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Twitterをきっかけに生まれたつながり。関牛乳とbien Bakeのコラボカヌレについて聞きました

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ある日、社内でTwitterの投稿が話題になりました。

 

 

関牛乳さんが緊急事態宣言を受けて、牛乳が余っているとのこと。関牛乳さんのネットショップが STORES だったこともあり、社内のメンバーもこのツイートをきっかけに牛乳を購入していました。
ツイートが拡散されていくとともに目に入ったのが、同じく STORES をご利用されているbien Bakeのオーナー坂下さんのリプライ。

 

 

この一連の流れが気になったので、関牛乳の代表取締役 吉田さんとbien Bake オーナー 坂下さんにお話を伺うことにしました。

共通点は、こだわり

- 関牛乳さんのご紹介をお願いします。

 

吉田さん:関牛乳は岐阜県にある牛乳メーカーで、昭和13年に私の祖父がこの関で酪農を始めました。そのときは酪農と牛乳を製造して、この関市周辺の人たちに飲んでもらっていたのが始まりです。私の親に代が替わってからは、酪農はやめて、牛乳のメーカーとしてやってきました。その後、私に代替わりしました。

 

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関牛乳 代表取締役 吉田さん

関牛乳の一番のこだわりは、牛乳を低温で殺菌する低温殺菌牛乳です。65℃で30分間殺菌する方法なんですが、よくスーパーで販売されている牛乳は、130℃の温度で殺菌して、殺菌時間も2、3秒で済むので、低温殺菌のほうが非効率なんですね。効率が悪くて大量生産はできないんですが、あまり加熱しないことで、牛乳本来の風味やこくを引き出すことができます。

 

ヨーロッパでは低温殺菌方法が多くて、牛乳が日本に入ってきたときにはどこも低温殺菌だったんですが、大量生産をするようになって、超高温の殺菌方法に変わってきました。その中で、うちは牛乳本来のおいしさをお客さまに味わってほしいと思い、この殺菌方法にこだわってやってきています。

 

- ありがとうございます。低温殺菌だと、生産量にも限りがありますか?

 

吉田さん:温度を倍にすることで、時間のほうは600分の1以上短縮できるので、当社が1日での生産量が約2,000〜3,000Lぐらいなんですが、大手の超高温殺菌の工場だと2万〜10万Lぐらいの量を生産できますね。効率が違う分、価格も1.5倍ぐらい高くなります。

 

- 続いて、bien Bakeさんの紹介をお願いします。

 

坂下さん:bien Bakeという焼き菓子専門店を石川県でやっています。今年で3年目になります。石川県は僕の地元で、もともとは、東京で大体20年弱パティシエの仕事をして、地元に戻ってきてお店を立ち上げました。お店では焼きたての焼き菓子をお店にそのまま並べていて、ネットショップでは焼きたてを冷凍したものを、冷凍のままお届けすることで、お客さまが焼きたてに近い状態のものを食べていただけるようにしています。

 

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bien Bake オーナー 坂下さん

- 焼き菓子専門店って珍しいですよね。

 

坂下さん:ケーキ屋さんでは、ケーキが主役で焼き菓子は脇役です。焼き菓子は大量につくって、冷凍しているのを、お店の売れ行きにあわせて解凍して、お店に並べています。そうすると、作った時からどんどん味が劣化してしまって、お客さまが焼き菓子本来のおいしさを味わえないんです。お店で働いていると商品にならないロスをおやつに食べていて、マドレーヌやフィナンシェの焼きたてのおいしさを知っています。でも、お客さまが食べる機会が全くないので、焼き菓子のおいしさ知ってもらいたくて、焼き菓子の専門にしました。

 

使い先がなくなった1,000Lの牛乳

- 新型コロナウイルスの影響を受けて、お商売の状況はどう変わりましたか?

 

坂下さん:当初は、情報がほとんどなかったのでお店を休業していましたが、ネットショップでは注文を受け付けていました。自粛期間中に、オンラインでお取り寄せをする機会がぐっと増えたと思うんですが、その中で当店のネットショップも全国の方に知っていただき、ご注文いただけるようになりました。

 

- 認知を広げるために何か施策をされたのでしょうか?

 

坂下さん:そのために特別に何かをしたわけではありません。日頃からやっているTwitterや、購入いただいたお客さまのクチコミを見て、知っていただいたのかと思います。

 

- 関牛乳さんはどのような影響がありましたか?

 

吉田さん:昨年3月、新型コロナウイルスが出始めた頃に一番影響が大きかったのは休校ですね。全国的に牛乳が余るということで、ニュースでも大きく取り上げられたので、何とか牛乳を廃棄せずにすみました。

 

ただ、今回の緊急事態宣言は学校によって、休校になる場合、オンライン授業になる場合、通常通り授業をやる場合と、対応がばらばらでした。関の地域はオンライン授業に切り替わることになり、牛乳が余ってしまったんです。

 

- オンライン授業に切り替わるのはいつ頃わかったのでしょうか?

 

吉田さん:8月30日からオンライン授業になったのですが、給食が必要ないという通知がきたのは8月25日です。

 

- 5日前だとすでに牛乳は用意されていましたか?

 

吉田さん:パックに詰めるのは前日ですが、その搾った生乳はタンクの中にある程度貯めている状況でした。実は9月の給食が始まる頃は、毎年牛乳が不足するんですね。ウシは夏ばてしやすくて、牛乳の量が少なくなるので、どの乳業者も、夏休みの間に少しずつタンクに牛乳を貯めています。当社も、学校給食の開始にあわせて、1週間、2週間前から少しずつ貯めておいたのが、急にキャンセルになったので、本当にそのときは戸惑いました。ちょうど1トン、1,000Lの牛乳の使い先がなくなったという状況でした。

 

- 通知がきた時は、どういう心境でしたか?

 

吉田さん:最悪の場合は廃棄することになりますから、それだけは何とか防ぎたいなと。ただ1,000Lなんて、パックに詰めると賞味期限も1週間になるので、1週間で売り切るのはなかなか難しくて。でも、このままずっと何もせずにはいられないので、トラックに積んで、出張販売をしました。できることをやってみようと思い、Twitterに投稿しました。

 

- その投稿があっという間に拡散されたんですね。

 

吉田さん:Twitterは6,000人ぐらいのフォロワーがいるのですが、それ以上の方がリツイートしていただいて。本当にびっくりしました。ツイートした次の日は、たくさんのお客さまに来いていただきましたね。

 

- そうだったんですね。ネットショップでも、たくさんのご注文があったかと思うんですが、ネットショップはいつ頃始められたのでしょうか?

 

吉田さん:2020年11月からです。もともとは地元地域密着で、岐阜県と一部愛知県のお店で販売していました。値段も高いですし、賞味期限も短いので、地域密着でやっていこうと思っていたんですが、たまたま STORES だと無料でお店が開けれるというのを知りました。無料だったら、とりあえずやってみようとネットショップを開設しておいたんですが、1週間に1回か2回ぐらい注文があるぐらいのペースでしたね。

 

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SEKIMILK ONLINE STORE

それが、今回のTwitterでの拡散によって、一気に注文が入りまして、発送能力のキャパを超えちゃうぐらいの注文がきちゃって。みんなに協力してもらって、総出で梱包作業をして、ようやく3週間ぐらいかけて発送が終わりました。

 

- たくさんの方が応援してくださったんですね。

 

吉田さん:投稿が拡散されてから2日間くらいは注文がひっきりなしで入っていました。全国にこうやって支援してくれる方がいるんだっていうのを実感しましたね。

「牛乳は得意ではないけどカヌレだったら買える」

- 坂下さんにお伺いしたいのですが、Twitterを見て、なぜお声がけされたのでしょうか?

 

坂下さん:さっきおっしゃっていた全国的に牛乳が余ったときも、普段使用してる牛乳の量を増やそうと、牛乳を使う量が多いカヌレをちょっと安くして販売していた経緯がありました。落ち着いた頃に、乳業メーカーさんや色んな方からその当時は困ったという話を聞いていまして、今回、関牛乳さんのツイートをたまたま見て、すぐにTwitterでご連絡しました。

 

- 普段は別のところから牛乳を仕入れられていて、今回関牛乳さんから仕入れることによって違いが生まれる部分はありますか?

 

坂下さん:少しカヌレの味は変わりますね。カヌレの40%ぐらいが牛乳なので、風味の違いが少し出ているような感じですね。

 

- Twitterでご連絡されてから、販売開始までスピーディだったのが印象的でした。

 

 

坂下さん:50L仕入れることを決めたので、買ってもらえる方がいないと困ってしまうので、予約販売で受付を開始しました。

 

- 最終的には50L以上、仕入れられてますか?

 

坂下さん:そうですね、今で340Lぐらいですね。僕らがカヌレを生産できる量も決まっているので、かなりのお客さまにお待ちいただいています。

 

吉田さん:今回、牛乳をどうしようということで、牛乳として売ることしか頭になかったんですけが、坂下さんがカヌレにしてスイーツとして販売していただくというのは、全く頭になかった発想で、すごく勉強になりました。お客さまにとっても、応援したいけどあんまり牛乳が好きではない方や苦手な方もいるので、カヌレなら買える、食べたいと思っていただいた方が多かったんだと思います。

 

坂下さん:ご注文時の備考欄に、関牛乳さんとのコラボありがとうございますとか、あんまり牛乳は得意ではないけどカヌレだったら買えるというメッセージを書いていただくことが多かったですね。あとは、岐阜県出身の方で、「うちの関牛乳」と書いていらっしゃったり(笑)。カヌレは知らないけど、関牛乳さんの力になりたいからと購入していただく方もいました。

 

 

- これをきっかけに、カヌレやbien Bakeさんを知る方もいらっしゃったんですね!

 

坂下さん:そうですね。顧客データを見ても、今回始めて購入された方がたくさんいらっしゃいました。

 

吉田さん:今回、改めて、全国に関牛乳のファンがいて、みんな応援してくれてるんだっていうのを本当に実感できた、いいきっかけでありましたね。

 

ネットショップでも一度ご注文いただいた方がリピート購入していただり、Twitterで、牛乳届いたよ!なくなったら来月も注文しますみたいな投稿もしていただいたり。今まで、ネットショップに力を入れてなかったんですが、これからはwithコロナの時代でもありますし、また、全国にニーズがあることがわかったので、ネットショップも力を入れてやっていきたいなと改めて思いました。

 

- おふたりとも、お忙しい中お時間いただきありがとうございました。

 

 

 

文:ヘイ株式会社 加藤千穂

 

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