魅力的な商品やサービスを開発したのに、売上に不満を持つ店舗運営者の方もいることでしょう。その場合、再来店率について分析すれば解決の糸口が見えるかもしれません。
今回は再来店率の意味をおさらいしつつ、計算方法やリピーターの数を増やす方法について解説します。
- 再来店率の意味とは?
- 再来店率に関する計算方法
- 再来店率が下がる理由
- 再来店率を上げるアイデア1.会員ランク制度の導入
- 再来店率を上げるアイデア2.カスタマーサービスの活用
- 再来店率を上げるその他の方法まとめ
再来店率の意味とは?
再来店率は、再度店舗を訪問してくれる新規ユーザーの比率をさします。つまり、再来店率はリピーターに関する指標でもあります。店舗の運営においては商品や顧客に関するさまざまな指標がありますが、その中でもなぜ再来店率が重要なのでしょうか?
そもそもリピーターとは、商品やサービスに親しみを持ち、繰り返し活用してくれる顧客です。つまり、すでに商品やサービスの価値を把握しているので、継続して売上をもたらしてくれます。
また、商品やサービスを知人に紹介してくれる存在でもあり、売上に波及効果を及ぼす可能性も秘めています。その点をふまえると、一度店舗を訪れてくれた顧客に対して次回の来店を促すアプローチを各店舗で検討することが大切です。
ただ、一人ひとりの顧客を目で見るだけではリピーターであるかどうか視認できません。実施したアプローチがうまくいっているのか確認できないといえます。したがって、リピーターの存在を分析できるよう、再来店率という指標で確認する必要があるというわけです。
再来店率が高ければ、継続した商品の購入やサービスの利用につながるので、半年後や来年、再来年などの収益の予測もしやすくなります。店舗運営の安定性を確認するうえでも再来店率の指標は役立つことでしょう。
再来店率に関する計算方法
再来店率に関する指標には、リピート率とリピーター率の2つがあります。それぞれの計算方法を知って違いを理解しましょう。
リピート率
リピート率は新規顧客数におけるリピーター客の割合をさし、下記の通り計算できます。
リピート率 = 月間リピート人数 ÷ 累計新規顧客数 × 100
たとえば、オープンから現在まで20,000人の新規ユーザーが店舗を訪れたとしましょう。その場合に、今月再来店したユーザーが4,000人だったとすると、リピート率は下記の通り計算できます。
リピート率 = 4,000人 ÷ 20,000人 × 100 = 20%
リピート率が高ければ、顧客が商品やサービスに好印象を抱いていると判断できます。
リピーター率
リピーター率は、1ヶ月間の顧客数におけるリピーターの割合であり、下記の通り計算できます。
リピーター率 = 月間リピート人数 ÷ 月間総顧客数 × 100
たとえば、今月のリピート人数を1,000人、今月の顧客数を4,000人だったとすると、リピーター率は下記の通り計算できます。
リピーター率 = 1,000人 ÷ 4,000人 × 100 = 25%
リピーター率が高いと運営がうまくいっているように見えるかもしれませんが、仮にリピーター率が100%だとすると新規顧客がいなかったことを意味します。
当然、新規顧客を増やすことも売上のアップにつながるので、リピーター率を分析しながら新規顧客を増やすことも経営においては大切です。
再来店率が下がる理由
再来店率の計算をした後、望ましい結果が得られない方もいるかもしれません。やみくもに対策を打っても再来店率が上がるとは限らないでしょう。まずは、再来店率が下がってしまう理由から確認していきます。
理由1.金銭的ストレス
自分が解決したい悩みや課題によるストレスよりも、金銭を支払うストレスの方が高ければ、当然商品やサービスの利用にはつながらず、再来店率も下がると考えられます。
商品やサービスのベネフィットを見直すこともときには必要です。正規料金とは別に、リピートに応じた割引価格を設定するのも効果的といえます。
理由2.ターゲットがぼやけている
ターゲットの絞り込みが甘いと、商品やサービスの利用について必要性を感じてもらいにくくなる恐れがあり、再来店にはつながりにくいといえます。
反対に商品やサービスの必要性に気づいてもらえれば、自ずと再来店してくれる可能性は高まることでしょう。
理由3.商品やサービスに飽きてしまう
一時的にはまっていた商品やサービスでも、継続して購入・利用していれば飽きてしまうことは十分にありえます。
したがって、再来店率を下げないようにするためには、期間限定メニューや季節メニューを用意するなどの工夫が求められます。
再来店率を上げるアイデア1.会員ランク制度の導入
商品やサービスの質が高ければ再来店率が高くなる可能性は確かに高いといえますが、適切なフォローをしないと競合他社に顧客を奪われてしまう恐れがあります。ここからは再来店率を高めるアイデアについても考えてみましょう。
会員にランクというステータスを付与することで再来店率を高めることができます。
たとえば、ランクに応じてポイント還元率が高まる仕組みです。商品やサービスをよりお得に購入・利用したいという気持ちを引き出し、ランクを高めることをユーザーに意識させます。ランクを高める条件に関しては、店舗の来店に関わる要素を可視化して定めることで、再来店率を高めやすくなるでしょう。
会員制度に関する具体的な事例としては、大手商業施設のパルコが挙げられます。パルコではランク・ステージ制を採用しており、毎年3月1日~翌年2月までの期間に、パルコ各店でPARCOカードを利用した金額に応じてランクが決まります。
ランクを上げることで豪華リゾートホテルの招待や、シネマチケットの抽選プレゼントなどの機会を得られる仕組みです。獲得できる商品やサービスの質が高いほど再来店への意欲を引き出せると考えられます。再来店率を高めたいのであれば、大手商業施設の事例について参考にしつつ、会員制度の仕組みを整えてみるとよいかもしれません。
再来店率を上げるアイデア2.カスタマーサービスの活用
商品やサービス自体に問題や課題があれば当然再来店率が低くなるといえます。そのため、再来店率を上げるには、顧客の意見を参考にして商品やサービスを改善することが重要です。
そこで注目すべきなのがカスタマーサービスの利用です。サービスに関する質問や相談を分析することで改善に役立てられます。
実際にカスタマーサービスを重視した取り組みを行った事例として、大手アパレルのユニクロが過去に話題となりました。全国紙に「ユニクロの悪口言って100万円」という広告を掲載したのです。その後、約1万通の応募が殺到し、実際に100万円が支払われたといわれています。結果、白の肌着は首回りや腕が透けて見えるという利用者の悩みを把握し、薄着でも透けて見えにくいベージュ色の起用でヒット商品を生み出しました。
ただ、カスタマーサービスでは重要ではない相談や質問を受け付けることもあり、時間を避けないという店舗もあるかもしれません。最近では、人工知能を活用した自動会話プログラムが登場しており、人間に代わって質問に対応してもらえるようになりました。
チャットボットを活用してカスタマーサービスの体制を整えれば、本当に重要な顧客の悩みを収集しやすくなるといえます。必要に応じて導入を検討してみてはいかがでしょうか。
再来店率を上げるその他の方法まとめ
今回は再来店率の概要をはじめ、計算方法やリピーター数を増やす方法をご紹介しました。再来店率の計算方法や会員ランク制の事例を知って、早速店舗の経営に活かしていきたいと思った方もいるのではないでしょうか。ただ、リピーターを増やす方法は会員ランク制の導入だけにとどまりません。
たとえば、自社ブランドのアプリを制作し、顧客にダウンロードしてもらう方法です。スマートフォンのホーム画面で店舗のアプリを見るたびに、商品の購入やサービスの利用について想起させられるので、再来店をしてくれる可能性が高まると期待できます。
そのほか、次回の来店で使えるクーポンを渡したり、初回来店時に次回の予約日を決定してもらったり、開催予定のイベントを案内したりする工夫なども効果的でしょう。それぞれの店舗にあった方法で再来店率を高めてみてください。