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開業資金の準備に自己資金は欠かせない?資金調達の方法もチェック

開業 資金

 

ビジネスを始める際、金融機関からの融資を考える人が多いはずです。しかし自己資金が全くなければ、融資を受けるのは難しくなってしまいます。

 

自己資金を用意する方法から開業資金を準備するポイント、創業に活用したい制度やサービスまで紹介します。

事業スタートには「開業資金」が必要

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『開業資金』は、事業を始める前に準備が求められます。しかし初めて事業を始める場合、開業資金の使い道や金額に疑問がある人も多いはずです。

まずは用意する目的や平均額をチェックして、開業資金についての理解を深めましょう。

開業資金は事業に必要なお金の一つ

開業資金は事業を開始する際に、必要な設備や店舗などを用意するためのお金です。パソコンやプリンターといった備品の購入費用や、物件の改装費用、オフィス家具の購入費など、ビジネスによって必要な資金は変わってきます。

お店を始める場合は、店舗となる物件の保証金を含む初期費用や、テーブルや椅子を買うお金も準備しなければいけません。

ビジネスを自分で運営するにあたっては、開業時に必要なお金の他に『運転資金』もかかります。人件費やオフィス、店舗の家賃など、毎月継続して負担しなければならない資金です。

最初は事業の利益が思うように上がらないと想定して、当面の運転資金まで用意しておいた方がよいでしょう。

開業資金の平均額

事業を始めるには初期費用当面の運転資金がいるため、一定額以上の開業資金を用意しなければなりません。業種によって必要な額は変わってくるものの、1,000万円程度が開業資金の平均額になっているようです。

しかし近年は少額で事業を始める人も増えてきました。日本政策金融公庫の調査によれば、開業資金500万円未満の事業主は全体の43.7%に上ります。

これは開業に必要な負担が全業種で一律に減っているわけではなく、比較的安価に開業できる業種で事業を興す人が増えているためです。ビジネスの種類や始め方によっては、必ずしも大きな資金が必要とは限りません。

参考:2020年度新規開業実態調査|日本政策金融公庫

自己資金ゼロでも開業できる?

開業資金を準備する場合、多くの事業主は自らの貯金や金融機関からの融資を考えるはずです。では手元の資金がゼロまたは限りなく少なくても、開業はできるのでしょうか。

自己資金の必要性

自己資金がほぼゼロの状態で、開業資金を金融機関から借りようとする人もいます。しかし、ある程度は自己資金を用意しておかなければいけません。

主な資金調達先となる金融機関が、資金の貸し出しに対して自己資金の条件を設けている場合が多いためです。

自己資金が全くない状態だと、そもそもお金を借りられないケースがほとんどで、まとまった初期費用が必要な事業は始められません。

金融機関の定める条件をクリアするためにも、開業資金の3~5割は自己資金を用意しておきましょう。返済の負担を考慮しても 3割以上は自己資金で賄うのが無難です。

自己資金の条件

事業主に融資する際の自己資金の条件は、融資をしている組織によって変わってきます。

起業家の多くが頼る日本政策金融公庫の場合、開業資金の1/3以上を自己資金で賄えれば融資を受けやすくなるとされています。開業資金が1,000万円必要であれば、330万~340万円は自己資金を用意する必要があるということです。

できるだけ多くの自己資金を準備することが、金融機関から融資を受けるポイントです。ただし自己資金と見なされるのは、事業主の預金口座をはじめ、出どころが明確に確認できるお金に限られます。

預貯金や贈与金、退職金など、確実に事業主が所有していて返済義務もないお金でなければ自己資金として認められません。融資を目的として借り入れた『見せ金』は、自己資金にできない点に注意が必要です。

金融機関は融資審査の際、事業主に不自然なお金の流れがないか確認します。自己資金があるように見せかける方法は、一切通用しないと考えましょう。

自己資金を用意する方法

事業を開始するにあたって、十分な預貯金があれば自己資金として問題なく使えるでしょう。しかし融資を得るために必要な自己資金がない場合は、相応の時間をかけて準備する必要があります。

自己資金を用意するのにおすすめなのは、給与から毎月一定額を天引きして積み立てる『自動積立』や、退職金を自己資金に充てる方法です。

会社員として働いている人は、早くから給与の一定額を積み立てておき、独立時に自己資金として活用しましょう。

退職金を自己資金に充てて開業する人も多くいます。将来の開業に向けて生活費を削り、貯金に回している人も少なくありません。

いずれの方法で用意した資金も、出どころが明らかで返済義務もないお金です。短期間では十分な金額をためられないので、早めの退職相談も含め長期的な計画を立てましょう。

開業資金の融資を受けるには

融資を受けるには自己資金の条件をクリアする必要があるので、まずは自己資金の準備に注力しなければいけません。手元のお金が十分に用意できたら、開業に必要な資金の融資を受けられます。

選択肢は金融機関や日本政策金融公庫

開業資金の融資元としては、銀行や信用金庫などの金融機関や日本政策金融公庫が挙げられます。ただし、どの金融機関からでも融資を受けられるわけではありません。

ビジネスの規模や業種・事業形態などによって、融資の可否や貸付条件が変わってきます。例えば、メガバンク(都市銀行)が融資をするのは大企業に限られており、個人で立ち上げた事業ではほぼ審査に通りません。

地方銀行や信用金庫は地域密着型の営業をしているため、中小規模の事業でも融資を受けられる可能性があります。

日本政策金融公庫の場合、民間の金融機関から融資を受けるよりも金利が低く返済期間も長めの設定が可能です。開業資金の3割ほど自己資金があるなら、日本政策金融公庫からの融資を狙ってみましょう。

ただし日本政策金融公庫も、他の金融機関に比べて審査基準が緩いわけではありません。一定の自己資金や事業に関する申告、面談が必要です。十分な準備をしてから融資を申し込みましょう。

事業計画書の作成が必要

金融機関や日本政策金融公庫から融資を受ける際には、『事業計画書』の作成が欠かせません。事業計画書とは業種や具体的なビジネスの内容、拠点となる物件情報などのプランを書いた書類です。

事業計画書のフォーマットは金融機関によって変わってきますが、商品やサービスの特徴と強みから集客方法・資金の返済計画まで細かく記載する必要があります。

少なくとも金融機関の担当者に「この事業ならお金を貸しても大丈夫だ」と判断してもらえる内容にしなければなりません。

事業の理念や目的も明らかにする必要がありますが、売上や利益に関する緻密な計画と確実に資金を返済できるプランはさらに重視されます。

日本政策金融公庫で面談するときのコツ

日本政策金融公庫から融資を受けるとき、一定の自己資金を用意した上で事業計画書を作成し面談を受ける必要があります。

面談では事業主の経歴や職歴、創業の動機に加えて、事業内容や事業が成功する根拠・競合との差別化ポイントなどを論理的に説明しなければいけません。

自己資金の準備状況や通帳の入出金状況なども質問されます。融資担当者の質問内容から「何を知るために聞いているのか」を考え、的確な答えを返しましょう。

融資してもらった資金の使い道によって、返済期間や金利が変わってくる可能性もあります。店舗・設備の購入費や目下の運転資金など、お金の具体的な使い道も詳細に説明できるように準備しておきましょう。

創業にあたって知っておきたい制度やサービス

事業を興すときは出費の負担を軽減できる制度や、知識の習得に便利なサービスも積極的に活用しましょう。自治体が行う融資・補助の制度と、開業資金について学べる講座の特徴を解説します。

低金利での融資・補助

地域で新規に開業する事業主を、資金面で支援する制度が設けられている自治体もあります。

埼玉県では起業家の育成資金として設けられた『新事業創出貸付』という制度があります。最大で1,500万円の設備資金と、運転資金の融資を低金利で受けられます。

ただし融資を受けるには、融資を希望する額と同額の自己資金を有していなければなりません。実際に融資を受けてから1ヶ月以内に個人事業を開業するか、2ヶ月以内に法人を設立することも条件です。

東京都では東京都中小企業振興公社が『創業助成金』の事業を行っています。助成額の上限が300万円であるほか、応募の要件にも埼玉県とは違いがあります。

全国の自治体で助成金や補助金の制度が用意されているため、詳しい情報は住んでいるエリアごとに調べてみましょう。

参考:

新事業創出貸付|埼玉県
サービス紹介 - 創業助成事業 | TOKYO創業ステーション

開業資金について学べる講座

民間の起業支援団体による講座やセミナーが、近年は多く開催されています。開業資金の調達方法や手続きについて知識を深めたい人は利用を検討しましょう。

弁護士や会計士、税理士などに起業資金に関する質問ができるサービスや、起業のノウハウを学べる講座・事業計画書の作成サポートを受けられるものなど、さまざまなサービスがあります。

各地の商工会議所でも創業のサポートが受けられるので、初めて事業を興す人には心強いでしょう。無料で利用できるサービスも多く、資金に余裕がない起業家でも気軽に相談できます。

オンラインで開業資金を調達する手段

開業 資金

 

開業資金の調達は金融機関から融資を受ける以外に、オンラインでのクラウドファンディングや投資家から資金を出資してもらう方法も選択肢です。

特に近年はクラウドファンディングで資金を集めて、ビジネスを開始する人が増えています。オンラインでの資金調達方法についても知識を備えておきましょう。

クラウドファンディング

『クラウドファンディング』とは、インターネットを通じて不特定多数の支援者からお金を集める方法です。一人ひとりの支援者から少額のお金を援助してもらい、お礼として商品やサービスの提供をする仕組みです。

クラウドファンディングで集めた資金は、事業に関するものであれば事業主が自由に使えます。返済や利息の支払い義務はありません。

多くの人に事業にかける思いや、社会に提供する価値をアピールしたい人にマッチする資金調達方法です。事業の認知度を広められるでしょう。

ただし思ったように資金を集められず、労力が無駄になってしまう可能性もあります。事業主のアピール力やプレゼンテーションスキルが要求される上、クラウドファンディングの媒体選びにも工夫が必要です。

エンジェル投資家とのマッチングサイト

『エンジェル投資家』とは、主にスタートアップ企業に出資してくれる個人投資家を指します。将来性のある事業に投資し、その会社が成長したときに株式を売って出る利益や配当を期待する人々です。

個人投資家は自らの判断のみで出資します。うまく説得できれば金融機関に融資を断られた事業でも、返済不要の資金調達ができる可能性があるでしょう。

特にエンジェル投資家は、自身も起業家だった富裕層が多いため、有望な事業だと判断されれば開業資金をまとめて支援してもらえるかもしれません。

近年はエンジェル投資家と事業主をつなぐ、マッチングサイトが台頭してきました。交流会やイベントに参加することで、エンジェル投資家と知り合う方法もあります。

少ない資金でも開業は可能

たとえ自己資金が少なく融資を得にくい場合でも、開業にかかる資金を徹底的に抑えればビジネスのスタートは可能です。少額で開業するためのポイントを確認しておきましょう。

開業にかかる費用を抑える方法

開業にかかる費用を抑えるポイントとしては、最も資金が必要なオフィスや店舗を安く借りる工夫が挙げられます。

例えばバーチャルオフィスを利用して、社員はテレワークで業務をこなす体制にするという戦略が一例です。多額の費用を投じてオフィスを購入したり、高額な家賃を支払ったりする必要はなくなります。

物件を店として借りるビジネスでも、すでに設備がある店舗を安く買い取ったり借り受けて営業したりするとイニシャルコストを大幅に抑えられるでしょう。

ある程度成功している店舗型ビジネスを事業譲渡してもらえれば、初めから黒字経営が実現する可能性も少なくありません。

設備や備品を新品ではなく、中古で購入するというのも資金を抑える工夫です。自身が興したい事業の種類や手元の資金額、近辺の物件など、さまざまな要素を考えて適した戦略を練りましょう。

事業によるコストの違いもチェック

開業する業種が決まっていない場合は、できるだけ初期費用がかからない事業を選択する方法もあります。業種による開業コストの違いをチェックしておきましょう。

例えばIT・クリエイティブ事業の場合、事業主個人の知識や技術があれば、開業資金をほとんどかけずに事業を始められるケースも少なくありません。

Webデザイナーやプログラマー、コンサルティング業は、初期投資額がほぼゼロからでも始められます。

インターネットショップも初期費用が少ない事業の一つです。パソコンとカメラ・ネットショップのシステムさえ用意できれば、仕入費用を負担するだけで始められます。

ECサイトを制作する手間や費用をかけずに、インターネットショップを開業できるサービスが便利です。『STORES』なら予約販売や顧客管理まで一つのシステムで済むため、各種ソフトの導入費用を抑えられます。

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計画的に開業資金を準備しよう

開業資金は、新たに事業を興すにあたって、初期費用や当面の運転資金として必要になるお金です。ある程度の自己資金を長期的に貯めて、足りない分は融資や助成金、オンラインでの支援を検討しましょう。

金融機関や日本政策金融公庫からの融資には、ある程度の自己資金としっかりと練られた事業計画書が必要です。自分の始めたいビジネスを具体的な数値に表せるよう、入念にプランを練る必要があります。

資金調達で分からないことがあれば、民間の起業セミナーや商工会議所でノウハウを仕入れるのも一つの戦略です。十分な知識を備えて、ビジネスのスタートに必要な資金を準備しましょう。

 

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