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惣菜屋の開業ポイント。開業準備と手続き、必要な資金について解説

惣菜屋 開業

 

単身世帯や共働き世帯が増えた背景を受け、惣菜市場は大きく成長してきました。また最近ではコロナウィルス感染症の影響で外食がしにくくなったことから、テイクアウト需要が増えています。

 

本記事では、これから惣菜屋を開業したいと考えている人に向けて、オープンまでにどのような準備をすればよいのか、また具体的な手続きや必要資金について解説します。

惣菜市場の現状

惣菜屋・弁当屋を含む惣菜業界に参入するなら、まず市場がどのような状況なのかを知っておきましょう。近年までの社会の変化に伴って、市場規模も提供の形態も変わってきています。

市場全体の変遷

惣菜市場は女性の社会進出に伴う共働き世帯の増加や、単身世帯が増えた背景を受けて拡大し続けてきました。

日本惣菜協会の『惣菜白書』の調査によれば、惣菜業界全体は2010年から2019年にかけて2兆円以上も規模が拡大しており、2019年の時点では10兆3,200億円にまで上りました。

2020年には新型コロナウイルスの影響で5,000億円ほど落ち込みましたが、売上を維持できている営業形態やカテゴリーがあるのも事実です。

大きな流れとして、惣菜業界は今後も成長が見込めるといえるでしょう。市場の追い風を受けて新規に参入しようとする人も多く、今後も提供形態のバリエーションを増やしながら競争が続くと予測されます。

参考:2021年版 惣菜白書|一般社団法人日本惣菜協会

持ち帰りサービスの増加

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惣菜業界でも、2020年から始まった『ステイホーム需要』の影響で、惣菜の持ち帰りサービスが注目されています。

外食が減った分、惣菜屋のメニューを夕食の一部として購入するケースが増えているのです。持ち帰りを中心として、惣菜屋の需要はより高まっているといえるでしょう。

これから惣菜屋の開業を目指す人にとっては、参入しやすい環境になっています。

ただし、コンビニエンスストアはもちろん、大手外食チェーンやドラッグストアなどもテイクアウトの惣菜を積極的に扱うようになりました。惣菜業界の需要とともに、競合も増えている状況です。

今後さらに競争が激化することも予想されます。新たに出店する人は、しっかりと市場調査をした上で競合との差別化を図る必要があるでしょう。

参考:外食・中食 調査レポート|エヌピーディー・ジャパン株式会社

惣菜屋の開業に必要な手続き

実店舗で惣菜屋を開業するには、具体的にどのような手続きが必要なのでしょうか?計画的に準備を進めるためにも、求められる資格や許可・届出を確認しておきましょう。

保健所への営業許可申請

惣菜屋を開業するには食品衛生法に基づいて、その地域を管轄する保健所への営業許可を申請しなければなりません。

申請する営業許可の種類は、基本的に『飲食店営業許可』です。店内で惣菜の調理と販売どちらもする場合、飲食店と見なされます。

惣菜の製造だけを行う事業者に必要なのは『そうざい製造許可』ですが、同じ店舗で調理から販売までする場合は飲食店と同じ扱いなのです。

飲食店営業許可が下りる要件として、店舗に最低1人は『食品衛生責任者』を置かなければなりません。調理師や栄養士・食品衛生管理者などの資格を持っていないなら、地域の『食品衛生協会』が主催する講習を受けましょう。

また、食品衛生法はたびたび改正されます。扱う食品の種類によって飲食店営業許可とは別の許可申請をしなければならないケースもあるため、事前に保健所へ相談するのが確実です。

開業届の提出

惣菜屋に限らず個人が事業を始めるには、その地域を管轄している税務署に開業届を提出する必要があります。

開業届を出さずに営業している個人事業主もいますが、開業届の提出は法的に義務付けられています。開業して1カ月以内には、必ず提出するようにしましょう。

開業届は各地域の税務署の窓口に設置されているほか、国税庁のホームページからダウンロードも可能です。開業前後の忙しさに紛れて忘れないよう、早めに必要事項を記入しておきましょう。

参考:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

惣菜屋の開業にかかる費用

惣菜屋を開業するには、さまざまな費用がかかります。店舗の立地や規模、導入する設備や内装などによって費用は大きく変わってきますが、まずは大体の相場を確認しておきましょう。

①店舗物件にかかる費用

店舗物件の取得にかかる費用は、主に物件の立地と大きさ・店舗形態によって決まります。人通りの多い場所に出店できれば開業当初から一定の集客が見込めますが、商店街や駅前など立地がよい物件だと取得費用も高くなります。

例えば、商店街にあって10坪程度・賃料が10万円の物件を選ぶ場合を考えましょう。まず保証金として、60万〜100万円は前もって支払う必要があります。

さらに敷金・礼金・不動産業者に支払う仲介手数料を含めると、150万円は用意しなければならない可能性が高いでしょう。

物件の初期費用は賃料に比例して大きくなります。集客のしやすさと、物件にかかる費用のバランスを考えなければなりません。

②内装・設備工事費

物件の取得費用に加えて、内装や設備工事にかかる費用も考える必要があります。何もない状態から内装工事をする場合、500万円以上かかる場合も珍しくありません。

一方、既に店舗としての体裁が整えられている『居抜き物件』の場合は、100万~200万円で収まる可能性もあります。内装や設備にかかるコストを抑えたいなら、出店エリアに居抜き物件がないか探してみましょう。

また、厨房設備や空調の工事に加えて、什器や備品も購入しなければいけません。

厨房設備は、一般的な飲食店に比べると費用はかからない傾向にあります。それでも100万~150万円ほど必要になるはずです。内装から設備工事・備品の購入まで、全て合わせると300万~400万円は用意しておいた方が安心でしょう。

③食材の仕入費用

食材の仕入先としては、近隣の商店から大規模な卸業者まで、さまざまなパターンが考えられます。それぞれ得意・不得意な分野が分かれているので、ネットショップを含む多くの卸業者をチェックしましょう。

できるだけ品質とコストのバランスの取れた仕入先を確保すると、利益を上げやすくなります。材料の仕入費用は提供する商品によって大きく変わりますが、50万~60万円程度が相場となっているようです。

④人件費や広告宣伝費

惣菜屋でスタッフを雇う場合は、求人にかかる費用と毎月の人件費を負担する必要があります。求人広告のコストは媒体ごとに、1クリックや応募1件あたり○円・採用が決定したときに決まった額を支払うといった料金設定が一般的です。

店舗の規模にもよりますが、開業段階ではオーナー1人で店舗を回すことを考えた方がよいかもしれません。売上が上がらないうちは、人件費が大きな負担となるからです。

広告宣伝費の相場は、売上の5~10%程度といわれています。例えば、月200万円の売上が上がるならば10万円ほどの広告費が必要です。

折込チラシやフリーペーパーへの出稿・Web広告での集客など、宣伝方法はさまざまです。近年はSNSで情報を収集する人に向けて、SNS広告の活用事例も増えています。

開業までの流れ

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惣菜屋を開業したいとは思っていても、実際どのように進めていけばよいか分からない人も多いのではないでしょうか?物件選びからオープンまで、順を追って大まかな流れを見ていきましょう。

①店舗とする物件を決める

惣菜屋に限らず、飲食店は立地が極めて重要です。開業したいエリアが決まったら、インターネットからの情報や地域の情報誌・不動産情報誌などをチェックしましょう。

実際に現地に行って周囲の環境や交通量、通行している人の特徴なども確認します。ターゲットとする人が集まるかどうか、足を運ばないと分からない可能性が高いためです。

日中と夕方・平日と休日では、人通りが大きく変わる場所もあります。開業する時間帯にどの程度の人通りがあるのか、顧客になりうる可能性があるのはどのような人なのか、しっかりと把握しておきましょう。

普段からあまり行かない場所であれば、近所の人に確認してみるのもおすすめです。

惣菜屋を開業した後に、「人が集まらない割に賃料が高い」と感じるケースも少なくありません。店舗の立地や外観・内装はもちろん重要ですが、予想される客数と費用とのバランスを考える必要があります。

②外装や内装を整える

店舗にする物件を決めた後は、外装や内装を整えましょう。外装は実現したいコンセプトに合わせて、色調や看板のデザインなどを決めていきます。

内装に関しては、お客様が店舗内で飲食をするわけではないので、そこまでデザインにこだわる必要はないでしょう。ただし、地味になりすぎてしまうと来客数にも影響してきます。清潔感があって入りやすい雰囲気を心掛けましょう。

居抜き物件で前の店の内装をそのまま使う場合は、内装工事を省略できます。足りない設備や備品をそろえ、店内の環境を整えれば完了です。

運転資金をできるだけ多く確保できるよう、設備や備品はできるだけ安く手に入れる方法を模索しましょう。清潔感を損うほど古かったり、汚かったりするものはNGですが、無理に高級品をそろえる必要はありません。

③メニューを決めて食材を仕入れる

店舗の内装を整えたら、お客様に提供するメニューを決めましょう。揚げ物やサラダ・煮物など、主食とともに食べる惣菜は数多くありますが、品数を多くしすぎても管理が難しくなってしまいます。

開業段階では『定番』とされるメニューを中心に品数を絞りつつ、他では売っていないようなものも準備するとよいでしょう。独自の創作料理を追加するといった工夫は、競合店と差別化できる戦略になります。

メニューが決まれば、必要な材料から仕入先を選べます。卸業者や近くの小売店・スーパーなど、数ある選択肢の中から自店に合う仕入先を選びましょう。品質と費用を確認した上で比較し、実際に使いながら選定すると失敗が減ります。

④宣伝してオープンする

メニューが決まって出店準備が整えば、後は本格的にオープンする段階です。新しい店は当然、知名度がありません。お客様が集まるよう、ターゲットやエリアに合わせた宣伝方法を考えましょう。

単純に宣伝費用に比例して来客が増えるわけではないので、宣伝媒体は慎重に選ばなければなりません。

近年はSNSを活用した集客方法が注目されています。年代にかかわらず、多くの人がSNSを活用して情報収集している時代です。無料で店舗のアカウントを作成して積極的に宣伝すれば、費用対効果の高い集客ができるでしょう。

特にInstagram(インスタグラム)では、店舗の位置情報の掲載やハッシュタグによる地域検索が利用できます。積極的に活用してみましょう。

惣菜屋を成功させるポイント

惣菜屋を開業した後、可能な限り長く繁盛させたいと思う人が多いはずです。集客を成功させて黒字経営につなげるには、どのような工夫が必要なのでしょうか?

できるだけコストを抑える

惣菜屋に限らず飲食店は、『いかにコストを抑えて質の高い商品を提供できる』が成功のコツといっても過言ではないでしょう。黒字経営を目指すには、スモールスタートでオープンして削れる費用は徹底的に削る意識が必要です。

初期費用で手持ちの資金や融資を受けた分を使い切ってしまうと、軌道に乗るまで持ちこたえられません。

初めは無理のない範囲でスタートし、しっかりと売上を上げられるようになってから徐々にお金をかける範囲を広げていくのが賢明です。設備費用やシステム料金の中で、削れるものは積極的に削りましょう。

例えば会計に使うシステムには『STORES 決済』のように、導入費用や固定費がかからないものもあります。コストカットの工夫を意識的に見つけていく行動が、黒字経営につながります。

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ターゲットに合ったサービスを提供する

惣菜屋をはじめとした店舗経営の軸は、ターゲットとする層のニーズです。十分な調査をした上でメインターゲットを設定し、そこに合わせたサービスを提供できるように準備を進めましょう。

同じ惣菜屋のターゲットでも、次の2パターンでは価格設定やメニュー構成が変わってくるはずです。

  • 会社帰り、夕食用に買って帰る新卒社員/できるだけ安いものが欲しい
  • 退職したシニア層/多少値段は高くても、栄養バランスがよいメニューが欲しい


事前に市場調査を入念に行った上で、商品を提供したいターゲットが集まりやすい地域に出店しなければいけません。

既に出店地域が決まっているならば、その地域の客層に合った商品やサービスを提供する必要があるでしょう。

店舗を構える際の基本ではありますが、あまり調査をせずに出店場所を決めてしまう事業主は少なくありません。しっかりと調査をした上で、十分な準備を整えてから出店に臨みましょう。

入念な準備をして開業に臨もう

惣菜屋は2010年ごろから市場が伸び続け、今後は特に持ち帰りの需要が高まっていくでしょう。飲食店のデリバリーやコンビニ・スーパーなどライバルも多いため、しっかりと調査して差別化できる戦略を考えなければなりません。

事前にターゲットと出店エリアを決め、できるだけ初期コストを抑えて開業する工夫を考えましょう。さらに物件の用意から具体的な手続きの流れまで把握していれば、よりスムーズにオープンできるはずです。

 

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