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注目の共創マーケティング3事例-顧客と企業との価値共創

マーケティング 価値共創

 

顧客と企業が共に商品やサービスを開発していく「共創マーケティング」が注目を集めています。顧客のアイデアや本音を商品やサービス開発に生かす手法を言いますが、企画段階から顧客が関わることもあるため“共創”という言葉が使われています。

 

そこで今回は「価値共創」事例をピックアップしてご紹介します。

価値共創事例1 ファーストリテイリング「StyleHint -着こなし発見アプリ」

StyleHint 着こなし発見アプリ出典:着こなし発見アプリ | StyleHint

 

一つ目の事例はファーストリテイリング社です。
ファーストリテイリングは、自社の運営ブランド「ユニクロ」「ジーユー」等の公式アプリとは別で、世界中のおしゃれな着こなしやコーディネートのテクニックを投稿できるアプリ「StyleHint(スタイルヒント) -着こなし発見アプリ」を2019年秋にリリースしました。

 

「StyleHint(スタイルヒント) -着こなし発見アプリ」は「ユニクロ」や「ジーユー」のアイテムを使ったコーディネートの検索、カメラで撮影した写真、保存した画像から世界中の着こなしアイデアを探索、世界中のファッショントレンドやコーディネートをチェックできるなどの情報収集に加えて、ユーザーがお気に入りの着こなしを世界中に発信出来たり、気になるアイテムをすぐに購入できたりするなどの機能を持ったアプリです。

 

2020年7月時点で、リリースから1年も経過していないにもかかわらず、すでに500,000件以上のダウンロード数を記録しています。

 

「StyleHint」では、スマートフォンのカメラロールだけでなくインスタグラムとも連携しているため、画像を選ぶだけで簡単に投稿できます。また、写真や画像を投稿すると、画像認識技術を使って、その画像に似た「ユニクロ」や「ジーユー」の商品を特定し、タグ付けをサポートしてくれるそうです。

 

企業側が販売したい商品をプッシュするだけでなく、自社商品のスタイリングを顧客に投稿してもらい、どのように自社製品を着こなしているのかを企業側が知る仕組みとしても有効に機能しています。 最近の共創マーケティングの注目すべき事例といえます。

価値共創事例2 オレンジページ「サロンWEB」

オレンジページ サロンWEB出典:オレンジページ

 

二つ目の共創マーケティングの事例は『オレンジページ』です。

『オレンジページ』は、1985年6月に「暮らしが楽しくなる生活情報誌」として始まり、2020年6月に創刊35周年を迎えた人気雑誌です。 「女性の購買行動に影響を与える雑誌」の調査で1位を獲得するなど、既に読者と良好な関係を築いています。

 

2015年3月、読者とのより良い関係の構築と、新たな収益モデルの構築を目的としてスタートした「オレンジページ サロンWEB」は、開始わずか3カ月で2,500名以上の会員が集まり、密度の濃いコミュニケーションの場所となっています。

 

オレンジページ マーケティングプラットフォーム

出典:オレンジページ

 

国内で初となる読者と企業が共創をおこなうマーケティングプラットフォームで、読者がダイレクトに企業やブランドとつながり、インタラクティブな対話を通して、価値を共創しています。

 

「オレンジページサロンWEB by くらし予報」では、食意識・生活全般に意識の高い会員を有しており、その会員に向けたアンケート調査やくらしのアイディア募集などを通じて、読者との関係性を築きます。
その中で得た情報を元に、企業の商品開発やマーケティングに活かすプラットフォームとして、新たな価値を創造するのが目的です。

価値共創事例3 西友 プライベートブランド「みなさまのお墨付き」

西友 プライベートブランド

出典:markezine 発売から売上30%増を継続!生活者が商品化を決める西友のPB「みなさまのお墨付き」成功の秘訣とは?

 

三つ目の共創マーケティングの事例は、西友です。
西友が展開するプライベートブランド「みなさまのお墨付き」は、発売以来、生活者延べ13万人との商品テストの共創により、売上前年比30%アップの成長を維持しています。

 

まずは、西友として商品開発を行った後、西友の主な顧客層である「全国の20~60代の女性」を対象に消費者テストを実施します。1製品につき100名以上を試食会に集めてテストを行い、80%以上の支持(味・容量・価格について、非常に良い/良い/良くない/全く良くない、の4段階で評価)を獲得したものに限って商品化するというコンセプトで展開しています。

 

支持率が80%未満の商品は、顧客から寄せられたコメントを元に改良して再度消費者テストにかけるか、発売中止となります。これを繰り返して商品開発を行っています。テストに合格して商品化したあとも、時代によって求められる味が変わってくるため定期的に再度消費者テストを行っています。

 

消費者が満足いく商品が開発されるまで消費者テストを繰り返すというサイクルが「みなさまのお墨付き」に対する信頼度向上と消費者の継続購入を促し、結果として前年比+30%の売上を達成しているのです。

海外の価値共創事例「 LEGO IDEAS」

海外の共創マーケティングの事例として、デンマークの玩具メーカーレゴ社の「LEGO IDEAS(レゴアイデア)」を紹介します。
オンラインプラットフォーム上で、レゴユーザーが商品化して欲しいレゴセットのアイディアを投稿することができ、10,000以上の投票が集まったアイディアは、商品化が検討される仕組みになっています。

 

アイディアが商品化された際には、売上の1%のロイヤリティーが発案者に与えられ、発案者の名前が組み立てマニュアルにクレジットとして記載されます。自分が考えた商品が店頭に並び、さらにマニュアルに名前が載ることは、ファンにとっては非常に名誉なことであり、最高のブランド体験となります。
また、アイディアの発案者でなくても、優れたアイディアに対して投票をすることで商品開発に携わることができるという点も、コミュニティー構築に一役買っているでしょう。

 

「LEGO IDEAS(レゴアイデア)」を通して、レゴ社はユーザーのクリエイティブなアイディアを商品開発に活かすだけでなく、世界中のユーザーと繋がり、ブランドロイヤリティーを高めることに成功しています。

 

ちなみに、このプロジェクトは、もともとは「LEGO CUUSOO(レゴ クーソー)」という日本のサービスから始まったもので、記念すべき製品化の第1号は日本が誇る有人潜水調査船「しんかい 6500」でした。

価値共創事例をふまえて

モノ(機能的価値)だけで差別的な競争優位性を保つことが難しくなっている今の時代において、顧客と企業、そして顧客同士がつながり、様々な「共創」をすることによって価値を高めるという取り組みはますます増えていくことと思います。

 

また、顧客との関係性や顧客同士のつながりをネットのツールを利用しながら作っていく事は、商品開発のみならず、顧客の囲い込み(ファン化)や、プロモーション方法・ブランディングなどにおけるヒントを顧客にもらいながら一緒にお店を作っていく際にも有効に活用できます。

 

その際、ただやみくもに顧客に任せ、顧客の声を反映させるのではなく、自社の事業戦略や企業理念に応じた共創マーケティングを「ともに考え、作っていく」という姿勢で関係性を構築することが大切です。

 

顧客との関係性を強固にし、ブランディングを図ることが、これからの企業には様々な場面で求められてくるのではないでしょうか? 

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