毎月10,000件のショップがお商売を始めているSTORESには、個性豊かなショップオーナー様がたくさんいらっしゃいます。
今回は、デザイン会社を営みながら、週に1度だけオープンするショップ「cont」を運営するSHEEP DESIGN Inc.の代表取締役の山川立真さんにお話を伺いました。
食事のときでも使えるキャンドルを
- 山川さんについてお聞かせいただけますか
SHEEP DESIGN Inc.をはじめる前までは、印刷会社にて5年間アートディレクターとして食品のカタログの企画開発、デザイン制作全般に関わっていました。その中で食と健康に興味が湧き、独学で「食卓で安心して使えるソイキャンドル sheep」の制作を始め、2014年に愛知県製綿センターにアトリエを構え独立したんです。
- サラリーマンからの独立、不安ではなかったですか?
お店をやられている先輩などの話を聞いて、勢いではやらないようにと言われていたので、サラリーマン時代から独立に向けてしっかり準備をしていました。元々キャンドルは趣味で始めたものでしたし、それだけで食べていくのは難しいと思っていたので、デザイン受託とキャンドルの2本で生計を立てることにしました。現在ではキャンドル制作の傍、メーカー、小売、建築、サービスなど幅広い分野に渡り、ロゴ、パッケージ、カタログ、店舗などのデザインをやっています。
現在は週に1度だけアトリエの一部を開放して、様々な美の境界線をフラットに提案するショップ「cont」をオープンしています。
-「cont」のコンセプトをお伺いできますか?
contは様々な美のかたちを追求する小さなセレクトショップです。人の手によって施される造形も、ものづくりの背景にある生産者を支える仕組みも、資源を再利用するという考え方も、全てを「うつくしいもの」と捉え、ご紹介しています。例えば以前販売していたものでいうと、ネパールのオーガニック石鹸。この石鹸は、定職に就けずシェルターで暮らす女性の自立を促す活動の一環として、全て彼女たちが手作りで作っています。その生産背景自体がとても美しいことだなと思います。
基本的には、すでに知名度のあるブランドや作家さんなどはお取り扱いしないことにしています。まだあまり知られていないものでも魅力的で美しいものはたくさんあると信じてセレクトしています。
何回か通っていただいてその良さに気づいてもらうような「ゆっくりな消費」が浸透する場になれば良いなと思っています。
- キャンドルも「美しいもの」として生産されているんですね?
もちろんです。弊社のキャンドルは天然素材だけで手作りをしているソイキャンドルになっています。一般的なキャンドルの香料はケミカルなものが多くて、匂いは半永久的に消えないんですが、体にあまりよくないんです。これは香害とも言われますね。
-香害って初めて聞きました!
海外では規制がある国もあるんですよ。一方で、弊社のキャンドルは、植物の葉や花、果実や根などから抽出された100%ピュアオイルのみを使用したエッセンシャルオイルを配合しています。普通のキャンドルよりは少々値がはるのと、香りが抜けてしまうというデメリットがあるんですが、その代わりに体に害はありません。ガラスドームなどに入れていただいて保管していただくと香りも長持ちしますよ。
- そもそもなぜ体によいキャンドルをはじめたんですか?
私自身、ヴィーガンの思想を取り入れて生活していた時期があって、自分の食事中に使える、有害ではない理想のキャンドルを探したんですが、見つからなかったので、自分で作り始めたのがsheepの始まりです。食に関心が高い方や、尊敬しているお店の方達に聞いても、ススが出にくいソイキャンドルを知っている人は全くおらず、それで本格的に作り始めようと思いました。
始めのうちは自分の食卓用として作っていましたが、少しずつ周りの方達からも「キャンドルが欲しい」というお声をいただくようになり、販売を始めるようになりました。
キャンドルだけではなく、梱包にもこだわっています。箱もオリジナルの紙を使い、シールも京都の活版印刷のシールを使用しています。香りのスタンプは全て手作業で押してるんですよ。ギフト需要が高いので、プレゼントしたくなるような、見た目も美しいものにしています。
キャンドルも素材で選ぶ時代に
- STORESをはじめたのはなぜですか?
より多くの方に届ける手段としてインターネットは欠かせませんでした。伝わる想いの濃度は実店舗より劣るかもしれないですが、なくてはならない存在です。
STORESが始まってすぐに知人から教えてもらって、こんな簡単にオンラインショップが作れるということに衝撃を受けたのを覚えています。
使い続けている以上SEO的にも良いでしょうし、STORESであれば自分たちの商品を買ってくださったお客様がわかるので、長く使えば使うほど積み上がる良いサービスですね。
- ネットショップ運営の工夫を教えてください
キャンドルは、香りがネットショップだとわからないのが難しい点です。弊社ではお客様が選びやすいように、ランキング機能を使わせていただいています。初めてのご購入の方も結構多いのですが、そうするとやはり上位のものからご購入いただくことが多いですね。
- 今後挑戦したいことはなんですか?
海外でのキャンドル需要が非常に高いので、グローバル展開は夢ですね。
もう一つは素材でキャンドルが選ばれるような世界を作ること。洋服はオーガニックコットンであったり、素材で選ぶことが多くなってきたと思うんですが、キャンドルはまだまだパッケージの可愛さや香りで選ばれてしまうことが多いですよね。外で使うならパラフィンにしようとか、場面にあった素材でキャンドルをみなさんが選んでくれるようになれば嬉しいです。
- これからお商売を始める方へ一言
これからは更に実店舗とオンラインショップの役割がはっきりと分かれていくと思います。それぞれの特性を活かした方法で世の中に貢献できるお店を作っていけると良いなと思います。
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写真:SHEEP DESIGN Inc.提供
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