整体院は特別な資格は不要で、1人でも開業できるため、比較的開業しやすい業種です。しかし競合も多く、漫然と経営すると失敗してしまうのも事実。
そこで今回は、整体院を開業するのに必要な準備や失敗しないための注意点などをまとめました。整体院の開業形態や開業に必要なものなどもお伝えしますので、整体院の開業準備にぜひお役立てください。
整体院と接骨院(整骨院)の違い
整体院と間違えられやすいのが接骨院(整骨院)です。
接骨院は、健康保険が適用される治療目的の施術もでき、これが整体院との一番の違いです。
接骨院を開くには国家資格の柔道整復師が必要です。一方で、整体院を開業するのに特別な資格は必要ありません。その分、接骨院のような治療目的の施術はできず、リラクゼーション目的のもみほぐしなどが施術できます。
整体院を開業する際におすすめの資格
整体院を開業するのに必須の資格はありませんが、資格をもっていたほうが提供できる施術の幅が広がり、集客効果や満足度がアップするでしょう。おすすめの資格をいくつか紹介します。
①あん摩マッサージ指圧師
国家資格のあん摩マッサージ指圧師を取得すれば、健康保険が適用されるマッサージが施術できます。屋号に「マッサージ」が使えるのも、あん摩マッサージ指圧師の資格がある場合のみです。
資格を取得するには専門学校などで3年勉強する必要があり、費用が200万円程度かかります。
②鍼灸師
鍼灸師は、「はり」や「灸」を使った施術が可能になります。鍼灸師は国家資格なので、専門学校で3~4年勉強しなくてはなりません。費用は200万円程度かかります。鍼灸師はあん摩マッサージ指圧師と同時に取得する人が多いようです。
③柔道整復師
柔道整復師は接骨院を開業するのに必要な国家資格です。骨折、脱臼、打撲、捻挫などについて出血を伴わない治療ができます。専門学校で3~4年勉強しなければならず、200万円程度の費用が必要です。
④日本MTC療術師協会 整体師
日本MTC療術師協会が認定する民間資格です。整体プロコースや整体総合本科コースなどのコースがあり、修了時に認定試験が行なわれます。取得するには45分の授業を30~108単位履修しなければならず、38~67万円ほどの費用が必要です。
⑤国際ホリスティックセラピー協会 整体師
国際ホリスティックセラピー協会では、整体に関する複数の民間資格を認定しており、メディカルトレーナー・リラクゼーションセラピストなど8種類の資格があります。資格を取得するには、認定試験への合格が必要です。
⑥日本セラピスト認定協会 整体セラピスト
日本セラピスト認定協会では整体セラピストという民間資格を認定しており、1級~3級や教職員・検定員などの級に分かれています。3級を受けるには、協会が指定するカリキュラムやスクールを修了しておくことが必要です。
⑦実務技能検定協会 サービス接遇検定
サービス接遇検定は整体に直接関係する資格ではなく、接客でのサービスマインドを検定する民間資格で、実務技能検定協会が認定しています。接客が重要な整体院を開業するのに取得しておいて損はない資格でしょう。サービス接遇検定は1~3級があり、1級は面接もありますが、2~3級は筆記試験で取得可能です。
整体院の開業形態
整体院の開業形態は店舗を借りるだけでなく、自宅で開業するなどさまざまな形態が可能です。それぞれのメリットとデメリットを確認していきましょう。
①自宅で開業する
整体院はそれほど広いスペースがなくても開業できることから、自宅でも開業可能です。自宅で開業すれば、店舗などを借りるための物件取得費や賃貸料などを大幅に圧縮できます。
ただし自宅が賃貸マンションの場合は、賃貸契約で店舗は開けないことがほとんどです。また自宅の場合、集客に向いていない立地が多いこともデメリットといえます。
②賃貸マンションの一室で開業する
整体院として営業が可能な賃貸マンションを借りて開業する手段もあります。店舗を借りる場合と比べて賃貸料を節約できるのがメリットです。駅の近くなど、自宅と比べて集客に有利な立地を選べるのも長所でしょう。
一方で賃貸マンションのため、店舗と違って大きな看板などを出すことはできません。集客に工夫が必要です。
③貸店舗を借りて開業する
貸店舗は人通りの多い場所などに多く、集客しやすいのがメリットです。看板などによるアピールもできるため、自宅や賃貸マンションでの開業と比べて集客が容易でしょう。
デメリットは賃貸料が高いことです。また、内外装工事費など初期費用がかさんでしまうことも欠点といえます。
④レンタルサロンで開業する
レンタルサロンとは、日付を指定して場所を借りられるサービスです。必要なときだけ借りるため、物件取得費や内外装工事費、毎月の賃貸料などを抑えられます。
デメリットとしては、内装を変更できないことや看板などを出せないことです。集客に工夫が必要でしょう。
⑤出張サービスとして開業する
出張サービスは、店舗をかまえずお客さまの自宅へ出張して施術する形態です。店舗をかまえないため、レンタルサロンと同じく賃貸料などが一切かかりません。
デメリットは店舗がないため、集客に工夫をしないと誰にも認知してもらえないことです。
整体院の開業に必要なものと費用の目安
整体院の開業にはどのようなものが必要になるのでしょうか。開業に必要なものと費用の目安を解説します。
資格取得費用
資格を取得する場合、取得費用が必要です。3~4年、専門学校へ通う必要があるあん摩マッサージ指圧師・鍼灸師・柔道整復師は200万円程度かかります。民間資格の取得費用はまちまちで、受験費用だけで済むものから数十万円が必要なものまであります。
整体院を開業するのに資格は必須ではないため、資格を取得しないのであれば費用はまったく必要ありません。
物件の契約費用
貸店舗や賃貸マンションを借りて開業する場合は、物件の契約費用が必要です。賃貸料は立地によって千差万別ですし、広さによっても違ってきます。
物件を契約する際には保証金(契約金)が必要です。地域によって違いはありますが、賃貸料の3~10ヵ月が相場。住居で借りる場合の敷金・礼金と比べると、かなり高額になります。
ただし、住居兼店舗として使うSOHOマンションでは、契約時の保証金が一般住宅用の敷金・礼金程度のものが多いようです。SOHO物件の場合は、賃貸料の0~2ヵ月程度で済むでしょう。
施術機器や家具の購入費
整体で使う施術機器や家具として、施術ベッドや椅子、テーブル、エアコン、パソコン、POSレジなどが挙げられます。新品ですべてそろえる場合、100万円程度用意しておけばよいでしょう。
消耗品の購入費
シーツやタオルなど消耗品の購入費も必要です。最近では感染症対策グッズもそろえておく必要があります。10万円程度用意しておけば安心でしょう。
システムの導入費
POSレジや決済システム、予約管理システムなどの導入も必要です。
通常、POSレジの導入はそれなりの金額がかかりますが、STORES レジ ならiPadがあれば無料で導入できるので、初期の導入費を大幅にカットできます。STORES 決済 と連携すればキャッシュレス決済にも対応できるのもメリットです。
また、整体院を開業するのであれば予約管理業務が必須のため、予約管理システムの導入も検討しましょう。STORES 予約 なら導入費用無料です。
広告宣伝費
集客のためには、広告宣伝が必要です。
Google広告やFacebook広告では、地域やターゲットを絞って広告を出稿できるため、低予算でもターゲット層に広告を露出できます。インターネット広告以外にも、チラシや地元紙への広告も有効でしょう。
開業時の広告宣伝費としては、30万円程度を用意しておけば安心でしょう。
整体院の開業で失敗しないための注意点
整体院は開業が比較的容易なため競合が多く、工夫がなければ失敗してしまう可能性が高いです。失敗しないための注意点を確認していきましょう。
必要な集客数を把握する
まず大切なのは、必要な集客数を数字で把握することです。
例えば、1回の施術が5,000円で月に25日稼働すると仮定すると、月の売上を100万円にしたい場合は、毎日8人集客しなければなりません。
8人集客するのが難しければ、施術単価を上げるか、稼働日数を上げることになります。このように数字によるシミュレーションができれば、具体的な施策が見えてくるでしょう。
新規客を継続して獲得できる仕組みを作る
整体院の経営を軌道に乗せるには、リピーターの確保も大切ですが、一度定着したリピーターも何らかの理由で一定数は減っていきます。安定した売上を確保し続けるには、新規客を継続して獲得できる仕組み作りが欠かせません。広告出稿やSNS運用などで、新規客を毎月獲得できるようにしましょう。
継続(リピート)しやすい価格設定にする
整体院の経営ではリピーターの確保が重要です。
リピーター確保のために重要なのは、通いやすい価格設定です。施術単価が高すぎるとリピートされづらいので、基本メニューはリピートしてもらうための価格設定にしましょう。競合の平均的な価格を調べておくと参考になります。
もちろん、高単価路線で営業する方法もありますが、施術者に知名度や権威性がなければ、高く売ることは難しいです。基本メニューはリピートしてもらうための商品として位置づけ安価に設定し、そしてオプションメニューのアップセルやクロスセルで利益を伸ばすという戦略がおすすめです。
ちなみに、リピーターを増やすには、予約しやすい環境づくりも大切です。予約管理システムを導入すれば、電話対応と違い24時間予約の受付が可能になります。STORES 予約 ならメール配信を行ない来店を促す機能もあるので、リピーター確保に役立つはずです。
また、リピーターの増やし方は下記記事でも詳しく解説しています。興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
【集客のコツ】リピーターが自動的に増える!?メール配信のポイントは?
【リピート率UP】美容室・サロンにおすすめ!予約システム STORES 予約 のスタッフ指名制度
キャッシュレス決済に対応する
キャッシュレス決済の普及は広がっており、キャッシュレス決済が可能なお店を優先的に選ぶお客さまもいるはずです。キャッシュレス対応、クレジットカード使用可などをホームページに記載すれば、競合との差別化になるでしょう。
また開業当初は一人で運営するケースが多いと思いますので、お金の管理を少しでも楽にする上でも、キャッシュレス対応は必須と言えます。
STORES 決済 はクレジットカード、電子マネー、QRコードに対応しています。STORES レジ と併せて、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
屋号に注意する
整体院の屋号には注意してください。つい「マッサージ」を入れたくなるかもしれませんが、「マッサージ」をつけられるのはあん摩マッサージ指圧師の資格がある場合のみです。法律が関わってくることのため、細心の注意を払いましょう。
整体院の開業ポイントまとめ
整体院は誰でも開業できますが、その分ライバルも多いことから、技術力だけではなく、ほかの店にはないような工夫をしないと失敗してしまう可能性もあります。
工夫の一環として、リピーターの確保やキャッシュレス決済への対応が挙げられます。STORES 予約 や STORES 決済 などを使えば、コストを抑えながら継続率のアップや顧客の利便性向上が可能になります。さまざまな工夫をこらして、整体院の開業を成功させていきましょう。