「今は会社員だけど、資金をためて将来はラーメン屋を開業して独立したい」と思っている方もいるのではないでしょうか。ラーメン屋は比較的簡単に開業できる反面、数年以内に閉店してしまうお店が多いのも事実です。
そこで今回は、ラーメン屋の開業方法について紹介します。開業に必要な資金の目安から必要な資格や許可、成功させるポイントなどもお伝えしますので、ラーメン屋の開業を検討している方はご一読ください。
ラーメン屋開業は儲かる?
町中を歩いていると、至るところにラーメン屋があります。実際のところ、ラーメン屋は儲かるのでしょうか。ここでは、ラーメン屋がたくさんある理由やラーメン屋の年収について説明します。
比較的開業はしやすい
ラーメン屋は飲食店のなかでも、比較的開業のハードルが低いとされています。10坪以下の小規模な店舗でも開業できることや、専門的な資格が不要であることなどが理由です。また、居抜き物件が豊富であるため、内装工事費や厨房設備費などを節約できることも、理由として挙げられます。
しかしその分、競合店が多く競争が激しいため、開店さえすれば誰でも簡単に儲かるというわけではありません。
開業した場合の年収はどのくらい?
ラーメン屋を実際に開業した場合、年収はどの程度になるでしょうか。
月の売上を200~600万円とした場合の年収をシミュレートしてまとめてみました(単純化したシミュレーションのため、あくまで参考程度としてください)。
月間売上 |
運営費(毎月) |
月収 |
年収 |
200万円 |
124~166万円 |
34~76万円 |
408~912万円 |
400万円 |
248~332万円 |
68~152万円 |
816~1,824万円 |
600万円 |
372~498万円 |
102~228万円 |
1,224~2,736万円 |
しっかりと売上を上げて、運営費を節約すれば、十分な年収を稼げることがわかります。
ラーメン屋を開業するのに必要な資金の目安
それでは実際にラーメン屋を開業するのに、資金はどれくらい必要なのでしょうか。初期費用や運営費などについて説明します。
初期費用
ラーメン屋を開業する際の初期費用をまとめてみました。20坪の店舗を家賃20万円で借りていると仮定して計算しています。
費用 |
金額 |
物件の契約費 |
120~200万円 |
内装工事費 |
400~800万円 |
厨房設備費 |
160~400万円 |
広告宣伝費 |
20~40万円 |
合計 |
700~1,440万円 |
合計で700~1,440万円が必要です。それぞれの費用について詳しく説明します。
物件の契約費
貸店舗の賃貸契約の際には、一般住宅の敷金礼金にあたる契約金(保証金)が必要です。相場は家賃の6~10ヵ月分です。今回は家賃を20万円と仮定したため、契約費として120~200万円が必要になります。
内装工事費
物件を契約したら、店内を改装しなくてはなりません。坪単価を20~40万円とした場合、内装工事費は400~800万円です。
ただし内装にこだわれば工事費はさらにかかりますし、逆に居抜き物件を活用すれば節約もできます。
厨房設備費
次にラーメンを作るのに必要な厨房設備が必要です。導入する機器の種類にもよって大きく変わってきますが、160~400万円程度かかるでしょう。
厨房設備費も、居抜き物件に残された設備や中古機材を使えば節約可能です。
広告宣伝費
新規に開店する際はチラシを作成するほか、看板を設置するなど店舗の装飾費用なども必要です。今はインターネット時代のため、ホームページやSNS運用の準備も必要でしょう。
広告の規模にもよりますが、20~40万円を目安にしてください。
毎月の運営費
次に1ヵ月の売上を200万円と仮定して、毎月の運営費(ランニングコスト)についてまとめてみました。
費用 |
金額 |
人件費 |
40~60万円 |
家賃 |
12~20万円 |
原材料費 |
60~70万円 |
水道光熱費 |
10~12万円 |
広告宣伝費 |
2~4万円 |
合計 |
124~166万円 |
合計で124~166万円が必要です。それぞれの費用について詳しく説明します。
人件費
人件費は、運営費のなかで大きなものの一つです。店主の人件費は含みません。売上の20~30%が目安です。
小規模な店舗で開業したばかりなら、一人でもできるかもしれませんが、売上が100万円を超えてくるあたりから、人を雇わなければ厳しくなってきます。
家賃
家賃の目安は、売上の6~10%が適正値です。ラーメン店の立地は、家賃ではなくターゲットに合わせなければならないため、調節が難しいかもしれません。家賃が高いエリアでは小さな店を選ぶなど、工夫してみてください。
原材料費
原材料費は、毎月の運営費のなかでもっとも出費が多いものです。売上の30~35%程度が適正とされています。ラーメンに対するこだわりが強すぎると、原材料費の割合が上がってしまうことがあるため、注意してください。
水道光熱費
水道光熱費は、売上の5~6%が目安です。しかし仕込みに時間がかかる店の場合はガス代などがかなりかかってしまうこともあります。
広告宣伝費
毎月の広告費として、チラシ配布や広告掲載費などが必要です。売上の2%前後が適正とされています。
借入について
このようにラーメン屋を開業するには、まとまった資金が必要です。必要な資金の3分の1は自己資金でまかないたいところです。
足りない部分は、融資を検討しましょう。地方銀行や信用金庫は担保や実績がないと融資は難しいかもしれませんが、日本政策金融公庫や自治体の助成金・補助金であれば審査のハードルは低めです。
特に日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は創業資金総額の10分の1の自己資金があれば融資が受けられる可能性があります。
日本政策金融公庫ではこのほかにも「新規開業資金」「女性、若者/シニア起業家支援資金」などさまざまな制度があるため、自分でも受けられそうな制度がないか一度検討してみてください。
ラーメン屋を開業するのに必要な資格・許可
ラーメン屋を開業するのに必要な資金の目安がわかったところで、次は手続き面です。開業にはどのような資格や許可が必要なのでしょうか。詳しく説明していきます。
食品衛生責任者
食品営業を行なう場合、食品衛生責任者が店舗ごとに1名必要です。調理師や栄養士の資格があれば必要ありません。また、食品衛生責任者の資格を持っている従業員がいれば、店主があらためて取得しなくても大丈夫です。
食品衛生責任者は、保健所で6時間程度の講習を受ければ取得できます。
飲食店営業許可
ラーメン屋を開業する場合、保健所に対して飲食店営業許可を取る必要があります。許可をとるには、次の手順にしたがって申請しましょう。
- 事前相談:着工前に図面を持って相談し、施設基準に合致しているか確認
- 営業許可申請:施設完成予定日の約10日前に申請
- 施設の確認検査
- 営業許可書の交付
- 営業開始
飲食店営業許可には期限があるため、定期的な更新も必要です。
調理師免許は必須ではない
意外かもしれませんが、ラーメン屋を開業するのに調理師免許は必須ではないため、取得しなくても大丈夫です。ただ、調理師免許を持っていれば、お店の信頼性や好感度アップにつながる可能性もあります。
インターネット販売は食品の種類に応じた営業許可の取得が必要
ラーメン屋の開業と併せて、自分の作ったラーメンやチャーシューをインターネットで販売する際は注意してください。食品衛生法により、食品の種類に応じた営業許可が必要です。許可が必要な食品の種類は、食品衛生法施行令第35条で、34業種が定められています。
参照:食品衛生法の定める営業許可が必要となる業種 |厚生労働省
ラーメン屋の場合、ラーメンにはさまざまな食材が組み合わされているため、食材ごとに許可が必要です。必要な許可をまとめると、次のようになります。
食材 |
必要な許可 |
生麺 |
めん類製造業 |
具材 |
そうざい製造業 |
スープ |
そうざい製造業 |
チャーシュー |
食肉製品製造業 |
食品を冷凍して発送する場合 |
食品の冷凍又は冷蔵業 |
このなかでも、チャーシューを売るための食肉製品製造業の許可をとるためには、食品衛生責任者に加えて、食品衛生管理者の設置が必要です。講習を6時間受ければ取得できる食品衛生責任者と異なり、食品衛生管理者の取得はそう簡単ではないため、食肉製品製造業の取得のハードルは高いといえます。
「無許可でチャーシューを販売しても見つからないのでは?」と思われるかもしれませんが、過去に問題となったケースもあります。ラーメン屋の経営が軌道に乗ったとしても、このような不祥事により、廃業に追い込まれる可能性も。
細かい点は各都道府県の保健所によって変わることもあります。ラーメン屋として店頭でラーメンを提供する以外に、インターネット販売などを手がけようとする際は、事前に必ず保健所に相談しましょう。
失敗を避けてラーメン屋開業を成功させるポイント
ラーメン屋を開業しても、数年後に廃業に追い込まれる可能性もあります。失敗するラーメン屋と成功するラーメン屋の違いはどこにあるのでしょうか。成功させるためのポイントについて説明していきます。
ターゲットの選定
まず大切なのは、集客したいメインの客層をはっきりさせることです。誰にでも受けるラーメンを作ろうとすると、誰にも刺さらないラーメンになってしまいます。
ターゲットを選定するには、性別や職種、年齢、嗜好などで絞り込んでいきましょう。例えば、若いサラリーマンをターゲットにするのであれば、こってりとしたボリュームのあるラーメン、若い女性がターゲットであれば健康志向のさっぱりラーメンにするなどが考えられます。
立地選び
ターゲットを選定したら、ターゲットが多く存在する立地を選ぶことが重要です。若いサラリーマンがターゲットであれば、駅前やビジネス街などが候補として考えられます。
車での来店を想定するのであれば、ロードサイドでの開業を考えましょう。ロードサイドの場合は駐車場の確保のほか、遠くからでもわかるような案内板や目立つ看板も必要です。
また立地選びの際は、できるだけ競合店が少ない場所を選んでください。
コンセプトの明確化
ラーメン屋は競争が激しく、独自のコンセプト(USP)がないお店は生き残りが難しくなります。競合店が手がけておらず、それでいてターゲット層に受けそうな独自のコンセプトを掲げることが重要です。ターゲットと立地をしっかりと決めていれば、コンセプトも自然と固まってくるのではないでしょうか。
コンセプトを決めたら、店頭の看板やボードなどで積極的に発信していくことが重要です。もちろん広告やSNS運用でも、コンセプトを前面に押し出していきましょう。
残る利益の計算や収支管理
ラーメン屋の経営を安定させるには、味にこだわるだけでは不十分です。どのくらいの価格で、どのくらいの数を売れば、いくら利益が残るのか、毎月のコストはどのくらいかかるのか……といった具体的な数字を意識して経営する必要があります。
例えば、客単価が900円、客数が1日80人、1ヵ月の経費が130万円なら月の売上(30日で計算)は216万円、経費が130万円で利益は86万円、といったように計算が可能です。
こうしたベースの数字があれば、客単価を上げようとか、回転数を上げようといった施策を打ち出せるようになります。
キャッシュレス決済やPOSレジで業務効率化
ラーメン屋の経営で見落としがちなのが決済や在庫管理といった業務です。在庫管理を適切に行なわなければ、売り切れによる機会損失などが発生してしまいます。また閉店後のレジ締め作業も意外と大変な作業です。
そこでおすすめなのが、キャッシュレス決済やPOSレジを導入することです。
STORES が提供するSTORES レジ は、クラウドを利用したPOSレジです。また、STORES レジ は STORES 決済 とも連携可能です。STORES 決済 を導入すれば、初期費用無料でキャッシュレス決済を簡単に導入できます。クレジットカードのほか、電子マネーやQRコードによる支払いもできます。
特に今はキャッシュレス決済が浸透しつつあるため、新規にラーメン屋を開業するのであれば、キャッシュレス決済も導入したいところです。興味のある方は、下記リンクから詳細をご覧ください。
ラーメン屋の開業ポイントまとめ
ラーメン屋は、調理師免許など専門の資格は必要なく、比較的簡単に開業できます。
ラーメン屋の経営を軌道に乗せるためには、味に対するこだわりだけでは不十分で、ターゲットの選定やコンセプトの明確化が重要です。またどんぶり勘定ではなく、収支管理をきちんと行なう必要もあります。
正確な収支管理を行なうために STORES 決済 や STORES レジ は有効なツールです。これらのツールを活用して、儲かるラーメン屋を開業できるように準備を進めていきましょう。
ネットでの販売をご検討の方は、『2021年最新版】ネットショップ開業・開設手順はこれを見れば完璧!初心者〜上級者向けにご紹介』で詳しくやり方を解説していますので、ぜひご覧ください。