毎月10,000件のショップがお商売を始めているSTORESには、個性豊かなショップオーナー様がたくさんいらっしゃいます。
今回は、2019年5月に石川県で焼き菓子専門店bien Bake(ビアンベイク)をオープンした、オーナー兼パティシエの坂下さんにパティスリーがネットショップを始める時に気をつけることや集客で工夫していることなどを教えていただきました。
焼き菓子の本当の美味しさを伝えたい
ーなぜ焼き菓子専門店bien Bakeを始めたのでしょうか?
東京のケーキ屋さんでパティシエとしてのキャリアを始めたのですが、ケーキ屋さんだと焼き菓子は脇役になりがちで、販売数も少ないんです。そのため、大量に生産し、日持ちさせて、販売数が少なくても利益がでるようにしていました。
でも、新鮮な焼き菓子は味・香りが豊かで、周りがカリッと中はふわっとしています。商品にならないものは自分たちのおやつとして食べるんですけど、その美味しさを知っているがために、ケーキ屋さんで販売している焼き菓子は鮮度が落ちて、風味が弱くなっているのでもったいないなと。
石川県でお店をやろうと思った時に、焼き菓子の本当の美味しさを伝えようと思いました。ケーキ屋さんの売上の柱であるケーキなどの生菓子を販売せずに焼き菓子専門にすることは怖さがありましたが、スタッフの確保と経営の維持も考えないといけない。
そうすると、生菓子をメインにするのは難しいと考え、融通の効く焼き菓子で、少人数でも運営できるスタイルを模索しながら作ろうと思いました。
ーお店は何名で運営されているんですか?
私を含め5名ですね。2名が販売スタッフ、3名が生産兼販売です。
店舗はオープンキッチンになっていて、商品はパン屋さんのように並べて、お客様がトレイに取って持ってきていただけるので、キッチンからでもお話ができます。お菓子を作りながら、お客様の質問にも応えられるので、少人数でも店舗を運営できています。
ー商品の魅力を伝えるために工夫していることを教えてください。
SNSでの発信ですね。一度の発信だけでは伝わらないと思うので、試作段階の時から、使っている材料や生産風景などをどんどん発信して、知っていただけるようにしています。
皆さまから絶賛頂いているテリーヌショコラの口溶けは、しっかりとした乳化と、この滑らかな流動性がポイントです。 pic.twitter.com/27dOkFNOHx
— 坂下寛志/bien Bake (@Sakashita_h) 2020年5月16日
メインはTwitterなんですが、日々の発信がしやすいことと拡散力が高いのもTwitterだと感じています。お客様との会話も生まれやすいので、今はTwitterが主軸です。
ーSNSでの発信は時間をとってやられているのでしょうか?
わざわざ時間をつくるというよりは、お菓子作りをしながら、写真を撮って投稿することが多いですね。
お店を持つようになってから、Twitterもひとつの宣伝手段になったので、やらないといけないという気持ちは常にあります。発信ひとつで売上が変わるので、お店やスタッフを守るためにも、発信していくことは必須ですね。
ー坂下さん個人のアカウントとお店のアカウントを分けて運用されていますが、理由があるのでしょうか?
お店のアカウントではお店の情報だけを発信、個人のアカウントではお店のことも投稿しますが、それ以外の投稿もあります。今後新しいお店を出したいと考えているので、将来的にも分けておいた方がいいと考えました。
今日は母の日ですね。たくさん焼き菓子をご用意して、皆さまのお越しをお待ちしております。 pic.twitter.com/0ct17yaN8p
— BAKE SHOP bien Bake (@bien_bake) 2020年5月10日
お客様には、お店のファンもいれば、スタッフや私を慕ってくださっている方もいるので、アカウントも分けて、情報を出し分けた方がいいと思っています。
ーネットショップでの注文には、お手紙を同梱されていますよね。ハッシュタグも書かれていたので、お手紙を見て、SNSに投稿されるお客様もいらっしゃるのかなと思いました。ハッシュタグの投稿は全部見られているんですか?
はい、見ています。焼き菓子の感想を私たちに伝えたいという方もいらっしゃるので、そういう方はハッシュタグをつけて投稿してくださっていると感じます。僕たちとしても売って終わりじゃなくて、それが会話のきっかけや、お客様同士のコミュニケーションのきっかけになればいいなと思っています。
ありがとうございます。嬉しいです。またお待ちしてますね https://t.co/YOIr3xUMbM
— 坂下寛志/bien Bake (@Sakashita_h) 2020年5月15日
僕たちも、商売のためだけにお店をやっているわけではなくて、美味しいと思う焼き菓子を作って、それを喜んでもらう。お客様の生活の一部になれればいいなと思いますね。
成功するためには信頼を積み重ねること
ー直近2ヶ月でネットショップの売上が大きく伸びていますが、要因はなんでしょうか?
新型コロナウィルスの影響が大きいと思います。外出自粛が続く中で、おうち時間をよりよくしたい、お家で美味しいものが食べたいとご購入いただいているようで、ご注文時の備考欄でもそのようなメッセージを多くいただきます。
ぜひお待ちしております。ともに頑張りましょう。
— 坂下寛志/bien Bake (@Sakashita_h) 2020年4月20日
発送したお菓子で、ひとまず楽しんでください!
↓ 渡邉シェフの美味しいお菓子画像はこちら ↓@15portebonheur pic.twitter.com/ENQbzzRwxP
僕たちがこの状況下でできるのは、お菓子をお届けすることだったので、メッセージをいただけて嬉しかったです。
また、届いたお菓子を、喜びを分かち合うようにSNSに投稿してくれる方が多く、クチコミがさらに広まって、売上に繋がったのかもしれません。
ーパティスリーが通販で成功するためのコツはなんだと思いますか?
信頼を積み重ねることですね。日々の情報発信を地道に続けることと、最終的には商品だと思うので、しっかり作ることが信頼を積み上げることになると思います。
ごまかそうと思えばどこまでもごまかせるんです。材料もここまではわからないだろうと安価なものに変えることもできますが、それは僕が求める方向ではないので、自信を持って美味しいと言えるものを作って、適正価格で買ってもらい、喜んでもらえるのが一番ですね。
ネットショップでは、自分がお客様目線で見てほしいと思う情報はできる範囲で出すようにしています。僕も色んなお店で買い物をするので、その時々でいいなと思ったことは取り入れています。
ーパティスリーが通販をする時に気をつけることはなんでしょうか?
通販は店頭販売よりもやることがたくさんあります。お問い合わせのやりとりや梱包、配送…店頭だと言葉で説明できますが、それができないので案内を同梱したり。売上からは見えない作業なので、最終的に人件費だけ高くなる可能性があります。
また、「通販=送料無料」の意識がお客様にあるので、お店側が送料を負担してしまうこともあります。ケーキや焼き菓子はただでさえ利益率が低いのに、さらに利益を減らしてしまう。どうすれば利益がでるのかを念頭において運営する必要があります。
ーbien Bakeさんは、6,480円以上お買い求めの方に、送料同等の焼き菓子をプレゼントされてますよね。なぜそういう選択をされたのでしょうか?
送料をお店側で負担するのは悪い選択だと思っていて、それをしても先がないんですね。送料はお客様にお支払いいただいた上で購入に繋がるのがベストです。
送料が60サイズで1,150円、お菓子じゃぴったりの金額にはならないので1,200円くらいの焼き菓子を同梱しています。遠くから6,500円も買っていただけるのはありがたいことなので、感謝の気持ちを込めたプレゼントです。
配送料は全てヤマトさんにお支払いするので、うちは利益とはならないのですが、皆さまが気軽にご注文頂けるように、焼き菓子で還元サービスしてます(購入条件有り)。
— 坂下寛志/bien Bake (@Sakashita_h) 2020年3月5日
送料無料とほぼ同じなので、これからもぜひ。
今回のテリーヌチーズは、私のおやつ分も回しているので、早く作って食べたいです。 https://t.co/k6eDt41W0z
おまけの分は、ご注文いただいた商品となるべくかぶらないようにしているので、お試しいただける機会にもなっています。
都会から地方にお客様を呼べる場に
ー店舗を始める時に、ネットショップもやろうと決めていたんですか?
はい。石川県は地方都市なので、全国各地のお客様にお届けできるようネットショップもやろうと思っていました。オープン直後はバタバタするので、落ち着いた頃に始めました。
ー数あるネットショップ作成サービスの中で、STORESを選ばれた理由はなんでしょうか?
お客様が購入するまでの導線やネットショップの運用がスムーズに感じたからです。
あとは、プレゼント企画をしたかったというのもあります。Twitterのフォロー&リツイートキャンペーンだと簡単に応募できてしまうので、0円の商品を送料無料で登録して、それを注文していただくのが応募代わりという仕組みでプレゼント企画を実施しました。オーダーごとの固定費がかからないので、そのような使い方もできるなと思いました。
ーありがとうございます。最後に、今後目指す姿ややりたいことを教えていただけますか?
3つあります。
ネットショップでは東京と地方の境目がなくなります。ネットショップを通じてお店のことを知ったお客様がお店に行きたい、直接私やスタッフとお話がしたいといらっしゃることもあるので、都会からお客様を呼べる場にしていきたいというのが1つ目ですね。
2つ目は、パティシエの労働環境を変えていきたいと思っています。長時間労働が当たり前の業界なのですが、正しい労働環境でどう持続化できるかを考えてからお店で何を売るのかを決めていかないといけないと思います。お店をやるためにはスタッフが必ず必要なので、自分のやりたいことだけを考えるのではなく、どれだけのリターンがあるのかは考えていかないといけません。
3つ目は、焼き菓子専門店ではない専門店をやることです。まだ商品は検討中ですが、この店舗という作れる場所があるので、販売はネットショップで小さく始めて、お客様の反応を見ながら進めていければと考えています。
写真:bien Bake提供
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