ネットショップをはじめ、商品やサービスを提供していると、お客さま対応(カスタマーサポート業務)を欠かすことはできませんよね?
なぜなら、お客さまに商品やサービスを購入していただくことで売上がたち利益が生まれ、ショップを継続して運営していくことができるからです。
つまり、お客さま対応をおろそかにしてしまうと、ショップへの信頼度がさがってしまい、結果的にショップの存続が難しくなってしまうこともあるかもしれません。
ただ、実際にネットショップを運営しているとわかるのですが、ネットショップの運営には、
- サイトの管理
- 在庫や経費の管理
- 商品の仕入れ
- 商品の梱包・発送
など、さまざまな業務があるため、日々の業務に追われ、お客さま対応になかなか手がまわせずお問い合わせの返信に数日かかってしまっている…という経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか?
「きちんとお客さまへ対応したいのに、人や時間が足りない…」
そんなときに助けとなるのが『お客様対応を外部に業務委託する』という方法です。
委託できる業務内容は、
- お客さまからのお問い合わせ対応
- 注文の受注
などさまざまな業務があります。
そこで今回は、
- お客様対応を業務委託するメリットとデメリットから
- お客様対応(顧客対応)を業務委託できるサービスの内容
までを詳しくご紹介します。
すでにお客さまからのお問い合わせがたくさんあるショップはもちろん、これからお客さまからのお問い合わせが増えそうな気配のあるショップのオーナーさんは、内容をしっかり確認し、お客さま対応の業務委託を検討してみてもいいかもしれませんね。
お客さま対応を業務委託するメリットとは?
お客さま対応の業務は、カスタマーサポート(customer support 通称:CS)とも呼ばれます。
このCS業務を業務委託することによって、どのようなメリットがあるのでしょうか?
売上向上のために業務に専念することができる
小さなお問い合わせからクレームなどの重大なお問い合わせまで、お客様への対応をすべて委託することによって、ネットショップの運営に専念できる時間が確保できる点が大きなメリットです。
今までお客さま対応に当てていた時間を、
- 商品の企画や制作、仕入れなどの新商品開拓
- ショップのプロモーション
など、売上アップにつながる活動により多くの時間が使えるようになります。
※ネットショップのプロモーション活動については、売れるネットショップはプロモーションが上手い!販売促進につながるキャンペーンとは ?の記事で紹介しているので、合わせて確認しておくと良いでしょう。
プロによる対応が受けられる
お客さま対応を外部に依頼した場合、お客さま対応経験の豊富なプロに対応してもらうことができるというメリットがあります。
お客さまからいただくお問い合わせの中には、商品に関するお問い合わせもあれば、クレームのお問い合わせもあるでしょう。
特に、クレームの場合はネガティブな感情をもった状態でお客さまからのお問い合わせを受けることになります。
- 言葉遣いを少し間違えてしまった
- 電話のうしろの声が入ってしまった
- 口調が事務的に感じさせてしまった
- 具体的で分かりやすい説明がない
こうした対応1つで、さらにネガティブな感情が促進され、ショップに対する信頼を失ってしまうかもしれません。
しかし、外部に業務委託をすることで、言葉遣いはもちろん、お客さまの意見をしっかりと聞ける体制、会話の絶妙な間の空け方など、クレーム対応の経験も豊富なプロのスタッフに対応してもらうことができます。
こうした丁寧な対応を受けられることは、お客さまのネガティブな感情が薄らぐことに繋がり、もう一度お客さまとして戻ってきてくれるということも期待できるでしょう。
お問い合わせの内容を記録してくれる
自分たちでお客さまのお問い合わせ対応をしている場合、履歴としてExcelなどの表に残していたり、メールの場合は履歴として残しているという人もいるでしょう。
しかし、お問い合わせが立て続けに続いてしまうと、ついうっかり記録をつけ忘れてしまった…なんて経験もありませんか?
そして「お客さまから×月○日にこうした内容で問い合わせてるんだけど…」と改めて連絡があった際に、過去のお問い合わせ内容が確認できず、お客さまに不快な思いをさせてしまったという経験をしたことがある人も、多からずいると思います。
しかし、お客さまからのお問い合わせを外部に委託していると、小さい規模のお問い合わせから大きい規模のお問い合わせまで、全ての内容やを記録してもらうことができます。
また、基本的にその時の対応履歴なども記録されていることが多いため、お問い合わせをされた全てのお客さまの内容を残しておくことができます。
クレームを含めたお問い合わせの履歴が確認できることで、お客さま対応がスムーズになるだけでなく、今後のショップの改善にも繋げることができるという点で、お客さま対応を業務委託するメリットであると言えます。
時間的コスト・人件費の削減に繋がる
お客さま対応を外部委託することにより、時間的コスト・人件費の両コストを削減することができます。
自分たちでお客さま対応を行う場合、顧客数によっては複数人のお客様対応専用スタッフを雇用する必要があり、アルバイトやパートだったとしても、お給料を支払わなくてはいけません。
つまり、人件費がかかります。
また、仮にお客さま対応をする人員を雇うことができたとしても、レベルの高いお客さま対応ができるようになるまでに、最低でも1ヶ月以上の時間がかかります。
つまり、時間的コストがかかります。
お客さま対応を外部に委託した場合は、依頼費用は発生しますが、時間的コスト・人件費の面で費用を削ることができるので、長期的にみてもメリットになると言えるでしょう。
お客さま対応を業務委託するメリットとは?
お客さまの声が届きにくくなる
自分たちでお客さま対応をする場合は、直接お客さまの声を聴きながら対応することができるので、お客さまからの意見や要望をすぐに改善項目として取り入れることができます。
しかし、外部に委託した場合、お客さまと直接お話をする機会が必然的に減るため、お客さまからの意見や要望をすぐに受け止めることができません。
また、委託先を介することで、お客さまの熱意なども伝わりにくくなってしまいます。
このように、お客さまとの間に距離がうまれてしまう点が、外部に委託する際の大きなデメリットだと言えます。
お客様対応できる人が育たない
自分たちでお客さま対応をで行う場合、商品に関する知識に加えて、言葉遣い・声のトーン・話すスピード・間のあけ方など、お客さまの対応方法について学び、実際の経験から知識以上のことを身につけていくことができます。
しかし、外部に委託してしまった場合、自分たちでお客さま対応をする経験ができないため、いつまでもお客さま対応ができるスキルを持った人を育てることができません。
いずれは自分たちでお客さま対応も行なっていきたいと考えているのであれば、お客さま対応を身につけるための対策を考えておくようにしましょう。
委託先と定期的に連絡を取る必要がある
お客さま対応を外部へ委託した場合、定期的に委託先とコンタクトを取る必要があります。
コンタクトを取る=仲良くなるということではなく、お客さまの対応の仕方などのルールに認識の相違がないように、双方できちんと認識のすり合わせを行なっておかなければいけません。
万が一認識に相違があり、「この前説明されたことと違う!」と二次クレームへと繋がってしまうといった自体を避けるためにも、工夫をしながら委託先とコンタクトを取るようにしましょう。
お客様対応代行サービス4選
メリットやデメリットを理解した上で、お客さま対応を委託してみたいと思った方に向けて、お客様対応を委託できるサービスを紹介します。
国内最大規模のCS業務を請け負う「トランスコスモス」
国内のCS業界最大手といわれるトランスコスモスは、電話だけのCS業務に留まらず、メールやLINE、チャットなどさまざまな媒体に対応しています。
特に、SNSの利用率に合わせて気軽に使えるLINEでのお問い合わせができることで、お客様のニーズに合ったCS業務を委託できる点がトランスコスモスの強みです。
トランスコスモスの導入費用は提示されていないため、すべて応相談になるので注意が必要です。
ただし、不測の事態が起きた場合に1日で開設できる「緊急対応コールセンター」は、初期費用20万円、月額2万円~で導入することができます。
対応のラインナップが多い分費用もかかりますが、ネットショップの規模が大きくなり、お客さま対応を外部委託できる余裕が生まれてきたら、一度検討してみても良いでしょう。
通販サイト専用プランがある「ジェイエムエス・ユナイテッド」
ジェイエムエス・ユナイテッドは、お客さま対応代行サービスの中でも、通販サイトやECサイト専用のコールセンターを設けているのが特徴です。
電話、メール、FAXでの注文の受注業務代行から、問い合わせ窓口代行、商品紹介までを請け負ってもらうことができます。
問い合わせ件数に合わせてオペレーターの人員も調節できるので、費用に合わせて柔軟な対応ができるのが強みです。
また、問い合わせ内容の報告に加え、改善案も定期的に報告してくれるため、ショップ側からの連絡が省けるのもメリットといえるでしょう。
費用面やアドバイスをもらえるという点からも、ネットショップをスタートさせたばかりの方や、少しずつ起動に乗ってきたストアなどで利用してみると良いでしょう。
ネットショップに特化した「電話代行サービス」
電話でのお問い合わせに限定されてしまうのですが、月間100コールまで、9~18時対応で月額30,000円と、リーズナブルな料金からはじめることができます。
最大で月間500コールまで対応可能なので、規模が大きくなっても継続できるのは最大のメリットです。
また、1社につき8~12人のオペレーターを配属されるので、応答率は9割を超えます。
つまり、電話をしても繋がらないという事態が起こりにくいので、お客さまの負担軽減・満足度アップが期待できる点も、電話代行サービスのメリットの1つだと言えます。
定額で利用できることから、顧客をたくさんかかえているショップにおすすめなサービスです。
大小さまざま規模に対応できる「サンクネット」
サンクネットはオペレーターの席数が1~200名までと幅広いため個人事業主から法人まで、さまざま規模に柔軟に対応できます。
ショップの規模に合わせて無駄のないプランをカスタマイズできるのが、サンクネットの大きな魅力です。
また、コールセンター業務はもちろん、他に付随する業務も委託できるのも特徴の1つ。
メールやFAXの対応から、配送業務などとコールセンターが連携することで、スムーズなショップ運営を助けてくれます。
コスト面でも導入しやすいことから、ネットショップを始めたばかりのストアをはじめ、売上の多いストアでも導入することができる、おすすめのサービスです。
どのサービスに委託すべきか迷ったら「ECのミカタ」
お客様対応を代行サービスする企業は数多くあるため、どこのサービスにすべきか迷うこともあるでしょう。
その場合は委託業者を紹介してくれる、「ECのミカタ」というサービスを利用するという方法もあります。
専任アドバイザーによる質問に答えることでショップに適している業者を紹介してくれるので、複数の業者の比較検討をすることも可能です。
- コストをそこまでかけられない
- 色々な要望がある
といったこだわりの条件がある場合にも色々な提案をもらえるため、初めて業務委託を導入する場合などに利用してみると良いでしょう。
お客様対応を委託する際の注意すべきポイントとは?
かかる費用を把握しておく
お客さま対応を委託する場合は必ず費用が発生します。
思ったよりも費用がかかってしまって支払いが難しい…ということが起こらないように、きちんと費用を把握しておく必要があります。
- 月額制/従量課金制、どちらが自分のショップに適しているのか判断しよう
月額制は1ヶ月に対応できる件数に上限がありますが、委託料金が毎月一定なので、費用計画がたてやすいというメリットがあります。
ただ、上限数に達しない場合でも同じ費用が発生するので、プランと同じくらいのお問い合わせ件数が定期的に起きる、比較的売上・顧客数の多いショップに向いています。
従量課金制は着信を受けたときに料金が発生する仕組みです。
従量課金制の料金相場はコール1件につき300円~1000円程度といわれており、委託内容(お客さまからのお問い合わせにどこまで委託サービス側で対応するか)によって、さらに料金に差が生じます。
件数によって金額が変わるため、比較的問い合わせ件数が少ないショップやオープンしたばかりでお問い合わせ件数が読めないショップに向いています。
ただ、従量課金制の場合は毎月の利用額が変動するため、月額制と比較すると費用計画が立てにくいというデメリットがあります。 - 委託内容とその費用を把握しておこう
ベースとなる料金体制をきめたら、次は委託する内容を決める必要があります。
①オペレーターは人数用意してもらうのか
②稼働時間はどれくらいにするのか
③お客さま対応にあたり、専門的な知識の有無
例)電子機器の使い方などの専門知識が必要かどうかetc
④お問い合わせ内容の報告システムは導入するのか
こうした内容だけでも費用が大きく変わるので、自分が希望する内容と費用とをしっかりと比較する必要があります。
CS業務委託の費用の差
費用が高い場合
費用が安い場合
24時間365日体制
平日9時〜18時体制
オペレーターの人数が多い(20名以上)
オペレーターの数が少ない(20名以下)
オペレーターが専任
オペレーターが他と兼任
対応に専門的な知識が必要
マニュアルがあれば誰でも対応可能
お問い合わせが多いストアの場合、お客さまの負担を減らすためにも、オペレーター(電話対応ができる人たち)を多く準備し、お客さまがスムーズにお問い合わせできるような体制をとる必要があります。
ただし、明確な料金を提示している業者はほんの一部しかありません。
基本的には、相談後に見積りを作成してもらうのが一般的です。規模や委託期間などによっても費用が変わることもあります。
できるだけ効率よく委託サービスを利用できるように、事前に問い合わせ件数を調査し、規模に合った最適な業者に見積りを依頼してみると良いでしょう。
ルールを作成しておく
委託先のオペレーター(お客さま対応をする人たち)は言葉使いなど、お客様対応に必要な知識は持っていますが、例えば「不良品だったので交換してもらえますか?」「この商品サイズについて知りたいのですが…」など、ショップごとに対応方法が異なる部分については、ショップ側でルールを決める必要があります。
ルールを作成するにあたって最も重要なことは、最悪の事態を想定した対応を明確にすることです。次に紹介するポイントをルールに含めることで、お互いスムーズにお客さま対応を進めることができます。
キャンセル希望や返品交換の条件や手順
注文後のキャンセルを受け付けるかどうかは、ショップごとに対応が異なります。
また、返品交換は「到着後〇日以内」など期限を設けている場合や、使用後でも返品可能な商品などもあるでしょう。
ショップへ確認して、もう一度お客さまへ確認して…という手間や時間を省くためにも、こうした対応のルールは事前に作成し、委託サービスへ共有しておく必要があります。
- 返品や交換ができる条件
- 返品や交換が受けられない条件
- 返品・交換時の対応手順
など、特定商取引法に記載している内容をより具体的に・よりわかりやすく、表などにまとめて共有しておきましょう。
また、返品対応を行なった場合は『返金』という作業が発生します。
- 銀行振込で返金なのか?その場合の振込先口座の確認方法
- 現金書留なのか?その場合の送り先の住所の確認方法
- ポイントが付与されていた場合、ポイントはどう処理されるのか?
など、対応できる返金方法や返金手続きの手順についてもわかりやすくまとめ、共有しておきましょう。
不良品問い合わせの際の対応手順
発送した商品が不良品だったという問い合わせに対し、その手順をルール化しておくことも重要なポイントです。
例えばですが、
- 商品を着払いで返送してもらう
- 不良箇所が確認できたら、ショップより良品を再送
という手順を決めておけば、不良品問い合わせを受けたオペレーターは、返送のお願いと今後の対応方法についてお客さまにすぐ説明することができますね。
不良品の場合、
- 修理を希望するパターン
- 良品発送を希望するパターン
- 返金を希望するパターン
など色々なパターンが考えられるので、各パターンの対応手順を決めておくことはもちろん、お客さまへ提案する順番まで事前に決めておくと、よりスムーズに対応してもらうことができるでしょう。
また、返金の場合はキャンセル希望や返品交換の条件や手順で説明したのと同様に、対応できる返金方法や返金手続きの手順についてもわかりやすくまとめ、共有するようにしましょう。
まとめ
お客さま対応を外部サービスへ委託することは、
- プロによる対応を受けることができるので、お客さまの満足度が高くなる
- お客さまからきたお問い合わせの内容をすべて記録してもらえるので、過去の履歴を確認したり、改善内容を発見することができる
- お客さま対応以外の業務に専念することができ、売上向上を目指すことができる
- お客さま対応スタッフを雇用し教育していくよりも、人件費・時間的コストを削減できる
といったメリットがあります。
基本的に委託費用は、
- 月額制or従量課金制
- 委託内容
- オペレーターの人数や稼働時間
- お客さま対応のための専門的な知識の有無
- お客さまからのお問いあわせ内容の記録・報告の有無
によって変動します。
しかし、明確な料金提示がされていないことが多く、基本的には各サービスに見積もってもらい、初めて費用がわかるケースがほとんどです。
そのため、まずは自分のショップの売上や利益から、コストとしてどれだお客さま対応委託に出すことができるかという上限金額を決めておくと、委託の利用について冷静に判断することができるでしょう。
また、お客さま対応を外部へ委託することが決まった場合、必ずお客さま対応のためのルールを作りましょう。
自分たちだけではなく、お客さま対応を依頼するオペレーターの方にもわかりやすく、かつ対応しやすいように、
- キャンセル希望や返品交換の条件や手順
- 返品や交換ができる条件
- 返品や交換が受けられない条件
- 返品・交換時の対応手順 - 不良品問い合わせの際の対応手順
- 修理を希望する場合の対応手順
- 良品発送を希望する場合の対応手順
- 返金を希望する場合の対応手順 - 返金の対応手順
- 銀行振込で返金なのか?その場合の振込先口座の確認方法は?
- 現金書留で返金なのか?その場合の送付先の確認方法は?
など、想定される状況を事前に予測し文章や表でまとめるようにしましょう。
お客さま対応を依頼した場合、費用をかけた分のメリットもありますが、お客さまの声が直接とどきにくくなるというデメリットもあります。
どんなにお店が大きくなってお問い合わせが増えても、
「お客さまからの意見を直に受け止め、すぐに反映できる環境にしたい」
と、あえてお客さま対応を外部へ依頼しない方もいます。
自分が理想とするショップのあり方や現時点で確保できるコストから、お客さま対応を外部サービスへ委託するかどうかを判断してみると良いでしょう。
- ネットショップでよくあるトラブルの事例と対応法まとめ
- ネットショップを始める時に必須の特商法とは?
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