『Take Care of Business』を合言葉に、岡山県倉敷市にある縫製工場から誕生したファクトリーブランド、TCBjeans。
今回は、代表を務める井上さんに、ビンテージに込める思いやTCBjeansとしてのこだわりなど、職人ならではの熱い思いをお話いただきました!
TCBJeansとは?
職人としての誇りを世界中に伝えたい
STORES.jp:
TCBjeansさんについて教えてください。
TCBjeans 井上さん(以下、井上さん):
ビンテージと呼ばれる時代のデニム製品を、全て職人の手作業によって細部までこだわり再現させたアイテムを販売しています。
正直、工場を立ち上げた時は、自分たちで製造・販売するとは思ってもいませんでした。
ただ、縫製工場として色々なブランドさんの下請けとして稼働するようになってから5年がすぎた頃ですかね?
人件費を削るために製造拠点を国内から海外に移動させるブランドさんが増え、下請けだけで事業を進めていく事に限界があるかもしれないと感じはじめました。
ちょうどその頃から自分の中にも少しずつ変化があって、
- 服を作るという作業自体は地味だけど、『自分たちで0から作り上げる』という点で職人として自身や誇りを持ってもらいたい
- 完成した商品を手に取り喜んでくれるお客さんがいるから、職人業って楽しいんだぜ
そんな想いを世の中にもっと伝えていきたいと考えるようになったんです。
そこで、「自分たちの工場で作れる」という強みを生かして挑戦してみようということでスタートしたのが、TCBjeansです。
「TCB」を合言葉に
STORES.jp:
TCBjeansというネーミングはどうやってつけられたのですか?
井上さん:
社名がTCB株式会社なので、TCB株式会社が作るジーンズということでネーミングしました。
もともと、TCB株式会社として下請けでジーンズを作ってきたという実績があったので、自社ブランドをスタートすると決めたときに、
「新しいブランド名で始めるよりも、TCB株式会社の作るジーンズとしてブランドを確立させていこう」
と思ったんです。
じゃあTCBってどういう意味かというと…
Taking Care of Business
からとりました。
この言葉、1960年〜70年代のアメリカ映画でスラングとしてよく使われていたんですが、「仕事を大事にする/おまかせください」というような意味合いを持っているんですよね。
「どんな仕事も丁寧にこころを込めてやる」という信念で縫製工場を立ち上げたこともあり、職人たちの間でTCBという言葉が一種の合言葉になるようにという想いを込めてネーミングしました。
あと、これは少し後付けになってしまうんですが笑、
TCBjeansのブランドを立ち上げる時に猫を2匹飼っていて、ショップロゴも飼い猫をモデルにしたことから、
Two Cats Brand(2匹のネコのブランド)
という第2のテーマも持っています!
オンライン×オフラインを目指す
「作り手とお客さんが繋がれる場所」を作る
STORES.jp:
オンラインで販売しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
井上さん:
『職人が0から商品を生み出している場所とお客さんを直接繋げる』
これがTCBjeansのモットーなのですが、実際に工場があるのは地方の田舎です。
東京みたいに、たくさんの人がいていろんな人に工場に来てもらうことは、物理的に難しかったんです。
だからこそ、まずはTCBjeansを知ってもらうためにもオンラインで販売するこが重要だと考えました。
『オンラインからTCBjenasを知ってもらい、いつか工場に足を運んでもらう』
そんな流れがあってもいいなって。
STORES.jpというサービスは、ネット検索で知ったのがきっかけでした。
ショッピングモールタイプのECサイトは集客力は高いというメリットがありますが、それだけ出店舗数も多いので、自分たちのショップが埋もれてしまう可能性があるなと思ったんです。
ただ、自社サイトを制作会社に依頼して作り上げていこうとすると、何十万もかかってしまう…
これから始めるというスタートアップには、何十万もかけてECサイトを作るのはリスクもハードルも高いなと感じました。
そんな時、『2分でできる』というSTORES.jpさんの文字が目に留まりました。
試しに登録してみたら、とても使いやすくて。
自分たちで自由にカスタムできる箇所がたくさんあるという点が一番の決め手になりましたね。
実際に使ってみても、シンプルで簡単で、直感で操作できる点が一番好きです。
月額費用も安いので、スタートアップの企業でも挑戦しやすいですし、スタートさせてしまうと意外と前に物事は進んでいくので、
- 地方に工場を持ち自社で商品を作成しているけど売り方がわからない人
- 自分たちが地方で作り出した商品を日本全国に広めたいと思っている人
なんかもぜひ使ってみるといいんじゃないかなと思います。
STORES.jp:
『職人が0から商品を生み出している場所とお客さんを直接繋げる』ということですが、具体的にどのようなことをされているのでしょうか?
井上さん:
私たちは、職人であるというプライドをもち、1点ずつ手作業で作り出しています。そこには時間も労力もかかる。
そんな職人たちの想いを・そんな職人が集まっている場所を、お客さんの手元に届いた時にも感じてもらいたいんです。
だからこそ、商品が0から作り出される工程をメイキング動画としてショップに掲載していますし、いずれは梱包資材なんかももっとこだわって行きたいと考えています。
また、工場の2階には店舗を構えているので、週末は工場見学をしたいという方に、実際に来ていただくこともありますね!
大型の連休や長期休みには、アポイントなしで飛び入りでも見学できるなど、できるだけオープンな環境作りを心がけています。
TCBjeansの想いを伝えるための「0または10の法則」
井上さん:
また、プロモーションという形で行なっているわけではないのですが、ネットショップ・Instagram・ブログには0または10の姿を載せるという工夫をしています。
STORES.jp:
『0または10』というのは?
井上さん:
「0」というのは、デニムが生まれる段階、つまり制作過程のことを指しています。
そして、商品として完成した段階は「1」になります。
実際に販売する商品になるので、オンラインショップでは1の段階の商品を掲載しています。
そこから年月をかけてお客さんに商品を使い込んでいただきます。
そうすると、私たちがInstagramやブログに載せているような、いわゆる味のあるusedデニムへと変化していきます。お客さまが一番理想とする状態、それが10なんです。
0の段階:
デニムを作ってる段階。
Instagramやオンラインショップのメイキング動画で紹介
1の段階:
商品が完成した段階。
オンラインショップの販売商品として掲載
2〜9の段階:
長い年月をかけてお客様に使い込んでいただく段階10の段階:
色味、味といったused感が生まれる段階。
Instagramやブログ、動画で紹介
お客さまにも、このステップを楽しんでもらえたらいいなと思いながら商品を作っています。
工場で自分たちの思いを直に感じてもらえる体験を
STORES.jp:
TCBjeansさんの今後の目標を教えてください。
井上さん:
少し矛盾しているかもしれないんですが、工場に来てくれる方を増やしていきたいです。自分たちが0から生み出している場所を、みなさんにももっと知ってもらえたらいいなと。
お客さまの中には、購入した商品に刺繍をしたり、used感がでてきた商品を店舗まで持ってきてくださる方もいて、そうしたコミュニケーションも私たちのモチベーションの1つになります。
TCBjeansを知る・好きになるきっかけはオンラインストアだったとしても、最終的に工場に遊びにきていただいて、作り手としての想いやこだわりをお客さんに直に感じてもらえたら嬉しいですね!
大阪や東京などでPOP UPなどのイベントも開催する機会も増えてきたので、たくさんのお客さまにTCBjeansを知ってもらえるように、縫製ライブなど面白い企画を考えながら頑張っていこうと思います!
ショップ情報
編集後記
Taking Care of Business 「仕事を大事にする/おまかせください」
今回のインタビューの中で、とても印象に残った言葉の1つ。これって当たり前のことなんですが、実行することって実はとても難しいことだと思います。
でも、自分たちの弱み・強みをしっかり理解し、「職人が0から商品を生み出している場所とお客さんを直接繋げる」という信念のもと日々活動されているみなさんの姿に、職人魂という言葉はまさにこのことだなと実感しました。
「東京じゃやれないことをやろう!」そんなTCBjeansの職人さんたちの熱い想いを、岡山まで行って直接感じてみたいと思います。