独立開業を目指していても、自分でビジネスを始める第一歩を、なかなか踏み出せない人は少なくありません。どの業種で起業しようか迷うケースもあるのではないでしょうか?
本記事では、独立開業しやすい仕事の共通点や代表的な仕事を紹介します。成功のコツも解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 独立開業しやすい仕事には共通点がある
- 独立を成功させるコツ
- オンラインのみでも可能な独立しやすい仕事
- 家庭と両立しながら独立しやすい仕事
- コミュニケーション力を生かせる仕事
- フランチャイズで独立するなら
- 自分に合う仕事を見つけて独立開業の準備を
独立開業しやすい仕事には共通点がある
独立してビジネスをするにあたっては、できるだけ開業しやすい業種を選ぶのがポイントです。当然、独立が難しいなビジネスであっても、強い願望と意思がある人はチャレンジできるでしょう。
しかし、できるだけ失敗したときのリスクを減らしたい、手間を少なく事業を始めたいという場合は、独立開業しやすい仕事の共通点を知っておくことが大事です。
①低予算で始められる
独立開業しやすい仕事の共通点に、低予算で始められるという特徴が挙げられます。大きな初期費用をかけずに開業できる職種は、必要な資金と準備の期間が短く済む点がメリットです。
仮にビジネスに失敗してしまったとしても、負うリスクが低いのに加えて、リカバリーしやすいのも利点といえるでしょう。
例えば、飲食店を始めるときは、多くの設備を導入しなければなりません。一方、パソコン1台あれば自宅で始められる仕事の場合、設備にかかる資金とスタートまでの時間を減らせます。
多額の資金を投じていれば、必ず事業に成功できるわけではありません。逆に元手が少なかったとしても、開業時の業種選びや工夫によって事業の成功は可能です。
できるだけ低予算で始め、リスクを抑えながら徐々にビジネスを大きくしていくアプローチがよいでしょう。
②特別なスペースがいらない
事業を運営するのに、特別なスペースが必要ない職種も開業しやすいといえます。
店舗や事務所を用意するためには、必要な費用も物件選びの手間も少なくありません。保証金や賃料だけでなく、内装・外装にもコストがかかってきます。
一方、自宅やレンタルオフィスなどを拠点に営業活動ができる職種であれば、初期費用を大幅に抑えて開業できます。毎月の固定費も安く済ませられるでしょう。
③会社を設立しなくても開業できる
会社を設立せずに個人事業としてスタートできるのも、開業しやすい職種の特徴です。個人事業の場合、開業届を税務署に提出するだけ済みます。税金の申告も法人に比べて簡単なため、専門家を雇わなくても手続きが可能です。
法人を立ち上げるとなると、定款作成をはじめとした手続きに手間がかかります。税金の計算も複雑になるため、顧問税理士を雇って法人税の申告書を作成してもらう必要も出てくるでしょう。
また、法人だと設立時に資本金を用意したり、収入印紙代や登録免許税などを納付したりしなければならず、金銭面でも負担が大きくなります。
株式会社であれば、資本金は1円からでも法人を設立できるものの、定款用の収入印紙代や認証手数料・登録免許税の納付などで25万~30万円程度は必要です。合同会社の場合でも、10万円程度の法定費用を負担しなければいけません。
業種によっては初めから法人としてスタートした方が良い場合もありますが、開業のしやすさでは個人事業に軍配が上がります。
④今後も一定の需要を見込める
将来的にも一定の需要があると考えられるビジネスは、開業しやすいといえます。市場のニーズが高まっている分野では、多くの人が商品・サービスを欲しており、他の職種に比べて売り上げに結び付けやすいためです。
時代のニーズやトレンド・そのビジネスが注目されてからの市場の推移を確認しながら、十分な需要が見込めるかを検討しましょう。
ただ、開業する時点では多くの需要が見込めても、参入してすぐに市場が小さくなってしまうジャンルもある点には注意が必要です。
突然ブームが起こって急成長したような市場は、熱が冷めると一気に衰退してしまう可能性があります。自分がビジネスを続けたい期間も考慮して、参入すべきかどうか慎重に判断しなければなりません。
独立を成功させるコツ
独立開業を成功させるには、事業を興し続けていくための努力と工夫が必要です。スタートする時点では、どのようなポイントを意識するとよいのでしょうか?
まずは必要なスキルを習得する
思い立ったらすぐに起業してしまう人も少なくありませんが、開業するビジネスに必要なスキルの習得は必須です。
特に、全くの未経験の業種で開業したいなら、まずは求められる知識や技能・経験を知るところから始めましょう。現時点での自分のレベルと比較して、足りないようであれば身に付ける方法を考える必要があります。
会社員なら所属している企業でそのスキルを習得できるのか、できないなら身に付く場はどこかを明らかにしましょう。場合によっては、独立開業する前にスキルを身に付けられる企業に転職するという道もあります。
開業する分野の知識・スキルだけでなく、事業主として経営を続けるための勉強も必要です。顧客を満足させられる商品・サービスを提供するためにも、自身のスキルを客観的に見て今後の動きを決めましょう。
スタートは副業からがおすすめ
いきなり会社を辞めて独立するのではなく、まずは副業として事業を始める方法もあります。会社を辞めてから興した事業に失敗すると、収入が完全に途絶えてしまう恐れもあるでしょう。
会社員として安定した収入を得ながら副業を始めれば、その事業がうまくいかなかったとしても、収入がゼロになる心配はありません。
副業の中で十分に利益を出せるビジョンを得てから、会社を辞めて本格的にビジネスを始動する道も選択肢に入れておきましょう。ただし、就業規則の確認や本業と副業のバランス調整は必要です。
オンラインのみでも可能な独立しやすい仕事
近年は、オンラインビジネスを開業する人が増えています。飲食店やエステなどの店舗型ビジネスに比べて、低リスクで参入できるのが特徴です。
対面での打ち合わせや取材などはあっても、基本的にはオンラインのみで活動できる仕事をチェックしていきましょう。
プログラマー・エンジニア
プログラマーやエンジニアは相応の技術があれば、単価の高い案件がこなせる職種です。フリーランスという働き方と相性が良く、副業・複業もしやすいのが特徴です。
IT人材全般が不足している背景を考えると、1人で仕事ができるスキルを持っていれば、安定的な収入を見込めるでしょう。
全くの独学で技術を身に付ける人もいますが、多くは企業所属のプログラマー・エンジニアとしてキャリアを積んだ後に独立開業しているパターンです。
これからプログラマーやエンジニアを目指す人は、まず企業に所属して必要なスキルを身に付けるか、専門のスクールを利用するとよいでしょう。
Webデザイナー
Webデザインも、オンラインで完結する人気の仕事です。インターネットが普及し始めた頃から、Webサイトの制作者は安定した仕事を受けられる職種として知られていました。
近年はWebデザイナーの数が増え、なかなか収入に結びつけられないともいわれます。しかし、広く案件をこなせるスキルや他のデザイナーにはない知識や経験を持っているなら、安定して収入を得られるでしょう。
パソコンを専用ソフトがあれば案件をこなせるため、独立のハードルは低めです。その分だけ競争も激しい現状を考えると、常に新しい技術を身に付けてアップデートし続けられる人に向いています。
Web動画制作
YouTubeだけでなくFacebookやInstagramの広告など、動画制作の案件は拡大の一途をたどっています。同時に動画制作者のニーズが高まっており、動画の企画や編集・制作に従事できる人は独立開業しやすい状況です。
クライアントとの打ち合わせや企画・成果物のプレゼンをする必要はありますが、基本的にオンラインでのやり取りになります。自宅で自由な時間に仕事がしたい人に向くでしょう。
動画の制作・編集で安定して案件をこなせるようになれば、動画のコンサルティング案件を受けるという道もあります。
Webライター
Webライターは副業や在宅での開業におすすめです。Webライターといっても、企業のメディアに掲載する記事からセールスコピーまで、制作物の内容は多岐にわたります。
例えば、メディアの記事やビジネスブログを書くのは『コンテンツライター』、ランディングページのコンテンツやメルマガなど直接的な売り上げにつなげる文章を書くのは『セールスライター』です。
いずれも多くの案件を請けられる仕事ですが、十分な技術があるならセールスライターの方が高額な報酬を得られる傾向にあります。
パソコンがあれば簡単に始められますが、未経験からのスタートなら簡単な案件を請けながら技術を身に付けましょう。
家庭と両立しながら独立しやすい仕事
すでに家庭を持っている人だけでなく、将来を考えて家庭と両立できるビジネスを選びたいと考える人もいるでしょう。
家事や子育て・介護など家の用事と平行して仕事をするなら、時間や場所の融通が利きやすい仕事がおすすめです。どのような例があるのかを見てみましょう。
個人サロン経営
マッサージやエステなど、専門的な技術を持っているなら、個人でサロンを開業するという選択肢があります。
テナントを借りて運営すると家から出勤しなければなりませんが、自宅の一部をサロンとして改修すれば家にいながら仕事をすることも可能です。
自宅から離れる時間がほとんどないため、家事と両立しやすいでしょう。物件にかかる初期費用も抑えられます。
ただし、個人サロンは競合が多い分野です。安定した利益を実現するには、相応の技術や集客スキルが必要になってきます。顧客からの信頼を得るために、民間の資格を取得してから独立する人も少なくありません。
ネットショップ運営
ネットショップの運営は実店舗に比べて、家庭との両立がしやすい形態です。自宅で仕事ができるのに加えて、基本的に自分の好きな時間に仕事を入れられます。子育てや家事をしながら収入を得たい人には、有力な選択肢の一つになるでしょう。
従来、ネットショップの運営はECサイトの構築スキルが必要でした。ショップの開発を業者に依頼するために、多額の費用を支払ってオープンした人も少なくありません。
しかし近年は、簡単にECサイトの構築ができるサービスが数多く登場しています。例えば、STORES(ストアーズ)なら、オリジナルのネットショップを無料で開設することが可能です。
自宅で空いた時間にビジネスを始めたいなら、ネットショップ開設サービスを使った物販も視野に入れましょう。
STORES
家事代行業
家事代行は、特に近年注目されているサービスです。今後さらに需要が高まると予想されます。
個人事業として家事代行を請けられるフランチャイズ企業も登場しており、未経験からでも独立しやすい職種といえるでしょう。多くの家事代行業者は丁寧な研修を用意しているため、初めて個人事業として家事代行を請ける人も安心です。
複数人で作業をする場合もありますが、基本的には1人で完結します。出向する家の人とはコミュニケーションが発生しますが、チームでの仕事に苦手意識を持っている人でもチャレンジしやすい仕事です。
作業時間は案件によりますが、多くの場合は2~3時間程度で終わります。自分や家族のスケジュールと合わせられれば、家庭とビジネスを両立しやすいでしょう。
コミュニケーション力を生かせる仕事
コミュニケーション力を生かして独立開業できる仕事には、カウンセラーやコンサルタントがあります。
安定した収入を得るには専門的な技能が求められますが、独立までに培ってきた知識やスキルを存分に生かせる仕事といえるでしょう。
カウンセラー
カウンセラーは人の悩みや心の問題を取り除く仕事です。教育機関や医療機関に所属して働くカウンセラーもいますが、独立開業して活動するケースもあります。
相談内容は日常生活上の悩みといったライトなものから、臨床心理士をはじめとした資格所有者だけが受けられる精神疾患や障害に関わるものまで多様です。
自宅でも開業できるので、専門技能を持っている人は独立も選択肢に入れるとよいでしょう。
少子高齢化で人口の減少が懸念される日本でも、カウンセラーの需要はなくならないと予想されます。人の心の悩みは尽きることなく、近年はメンタルヘルスの重要性が広く認識されているためです。
コンサルタント
コンサルタントもカウンセラーと並んで、自らの知識やスキルだけで独立開業できる仕事です。さまざまな業界・業種にコンサルタントが存在しており、その分野の幅広い知識・スキルを有していれば、特に資格を取得することなく開業できます。
専門家の立場から有益なアドバイスを受けたいと思っている経営層は多く、会社員として働く中で信用を得ていれば、独立開業後にクライアントになってくれる人もいるでしょう。
ライバルが多く成りがちな仕事ではありますが、うまく差別化できれば利益率の高いビジネスが展開できます。
フランチャイズで独立するなら
コストをかけずに独立開業するなら、オンラインで完結する業種がおすすめです。ただし、フランチャイズで独立したい場合は、コンビニや飲食店といった実店舗型ビジネスも選択肢に入ってくるでしょう。
コンビニエンスストア
コンビニエンスストアの多くは、フランチャイズで店舗を展開しています。フランチャイザーのブランド力やビジネスノウハウをそのまま利用できるので、開業時から多くのお客様を集めやすい点が特徴です。
一定のルールに準じて店舗を営業しておけば、ある程度の収入を期待できるだけでなく、店舗運営のノウハウも学べるのもメリットです。
実際、コンビニの店長の中には、初めて独立開業をした人も珍しくありません。本部から手厚いサポートを受けられるため、将来店舗型ビジネスで完全に独立したい人にもおすすめです。
飲食店
フランチャイズでお店を運営できる飲食店も数多くあり、人気の高い業種の一つです。日本国内だけでもラーメン店やハンバーグ店・定食屋など、さまざまなフランチャイズチェーンが存在します。
全くの未経験から店舗を開業するのが不安な人は、まず飲食店のフランチャイズチェーンに加盟するのも選択肢です。
フランチャイザーのメニューがそのまま提供できるだけでなく、調理技術の面や集客面で充実したサポートを受けられるケースが多くあります。
従業員の研修制度を設けているフランチャイザーであれば、店舗経営や人材教育のノウハウを学びたい人に役立つでしょう。
自分に合う仕事を見つけて独立開業の準備を
独立開業しやすい仕事の共通点として、低予算で始められて需要がある・開業にあたって特別なスペースが不要といった特徴が挙げられます。
特に、プログラマーやエンジニア・Webデザイナーなどは、パソコンがあれば自宅でも開業できる仕事です。相応のスキルを持っていれば、費用を掛けずに案件を受けられるようになります。まずは副業として取り組んでみるのもよいでしょう。
独立開業を成功させるには、まずは仕事に必要な技能を身に付ける必要があります。開業を思い立った時点で安定した収入を得られるスキルがあるのか、慎重に判断しなければいけません。
スキル不足を感じたなら、まずは必要な知識・スキルを習得するところから始めましょう。入念な準備をした上で自分に合うビジネスを始めれば、成功できる可能性が高まるはずです。