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歯科医院開業に必要な資金とは?開業資金の調達方法と節約術を紹介

歯科 医院 開業 資金

 

コンビニよりも店舗数が多いと言われている、歯科医院。開業には多額の費用が必要ですが、安定した需要を見込める業種です。

 

本記事では、これから歯科医院の開業を目指す人に向けて、必要な資金の目安を紹介します。開業時の費用を節約する方法も押さえて、資金面の不安を解消しましょう。

歯科医院の開業費用が高い理由

歯科医院を開業するには、物件の取得費用や治療設備など、さまざまな資金が必要になります。他の業種に比べて開業費用が高いといわれていますが、その理由は何なのでしょうか?

歯科特有の設備にお金がかかる

歯科医院の開業費用が高いとされるのは、歯科特有の設備や医療機器に大きな金額が必要になるためです。開業時点では導入しなくても支障が出ないような、優先度の低い設備は多くありません。

さらに排水工事をはじめ、歯科医院だからこそ必要な工事もあります。一つ一つの設備が高額な上、レントゲンを入れる場合は放射線の防護工事も必要になってくるでしょう。トータルで考えて、高額な初期費用を用意しなければならないのです。

歯科医院開業に必要な資金目安

歯科 医院 開業 資金

 

歯科医院の規模や専門領域などによって、用意しておくべき資金額は変わってきます。ただ、内訳とそれぞれにかかる費用を知っておくことで、開業に向けて予算を立てやすくなるでしょう。

①医療機器に必要な費用

医療機器の導入にかかる費用は、トータルで2,000万~3,000万円は必要といわれています。

例えば、歯科医院に欠かせないチェアユニットには、平均して200万〜300万円かかります。安いものでも100万円ほどするため、3台導入するならチェアユニットだけで300万~1,000万円はかかる計算です。

さらに、バキュームシステムやコンプレッサーなどの工事費用に約1,000万円、レントゲン設備を導入する場合は追加で1,000万円ほど必要になるでしょう。

他にも細かい治療器具や滅菌機(オートクレーブ)、超音波スケーラーなどを導入するとなれば、医療機器や設備だけで3,000万円を優に超える資金を用意しなければいけません。

②物件にかかる費用

医院にする物件の取得にも、相応の費用がかかります。居住用の不動産と同様に、物件のオーナーや不動産業者と賃貸借契約を結ぶのが一般的です。

初期費用としては数ヶ月分の賃料や敷金(保証金)・礼金に加え、不動産業者に支払う仲介手数料などが必要です。

事業用の物件では、敷金を賃料の6〜15ヶ月分に設定していることが多くなっています。礼金は賃料の1〜2ヶ月分が目安です。仲介手数料は0.5ヶ月分か1ヶ月分に設定されます。

1ヶ月60万円の物件を借りる場合、敷金と礼金・仲介手数料だけで450万円はかかる計算です。賃料の前払いもあれば、さらに物件の取得費用は高くなります。トータルの取得費用が賃料の10倍を超えるケースも珍しくありません。

物件によって初期費用は変わるものの、少なくとも賃料の10ヶ月分は予算に組み込んでおいた方がよいでしょう。

③内装にかかる費用

歯科医院の内装工事にかかる費用は、1,500万~2,000万円程度とされています。クリニックの規模によって必要な資金は大きく変わりますが、商業施設とは違って特殊な設備工事が必要なのはどの医院でも共通です。

さらに、歯科医院として必要な設備に加えて、待合室のテーブルや椅子・受付やトイレに設置する備品などの購入費用も考える必要があります。内装の費用にプラスして、200万円以上は用意しておいた方が安心です。

当座の運転資金

歯科医院の開業後、しばらく収入が安定しないケースは珍しくありません。

利用者が増えるまで時間がかかる上に、開業から2ヶ月は保険診療の収入が3割分となり、自費診療からしか収入を得られないためです。開業当初は、事業を運営するのに十分な収入を確保できない可能性があります。

開業資金として、しばらく収入がほとんどなくても医院を続けられるだけの運転資金を用意しておかなければいけません。

毎月の経費や生活費に困らないよう、最低でも『月の粗利益(売上高から経費を引いたもの)の6ヶ月分』は運転資金を準備しましょう。毎月200万円の粗利益を見込むのであれば、1,200万円の運転資金が必要です。

自己資金の目安と調達方法

歯科医院に限らず、事業を始めるには一定の自己資金を用意しなければいけません。金融機関から資金を借りたくても、基本的に自己資金がなければ融資を受けられないためです。自己資金の目安と開業資金の調達方法を解説します。

最低でも500万円が目安

自己資金は最低でも、500万円は用意しておきましょう。他の業種では開業に必要な資金を全て自己資金で賄える場合もありますが、歯科医院だと最低でも数千万円かかるため難しいでしょう。

資金のほとんどを金融機関から借りるにしても、10~20%の自己資金を準備しておかなければいけません。

例えば、開業にトータルで5,000万円の資金が必要なら、金融機関から融資を受ける条件を満たすためには、10%にあたる500万円の自己資金を用意する必要があるのです。

自己資金は、多ければ多いほど融資を受けやすくなります。5,000万円の開業資金のうち1,000万円程度を自分で用意できるなら、スムーズに開業できる可能性が高いでしょう。

金融機関からの融資

歯科医院の開業には多額の資金が必要なため、金融機関から融資を受けることになるでしょう。財務省管轄の政策金融機関である、『日本政策金融公庫』からの借入です。

民間の金融機関に比べて低金利で、長期間資金を借り入れることが可能です。『新規創業融資制度』では、無担保かつ保証人なしで借入でき、上限額は3,000万円となっています。

また、厚生労働省が管轄している『福祉医療機構(WAM)』は、医療機関の運営者に向けて貸付を行っています。こちらも長期間・低金利の借入が可能です。条件を確認して問題がないようなら、借入を検討してみましょう。

民間の金融機関も利用はできますが、個人への融資のハードルは高く金利も高めです。民間の銀行は最後の手段として、まずは国が主体の融資を受けられないか確認した方がよいでしょう。

参考:

新創業融資制度|日本政策金融公庫
ご融資の種類(診療所) | WAM

親族からの借入・贈与

親族が十分な資産を持っているなら、開業資金の一部を借りられるかもしれません。金融機関からの融資は利息の支払いが必要ですが、親族からだと無利子か低金利で貸してもらえる可能性があるでしょう。

歯科医院は安定しているといわれるものの、開業費用が多額になるため二の足を踏んでしまう歯科医師も多いようです。親族から開業を資金的に援助してもらえれば、開業のハードルが下がります。

ただし、借入でなく『贈与』として受け取るときは、金額によって贈与税がかかる点に注意が必要です。課税方式に『相続時精算課税』を選ばない限り、年間で110万円を超えた分には税金がかかります。

贈与税で受け取った金額を減らさないためにも、開業までに十分な年数を取って、小分けに受け取る方がよいでしょう。

参考:相続時精算課税の選択|国税庁

開業後に補助金を利用するのも手

開業資金はベースとなる自己資金に加えて、開業前に不足分を融資で補うのが一般的です。ただ、開業してから補助金を利用して負担を軽減する方法もあります。歯科医院を開業した後、どのような補助金を利用できるのでしょうか?

IT導入補助金

『IT導入補助金』は、中小企業や小規模事業主が事業の課題解決にITツールを導入するとき、その経費の一部を補助してもらえる制度です。医療法人も対象に含まれます。

IT機器を導入する予定の歯科医院は、申請すれば費用負担を軽減できるかもしれません。補助金は融資と違って返済が不要なので、開業費用の負担を減らしたいなら積極的に活用しましょう。

参考:事業概要 | IT導入補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

通称『ものづくり補助金』と呼ばれる制度は、中小企業や小規模事業主がサービスの開発や業務プロセスを改善するとき、設備投資にかかる費用を援助するものです。

働き方改革やインボイスの導入など、複数年にわたって直面する制度変更への対応に、設備投資が必要なケースは多くあります。制度変更による負担を公的に軽減するために、ものづくり補助金が作られました。

歯科医院の場合も、設備投資にかかる費用を軽減できる可能性があります。条件を確認した上で、対象になるようなら応募を検討しましょう。

参考:トップページ|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

トライアル雇用助成金

厚生労働省所管の『トライアル雇用助成金』は、職業経験や技能面の理由から就職が難しいとされる求職者を積極的に雇用すると、助成金が支給される制度です。1カ月あたり4万円の報奨金が支給され、最長で3ヶ月の期間があります。

最長の3ヶ月まで試用期間として雇用すれば、12万円が助成金として支給されるのです。スタッフを雇用するコストの軽減につながります。広く人材を募集したいなら、応募も視野に入れましょう。

参考:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)|厚生労働省

開業費用を節約する方法とは

歯科医院の開業には多額の資金が必要です。運転資金や集客に使える資金を確保するためにも、高くなりがちな開業費用を抑える工夫を知っておきましょう。

①雇用の仕方を工夫する

スタッフの人件費は、運転資金の中でも大きな割合を占める項目です。しかし、安く雇うのが必ずしも良い解決策とは限りません。

歯科医院の運営に役立つ資格やスキルを持っていて、幅広い場面に対応できる優秀な人材を雇えば、結果的に開業時の出費を抑えることにつながるでしょう。

優秀な人材は採用コストや報酬こそ高くなりますが、多くの場合、教育にかかる費用は少なく済みます。少数精鋭で仕事が回りやすいため、結果的にトータルの人件費を抑えられる可能性もあるのです。

子育てや介護と仕事を両立したい人材を雇用して、『両立支援等助成金』を給付してもらうのも一つの手です。生産性を下げずにコストカットにつなげる雇用ができると、売上が伸びにくい開業初期を乗り切りやすくなります。

参考:両立支援等助成金|厚生労働省

②削れる費用はとことん削る

どうしても必要なもの以外はできるだけ安く済ませる意識も、開業費用の負担を軽減するのに役立ちます。賃貸の事業用物件を使うなら、設備や内装が残った『居抜き物件』を選ぶのが節約の例です。

設備や備品の中で、歯科治療に直接は影響しないものを安く仕入れる方法もあるでしょう。中古品を購入したりすでに所持している物を加工したりすれば、設備投資費を抑えられます。

患者の予約や会計などは、オンラインのシステムで対応できるようにしておくと人件費の節約につながります。『STORES 予約(ストアーズ予約)』なら、診療予約の管理や顧客管理・決済まで幅広く対応可能です。

病院・診療の予約システム|無料から使える予約システム「STORES 予約」

必要資金を把握して動き出す指標にしよう

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歯科医院は治療のために高額な機器や設備を導入しなければならないため、どうしても多額の開業資金が必要になります。自己資金だけでは賄えないケースが多いので、日本政策金融公庫や福祉医療機構からの借入を検討してみましょう。

親族から借りられれば利子も抑えられるはずですが、贈与の場合は金額によって税金がかかります。受け取り方には注意が必要です。

雇用の仕方や物件・設備・備品のそろえ方を工夫すると、開業費用の負担を減らせます。紹介した内訳やそれぞれの相場を把握した上で、必要な資金を確保する準備を始めましょう。

 

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