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「人を驚かせるような生き方がしたい」洋菓子業界のタブーを破りながら、次々と新商品を生み出す - PATISSERIE TSUBASA -

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毎月10,000件のショップがお商売を始めているSTORESには、個性豊かなショップオーナー様がたくさんいらっしゃいます。

 

今回は、月に1回しか開店しないケーキビュッフェのお店TSUKIICHIやOMUSUBI Cakeなど、個性的なスイーツを生み出すPATISSERIE TSUBASAのオーナー斎藤さんにお話を伺いました。

色んな人に影響を与えたり、驚かせたりするような生き方がしたい

ーパティシエになったきっかけを教えていただけますか?

 

高校を卒業する時に、色んな人に影響を与えたり、驚かせたりするような生き方が好きだったので、そういうことができる仕事に就こうと思い、お菓子作りが好きな姉の影響を受けてパティシエを選びました。

 

母子家庭だったので経済的な余裕がなく、専門学校には行けなかったので、卒業してすぐに洋菓子店での修行を始めました。

 

ーなんで影響与えたる生き方をしたいと思ったのでしょうか?

 

小学校5年生の時に、雑誌「オレンジページ」に載っていたカステラのレシピを見て、初めて洋菓子を作りました。材料がシンプルで、新聞紙でつくる型を使うものだったし、姉が使っているオーブンがあったのでやってみようと。そしたら、うまく焼けちゃったんです。

 

うまく焼けたことも嬉しかったんですが、母が勤め先の学校の職員の人に配って、食べてもらったんです。母から食べた方の感想を聞いたら、すごく喜んでくれていて「長崎(のカステラを)超えたんじゃない?」て言ってもらえて。自分ががんばったことで人が喜んだり褒めてくれたりするんだったら、もっと目立ちたい、がんばりたいなって思ったのがきっかけですね。その時の記憶はすごく強いです。

 

ー「オレンジページ」の方もびっくりのきっかけですね。

 

パティシエの道を選んだのは、1+1=Xになるからです。小麦粉と卵でクッキーにも、パウンドケーキにもスポンジケーキにもできる。手の入れ具合で可能性が無限大になるイメージでした。そこに可能性、魅力を感じて挑戦しようと思って、洋菓子の世界に入りました。

 

22才の時に、4年間働いたお店では色々と学ばせてもらったので、次はヨーロッパに修行にいこうとお店を辞めて、修行に行く準備を始めました。修行を始めてからの4年間は自分の時間がほとんどなく、この準備期間でやっと時間ができました。そこで、色んな経営者の方と出会う機会があり、考え方や人生観を教えてもらいました。

 

そこで影響を受けて、ヨーロッパに行く前にやるべきことがあると思い、出発の3週間前にすべてキャンセルしました。ビザもパスポートも取得し終えていて、パティシエをしながら夜中にアルバイトをして貯めた100万円も出していたので、周りからはどうしたの?と言われたのですが、僕にとっては日本で勉強することの方が優先度が高かったんです。

 

洋菓子の世界を離れて、自立ができるようにビジネスを勉強したり、人間力を磨くためにコミュニケーションを学んで、20代半ばから後半は洋菓子とは別の広告関係の仕事をやりました。

 

ーパティシエとは全く別の仕事をされたんですね。

 

広告の仕事をしている時も知人や身内にはスイーツを提供していたんですが、20代後半になった頃、またスイーツを通じて色んな人に影響や驚きを与える生き方がしたいなと思い始めました。

 

普通のケーキ屋さんではなく違う形で展開したいなと思い、自分のやりたいようにやろうと29才で始めたのが、月に一度だけオープンするケーキビュッフェ専門店「TSUKIICHI」でした。

 

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アンテナを張り巡らせる

ー今はTSUKIICHIの他にも、パフェチャンネル、OMUSUBI Cake、シフォンケーキFUAなど、様々なスイーツを展開されていますが、アイデアはどこから生まれるのでしょうか。

 

例えばOMUSUBI Cakeは、パティシエからするとタブーなスイーツだと思うんですよね。以前、焼き立てのスポンジケーキをそのまま販売するというのもやったのですが、そういう商品って洋菓子業界では暗黙でタブーだったりします。

 

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でも、僕は誰もやっていないことを探す癖があって、自分がトレンドを作るほどの実力はないので、今のトレンドを抑えつつ、新しいことにチャレンジしています。

OMUSUBI Cakeはちょっと変わったスイーツは作れないかというお声がけから構想が始まりました。インバウンド需要や大阪万博もあるし、外国の方に向けたスイーツができたらいいですよねという話をしていました。

 

アンテナを張り巡らせてながら考えていたのですが、洋菓子関係の友人と話している時に、ライスペーパーはソースを包んでもやぶれにくいしいいよと聞いて。確かに包むと食べやすいし、やぶれないのはいいなと思ったんです。

 

その後に、コンビニに寄って、店内を歩きながらもんもんと考えていた時に、手にとったのがおむすびでした。ライスペーパーに包む話と、おむすびのフィルムが繋がって、これはもしスイーツにできたら面白いんじゃないかとひらめきました。手が汚れないし、外国の方にもウケそうだと。

 

アトリエに帰って、おむすびに適した型がないか探したら、ちょうど三角の型が見つかって。包むための皮をどうしようかと業者の方と話していたら、ブラックココアのクレープがあると教えてもらいました。コンビニスイーツの恵方巻ロールで使われていたサンプルをもらったら、おむすびのフィルムにくっつかない質感のものだったんです。

 

ただ、当初お声がけいただいた会社からは案件が白紙になったと言われたので商品化までたどりつかず、しばらく僕も忘れていたんです。

 

半年後くらいに、百貨店のバイヤーと話すことがあり、試作段階でとまっていたOMUSUBI Cakeの話をしたら、「すぐに商品化した方がいい」と言われ、急ピッチで商品化まで進めました。

 

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バイヤーの方の反応がよかったのでこれは売れるんじゃないかと思い、自分のアトリエでの生産ではなく、工場で生産できるように体制を整えて、昨年の夏に販売を開始しました。

 

ーアンテナを貼っていることで、色んなアイデアが組み合わさるんですね。

 

スイーツじゃない場所にヒントが隠されているのは感じます。日頃からずっと何かヒントはないかなぁと探す癖は昔からありました。

 

ちょっと洋菓子には関係なさそうなものからアイデアをひっぱってきたり、和と洋をコラボするというのは20才で洋菓子の商品開発をさせてもらっていた頃からありました。その癖が今の商品企画にも繋がっているのかなと思います。

 

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ートレンドを抑えるためには、トレンドをキャッチしないといけないと思うのですが、どうやってトレンドを追っていますか?

 

僕もまだまだ勉強中なんですが、情報の発信受信が早いのは高校生だと思っています。学生で火がつくと最大瞬間風速がふいて、その後20代、30代にそのトレンドが伝播していく傾向があると思います。自分でそのトレンドを追うのは難しいので、トレンドに敏感な友人、情報収集するのが上手な友人に教えてもらう方が早いと思っています。

 

最近だとインスタ映えに疲れているから、ベーシックに戻ると聞いていて。確かにスイーツでも、バスクチーズケーキやクッキー缶などベーシックなものが流行っています。

 

アパレルと一緒でスイーツのトレンドも一周するんです。そのトレンドを見ながら、タイミングがあったら何か仕掛けようと思っています。需要に対して供給する以外、売れないので。情報に敏感になりつつ、臨機応変に動ける体制を整えるのが大事ですね。

手の届く範囲でリピートしてもらう

ー集客で工夫していることはありますか?

 

広告費をかけずに集客することが一番重要だと思っています。そうなると、SNSの活用は当たり前なんですけど、いかに自分自身の繋がりを増やせるか、コミュニティを形成できているかが大事です。

 

もちろん多くの人に届くのがベストではありますが、手の届く範囲でリピーターが生まれる方が確実性が高い。僕自身をブランディングする活動が重要だと思っています。売上だけを狙うのであれば広告もあるかもしれませんが、ちゃんと理解してくれた上で納得して買っていただける人が多い方がいいなと思った時に、僕のことを知ってくれている人がたくさんいる方が間違いない。好きなアーティストの曲は問答無用で買うのと同じように、ビジネスもそういうスタイルになってくるんじゃないかと感じています。

 

オンラインショップやSNSのコミュニケーションがメインで、対面しなくてもいいという時代だからこそ、ちゃんと理解してもらうことを目指したいなと思います。僕にとっての理想は、京都の一見さんお断りみたいな状態を作っていくことです。

 

ーコミュニティは大事ですよね。

 

商品がずっと残るのがベストだし、愛され続けて50年みたいなロングセラー商品も素晴らしいと思いますが、これからの時代にそれを作るのは難しいと思っています。

 

時代がガラッと変わっているからこそ、個人を商品化したほうがいい。僕が商品でずっと手に取り続けられるものじゃないと、長くはもたないのかなと感じています。

 

ー味にもこだわりはあるけれど、それがあった前提で個人にも魅力が必要だと。

 

どちらもこれからの時代は大事だと思います。商品の発信力は見た目、味、話題性。個人でSNSやYouTubeなどのメディアを持って発信できる時代だからこそ、自分自身の発信力も磨いていく方がいい。そうすると僕がスイーツじゃないことをやっても支持していただけると思うんですよね。

 

ー色んな人を驚かせるためには、スイーツじゃない方法でもいいですもんね。
最後に、ネットショップをはじめてよかったことを教えてください。

 

一番は対面での接客ができない時でも、ネットショップなら販売できることですね。売上拡大、情報拡散にも繋がるし、ネットショップは自己紹介として見せられる部分もあると思います。

 

ただやっぱり、対面販売でもそうなんですが、写真、パッケージしか選ぶ基準がない。味で買うわけじゃないんですよね。

 

最近の洋菓子業界はパティシエ同士の戦いではなく、デザイナー同士の戦いになっているのが悔しいと感じます。結局はパッケージと紙袋。味は後だし、今は美味しくないスイーツを探す方が難しいですよね。情報共有もされているので、その人にしか作れないものはなくなっている感覚です。

 

ー言われてみればそうかもしれません…

 

パッケージの美しさなど、マーケティングが上手なことがこれからは大事になってくると思います。見せ方や人が手に取りたくなる仕組みを考える。それから、商品をある程度生産できる体制を整える、という流れになると思います。

 

僕もそのあたりを勉強しながら、ゼロイチのものづくりをして、色んな人に影響を与える生き方をしていきたいと思います。

 

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文:STORES Magazine編集部
写真:PATISSERIE TSUBASA提供
 
 

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