現在、多くの業界で徹底した顧客管理が実施されてきています。そして当然、アパレル業界も例外ではなく、顧客管理の質を上げようというマーケティング戦略をとっている企業・店舗も増えてきました。
実際、顧客管理はアパレル業界にどのような影響を及ぼすのでしょうか。メリット、方法、事例などを解説していきます。
顧客管理とアパレルの関係
顧客管理とは、顧客に関する情報や購入頻度、購買履歴、売上高、などの顧客の属性や行動に紐づくデータを統一して管理することを指します。
また、顧客に関する情報を管理するだけでなく、得た情報を元に顧客と良好な関係を築いていくこと、つまり顧客と企業の関係管理という意味まで「顧客管理」という単語の中に含むことも多くあります。
顧客管理は、マーケティングをする上では欠かせないことです。いくら様々な施策を打ち出したところで、顧客のニーズのかけ離れていては見向きもされないでしょう。逆に、顧客のニーズにはまった施策であれば、思うような結果を出すことも可能になります。
現在では、様々な業種の店舗・企業が顧客管理を徹底し、顧客と良好な関係を築くことに力を入れています。そしてもちろん、アパレルも顧客管理によって良好な関係が築けるようになることは間違いありません。他の業種と同じように、アパレルにも衣類における好みのデザインやサイズ感、素材、買いたいと思うタイミングなど個々に持つバラバラのニーズに応えていく必要があります。
アパレルにおいてエンゲージメントを高め、購入回数を増やしてもらうために、顧客管理は必要不可欠だということができます。
顧客管理をアパレルに導入するメリット
顧客管理をアパレルに導入することで、アパレルの店舗・企業にはどのような利点があるのでしょうか。
1つ1つ見ていきましょう。
顧客満足度を向上させることができる
顧客管理によって判明した顧客のニーズに応じて、顧客1人1人に合った商品・サービスを提供していけば、顧客の満足度が上がることは間違いないでしょう。
さらに、顧客管理を行っていれば個々に違う条件でキャンペーンやイベントを実施することが可能です。個々に違う条件のキャンペーンやイベントの例としては、誕生日のお祝い、付与されたポイントに応じた割引などが挙げられます。
1人1人別々に違うキャンペーンやイベントを行うことも顧客満足度の向上につながります。
離反顧客・休眠顧客をリピーターに変えることができる
離反顧客とは、商品・サービスに不満を抱き、離れていった顧客のことを指します。休眠顧客とは、商品・サービスの存在を忘れている状態の顧客のことを指します。
顧客管理によって離反顧客や休眠顧客の不満点や満足した点を分析し、それを応用させれば離反顧客・休眠顧客を普通の顧客に復活させ、そのままアプローチを続けていればリピーターへ変えることができます。
アパレルのお店には離反顧客や休眠顧客のデータが残っているため、顧客管理を行えば新規顧客の獲得よりも労力をかけずに、確実性の高い方法でアプローチをすることが可能になります。
新規顧客への依存度が下がる
既存顧客のロイヤルティを高めたり、離反顧客や休眠顧客の呼び起こしを行えば、それだけで安定的な利益を得ることができるため、新規顧客を獲得する必要がなくなります。
新規顧客の獲得には大きなコストがかかるため、新規顧客にかけるコストを削減できるというのは大きなメリットでしょう。
顧客管理をアパレルに導入するデメリット
続いては、顧客管理をアパレルに導入することで生じる悪い点について解説していきます。
①コストがかかる
顧客管理をするには、労力や時間、費用などのコストがかかります。
顧客管理を行い、エンゲージメントを高めていくにはアプローチやフォローを変えていく必要があります。そしてその新しいアプローチやフォローの体制がしっかりと固まるまでの間は、手間と時間がかかるということは避けられないでしょう。
また、顧客管理のツールやシステムを導入する場合は利用料を支払わなければいけません。顧客管理によって利益が増大すれば利用料の支払いは負担にはなりませんが、初期段階においては大きな負担となることもあるでしょう。
ただ、これらの点は、顧客管理の導入後にはあまり負担となることがないため、そこまで大きなリスクとなることはないでしょう。
②顧客情報のセキュリティを強化する必要がある
顧客管理を導入するということは当然、多くの顧客の情報を持つということになります。セキュリティが甘く、顧客の情報が漏洩してしまった場合、多大な被害を及ぼすことになるでしょう。
アパレルなどは特に、顧客の身体に関する情報などを保管している場合もあり、顧客にとってはあまり知られたくない情報を流出させてしまう危険もあります。
顧客情報の漏洩が起こるリスクがあることは明確なデメリットだと言えるでしょう。
顧客管理をアパレルに導入する方法
顧客管理が大事だと分かったところで、どうやって顧客の情報を集め、どのように分析し、どのように活用すればよいのか分からない人は多いでしょう。
そこで、顧客の情報を集める方法や集めた情報を分析する方法などを解説していきます。
ポイントシステムで情報収集
ポイントシステムの導入により顧客の情報を集めるという方法は広く使われています。
ポイントシステムを導入する場合、ポイントカードを発行する場合とモバイルのアプリにポイントシステム機能をつける場合があります。どちらにせよ、顧客の情報を集めることは可能です。
従来はポイントカードが主流でしたが、現在では店舗アプリ内にポイントシステム機能をつける事例も増えてきました。
メルマガで情報収集
メルマガを使えば、メールアドレス、コンテンツごとの開封率、商品URLのクリック率などの情報を集めることが可能です。
店舗アプリので情報収集・活用
アパレル店舗オリジナルのアプリを開発したり、大きなプラットフォームに登録したりして、店舗で使えるアプリを用意することは効果的です。
アプリ内にはポイントシステムやスクラッチ、抽選などの機能をつけることができます。さらに、情報の発信も行うことができ、開封率、クリック率などを分析することも可能です。
さらに、アプリによっては個別にアプローチをしたり、コミュニケーションを取ったりすることも可能なため、エンゲージメントを高めることができます。
DM・Eメールで活用
顧客管理によって絞り込まれた見込み客のみに、DM・Eメールを送ることは、大勢に一斉送信されるメッセージよりもコストをかけずに結果を出すことができます。
DM・Eメールでの活用は顧客管理の定番とも言えるでしょう。
CRMツールを活用する
CRMツールとは、顧客管理に特化した機能を備えたツールです。情報の収集、分析、共有、活用まで一通り行うことができます。
他の方法に比べると多くの費用が掛かりますが、顧客管理の質や労力・時間の削減という面ではCRMツールを活用することが最も良いでしょう。
実際にアパレルの店舗でCRMツールが導入された事例は数多く存在します。
顧客管理はアパレルにおいて重要
今回は、顧客管理をアパレルに導入することについて解説しました。
顧客管理をアパレルに導入すると、
- 顧客満足度の向上
- リピーターの増加
- コストの削減
といったメリットが得られます。顧客管理を導入した方が良いことは明白です。
具体的な方法をいくつか紹介したので、すぐにでも始めることができると思います。
アパレルに限らず、顧客管理はビジネスにおいて最重要事項であることは間違いありません。
顧客の情報を徹底的に集め、細かく分析し、顧客1人1人に寄り添ったアプローチ・フォローを徹底し、エンゲージメントを高めることが売り上げの増加や事業発展につながります。
顧客管理がおろそかになっているアパレル企業は今すぐに顧客の管理体制を強化しましょう。