合、食中毒を発生させたり食品衛生法に違反したりしないために食品衛生責任者を置くことが求められます。食品衛生責任者の資格を新たに取得する場合は、6時間程度の講習を受けなければなりません。もし、調理師免許や栄養士の免許をもっていれば、講習を受けなくても資格を取得可能です。
飲食店営業許可
クレープ屋さんを営業するには、飲食店営業許可が必要です。許可をとるには、次のような手続きが必要なため、開業を決めたら早めに手続きを進めていきましょう。
- 事前相談:内装・外装工事を始める前に図面を持参して相談
- 営業許可申請:施設完成予定日の約10日前に申請
- 施設の確認検査:保健所の職員が実際に店舗を確認
- 営業許可書の交付
- 営業開始
調理師免許は必須ではない
クレープ屋さんを開業するのに、調理師免許は必要ありません。ただし調理師免許があれば、お店の信頼性や好感度アップにはつながる可能性もあります。調理師資格をもっている場合は、積極的にアピールしてみても良いでしょう。
インターネット販売するなら食品衛生法に基づく営業許可が必要
クレープをインターネットでも販売する場合は、食品衛生法に基づく営業許可が必要です。食品衛生法と食品衛生法施行令では、34業種について営業許可が必要とされています。クレープのインターネット通販であれば、冷凍が必須のため「食品の冷凍又は冷蔵業」の許可をとらなければなりません。
インターネット通販の際には、食品表示法に基づく栄養成分のラベル表示も必要です。小規模事業者だとラベル表示義務が免除される場合もありますが、免除されない場合もあるため、インターネット販売を始める前には、食品表示法もよく確認しておきましょう。
食品のインターネット販売は、下記記事で詳しく説明しているので、参考にしてみてください。
『ネットで食品販売業をやるなら?食品のネット販売で必要な資格・許可や関連法律まとめ』
キッチンカー型(移動販売)で開業する場合の注意点
キッチンカー型(移動販売)で開業する場合は、店舗とは異なる点に注意しなければなりません。
まず、保健所が定める施設基準をキッチンカーが満たしている必要があります。キッチンカーで始める場合は、既存の車を改造することになりますが、施設基準に詳しい信頼できる業者に改造を依頼するのがおすすめです。
2021年6月から、施設基準は全国で統一されましたが、地域によっては細かい規定が残っている可能性もあります。キッチンカーを導入する際には、事前に各地域の施設基準をよく確認しておきましょう。
また移動販売では、販売をする地域ごとに営業許可が必要です。一つの営業許可で、自由にどこででも移動販売ができるわけではないため注意しましょう。
キッチンカーでの開業は、下記記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
『キッチンカーを開業するには?開業方法や必要な資金についてご紹介』
クレープ屋さんの開業に必要なもの
クレープ屋さんの開業に必要なものを紹介していきます。
クレープ焼き器
クレープ焼き器とは、クレープを焼くための専用の鉄板です。フライパンなどでもクレープ自体は作れますが、薄くおいしいクレープを焼くのは難しいでしょう。
クレープ焼き器には、電気式とガス式の2つがあります。それぞれのメリットとデメリットをまとめてみました。
電気式 |
ガス式 |
|
メリット |
・鉄板の温度調整がしやすいため、焼き加減で失敗しにくい ・夏場でも暑くなりにくい |
・火力が強いため焼き上がりがふわっとする ・連続で焼いても安定した焼き上がり ・本体が安い |
デメリット |
・連続で焼くと温度が下がる ・本体が高い ・電気使用容量が大きい |
・屋内イベントなどでは使えないことがある ・夏場は暑くなる |
それぞれにメリットとデメリットがあります。一般的にガス式のほうがおいしく安定したクレープを作れるとされていますが、それぞれの出店スタイルに合わせたものを選びましょう。
各種備品・消耗品
クレープ焼き器以外で必要なものとしては、冷蔵庫、トンボ、スパチュラが挙げられます。トンボとはクレープを焼き器の上で伸ばすための道具で、スパチュラはクレープを返すためのこてです。
その他に、おたまやクレープホルダーなども必要となります。
店舗型の場合は物件
店舗型のクレープ屋さんを開業するには、物件が必要です。
自宅を改装して開業することも不可能ではありませんが、非日常性が売りであるクレープの場合、立地が重要になるため、あまり推奨はできません。立地の良い貸し物件を選びましょう。
クレープ屋さんは基本的にテイクアウトで、調理スペースもそれほど必要ありません。5坪程度の狭い物件でも開業でき、賃料を抑えられるのがメリットです。
移動販売の場合はキッチンカー
移動販売の場合は、キッチンカーが必要です。
軽トラタイプ、軽バン、普通車バンなどをベースにして改造します。それぞれに長所と短所があるため、自分の販売スタイルに合わせたものを選ぶことが大切です。
例えば、軽バンタイプはお洒落さなどをアピールしやすいですが、車内での調理は座って行なうことになるため、窮屈さを感じてしまうかもしれません。
新車を改造すると数百万円はかかってしまいます。資金が用意できない場合はレンタルやリースを検討するのも一つの方法です。
決済関連サービス
クレープ屋さんなどの開業で見落とされがちなのが、決済関連サービスです。
最近では現金ではなくキャッシュレスを好むお客さまもいることから、キャッシュレス決済に対応していると、他業者との差別化にもつながります。
例えば STORES 決済 は、手軽にキャッシュレス決済を導入できるサービスです。クレジットカードだけでなく、電子マネーやQRコードにも対応できます。
またPOSレジによる売上の管理も重要です。売上の管理や分析により、長期的な成果に大きな違いが出てくるでしょう。STORES レジ はiPadがあればすぐに導入できます。スペースもとらないため、キッチンカーでも邪魔になりません。
クレープ屋さんの開業に必要な資金の目安
クレープ屋さんの開業に必要な資金の目安をまとめてみました。
物件契約費 |
60~100万円 |
内装・外装費 |
100~200万円 |
キッチンカー購入費 |
200~300万円 |
厨房設備費 |
10~150万円 |
広告費 |
10~20万円 |
運転資金 |
120~240万円 |
店舗の場合は300~700万円程度、キッチンカーの場合は350~700万円程度かかることになります。ただし、これはあくまで目安です。例えば店舗の場合は、居抜き物件を使えば安くできますし、キッチンカーの場合は中古やリースを使えば大幅に費用を抑えられます。
逆に店舗やキッチンカーの内装や外装にこだわると、これ以上の金額になってしまうかもしれません。
クレープ屋さんを成功させるポイント
クレープ屋さんを長期的に成功させるためには、いくつかのポイントがあります。それぞれを確認していきましょう。
回転率を上げる
クレープの単価は基本的に500~1,000円程度で、薄利多売の商売です。
売上数を稼ぐことが求められ、そのためには、回転率をいかにして上げるかが重要となるでしょう。回転率が下がり、待ち時間が増えるとお客さまの満足度も下がってしまいます。
STORES 決済 のようなキャッシュレス決済への対応で、会計の手間を大幅に短縮することも回転率を上げる工夫の一つです。
利益が残る価格設定にする
他店との差別化にこだわるあまり、材料費をかけすぎてしまうのは、よくある失敗例です。しかし、クレープは薄利多売な商品です。できるだけ利益率を高くできるようにしなければなりません。
下記記事では値段の付け方を詳しく解説しています。価格設定に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
『商品の値段の付け方とは?〜仕入れ価格から販売価格を決める〜』
お店の独自の売り(USP)を明確にする
クレープ屋さんを成功させるのに大切なことは、お店の独自の売り(USP)をはっきりさせることです。よくやってしまいがちなのが、クレープの味や値段、品ぞろえ、原料などさまざまなことに訴求しすぎて、USPがぼやけてしまうこと。
例えば、「○種類以上の味のクレープを選べます」といったように、できるだけ一つに絞り、看板やチラシ、SNSなど広告を通じて積極的にアピールしていくことが重要です。USPが広く浸透すれば、安定した経営が可能になるでしょう。
クレープ屋さんの開業ポイントまとめ
飲食店のなかでも、クレープ屋さんは開業資金が少なめで済むため、参入障壁は低いといえます。しかし、長期的に安定した経営をしていこうと思うと、しっかりとした戦略が必要とされるのも事実。
クレープ屋さんを成功させるためには一番大切なことは、USPをはっきりさせることです。また回転率を上げることも大切で、そのためにはキャッシュレス決済の導入なども重要になってくるでしょう。STORES 決済 などのサービスをうまく活用して、他店との差別化を作り出していきましょう。