最近では車を所有せず、必要なときにだけレンタカーを使う人も増えています。
そのためレンタカー屋は、従来のように旅行者だけでなく、車を所有しない人たちからのニーズも高まりつつあり、今後も市場の成長が見込まれる状況です。
そこで今回は、個人でレンタカー屋を開業するための許可や手続き方法をまとめました。レンタカー屋を開業するのに必要な資金の目安や、レンタカー屋を成功させる方法などもお伝えしますから、レンタカー屋の開業に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
個人もOK?レンタカー屋を開業するために必要な許可や手続き
レンタカー屋は、法人だけでなく個人でも開業可能です。
個人でレンタカー屋を開業するためには「自家用自動車有償貸渡業」の許可をとらなくてはなりません。必要な許可や手続きを、以下で詳しく解説します。
なお、手続きの詳細は、管轄の運輸支局のホームページなどで必ずご確認ください。
①人に関する許可
レンタカー屋を開業するための許可をとるには、申請者(法人の場合は役員)が欠格事由に該当していないことが必要です。欠格事由としては、以下の項目があります。
- 1年以上の懲役または禁固の刑に処せられてから2年を経過していない
- 一般旅客自動車運送事業などの許可の取消を受けてから2年を経過していない
- 申請日前 2 年前以降に自動車運送事業経営類似行為(白タクやナンバー貸しなど)により処分を受けている
また、車両が一定台数以上になると整備管理者の配置が求められます。台数の条件は以下のとおりです。
- バスなど:1台以上
- 大型トラックなど:5台以上
- その他の車両(自家用車など):10台以上
整備管理者は1級から3級整備士の資格をもっているか、経験者であることが必要です。経験者とは、整備管理に関して2年以上の実務経験があることを指し、運輸局の整備管理者選任前研修を受ければ管理者になれます。
②車両に関する許可
レンタカー屋で使える車両は「自家用乗用車・自家用マイクロバス・自家用トラック・特種用途自動車・二輪車」です。自家用マイクロバスは乗車定員11人以上29人以下で車両の長さが7m以下のものをいいます。
ただし、マイクロバスをレンタカーで使う場合には、2年以上の経営実績などが必要です。また、自家用マイクロバスよりも大きな自家用バスや霊柩車はレンタカーにはできません。
③自動車保険への加入
レンタカー屋の開業許可をとるためには、レンタカーとして使う車両が自動車保険に入っていなければなりません。自動車保険の最低補償額としては次のように定められています。
- 対人保険:1人当り 8,000万円以上
- 対物保険:1件当り 200万円以上
- 搭乗者保険:1人当り 500万円以上
許可を取得するにはこの補償額で大丈夫ですが、実際に対人・対物事故を起こした場合、億単位で賠償責任が認められることもあることから、実務上は対人・対物補償は無制限にしたほうが安心です。
④「自家用自動車有償貸渡業の許可」の取得
「人に関する許可」「車両に関する許可」「自動車保険への加入」が大丈夫であれば、次は「自家用自動車有償貸渡業の許可」を得るために、許可申請書を作成して提出しましょう。提出先は管轄の運輸支局の輸送部門です。
審査期間は約1ヵ月ですが、申請が多い場合や書類に不備がある場合はさらに時間がかかることもあります。
審査が済めば運輸支局から連絡が入るため、許可書を受け取りにいきましょう。自家用自動車有償貸渡業の許可には有効期限はないため、一度取得すれば更新は不要です。
許可書受取の際に、登録免許税の納付書も渡されます。忘れないように納付してください。
⑤レンタカー車両の登録
自家用自動車有償貸渡業の許可を受けたら、レンタカーに使う車両をレンタカー用の車両として登録しましょう。いわゆる「わ」ナンバーの取得です。運輸支局の自動車登録事務所で、「事業用自動車等連絡書」を車検証とともに提出して手続きすると、「わ」ナンバーが取得できます。
「事業用自動車等連絡書」は「自家用自動車有償貸渡業」の許可申請をした運輸支局の輸送部門で取得可能です。
レンタカー屋を開業するのに必要な資金の目安
レンタカー屋を開業するのに資金はどの程度必要なのでしょうか。必要な資金の目安を確認していきましょう。
車両を用意する費用
レンタカー屋を始めるには、車両は絶対必要です。中古にすれば安くなりますが、それでも1台あたり30~60万円はするでしょう。
すでに中古車販売業などを営んでおり、レンタカーとして使える車両をもっていれば、車両を用意する費用を大幅にカットできます。
自動車保険の費用
レンタカーで使用する車両に自動車保険は必ずかけなければなりません。事業用の車両でレンタカーとなると、対応してくれる会社も多くありませんし、保険費用は高めになってしまいがちです。
車種によって異なりますが、普通乗用車の車両保険免責なしで月額18,000~30,000円程度かかってしまうこともあります。
このように個人の場合とは違って、保険料はかなり高額ですが、さまざまな人が運転することから、対人・対物の補償は無制限にしておいたほうがよいでしょう。
物件取得費
店舗をかまえる場合は、物件を取得する費用が必要です。店舗はそれほど広くなくても大丈夫ですが、車両を置く駐車場も必要となってきます。
車庫証明を取得するためには、駐車場は店舗から直線で2km以内になければいけません。
店舗や駐車場の賃貸料は、立地条件によって千差万別ですが、都市部で立地が良い場所の場合、50万円を超えてしまうこともあります。
家賃が50万円の場合、契約時に支払う契約金(保証金)が3ヵ月~10ヵ月分程度が必要となり、初期費用として150万~500万円が必要です。
広告宣伝費
開業したばかりのときは、お店の存在をいかに知ってもらうかが重要といえます。地域密着型のレンタカー屋にするのであれば、チラシをつくったり、地元紙などに広告を出したりすることが必要です。
インターネットで集客するのであれば、ホームページをつくったり、レンタカー屋の比較サイトに記事を出稿したりする必要があります。
広告宣伝費は、かけようと思えばいくらでもかけられるため、あらかじめ上限の予算を決めておいたほうがよいでしょう。初期費用としては、50万円程度を想定してはいかがでしょうか。
各種システム導入費
レンタカー屋を始めるのであれば、予約の管理が重要です。最近では、クラウドを使った予約管理システムもり、例えば STORES 予約 は初期費用が無料。
予約フォームはテンプレートで簡単につくれますし、お店のホームページへ簡単に追加可能です。予約時にオンライン決済も可能であるため、ドタキャンによる損害も防げます。機能によっては月額有料のプランが必要ですが、月額無料のプランもあるため、とりあえず使用感を試せるのもメリットです。
キャッシュレス決済システムの STORES 決済 も、決済端末費用だけで導入可能です。クレジットカード・電子マネー・QRコードなど、さまざまな決済方式に対応しています。
レンタカー屋ではPOSレジも必要でしょう。STORES レジ であれば大幅に初期費用を抑えられます(月額無料のプランもあり)。STORES レジ はiPadがあれば導入可能で、iPad以外に初期費用は必要ありません。STORES 決済 と連携して、キャッシュレス決済への対応も可能です。
登録免許税(一律9万円)
登録免許税とは、「自家用自動車有償貸渡業の許可」が下りたあとに支払う税金です。全国一律で9万円のため、許可が下りたあとは早めに支払うようにしましょう。
レンタカー屋開業を成功させる方法
レンタカー屋の開業を成功させるには、ほかのお店にはない工夫が必要です。レンタカー屋を成功させる方法を確認していきましょう。
地域での知名度を上げる
レンタカー屋は地域性が強いビジネスなので、開業した周辺地域で有名になることが大切です。開業の前には、開業予定地の周辺に競合他社がどれだけいるのか、集客はどの程度見込めるのかをよく調査しておくことが重要です。
利便性の高いメニューを提供する
競合のレンタカー屋と差別化するためには、ほかのレンタカー屋にはない利便性の高いメニューの提供が求められます。
例えば、オンラインで24時間予約可能であることや、法人向けの長期貸し出しプランなどが考えられます。システムの自動化により24時間営業にするなどの方法もあるでしょう。
低コストで始める
レンタカー屋は車1台でも始めようと思えば始められます。車の台数が少なければ、車両の購入費や自動車保険、駐車場代などあらゆるコストを抑えることが可能です。さすがに1台だけで開業するのは極端ですが、最初のうちは少ない台数で始めることをおすすめします。
また、レンタカー屋の経営に必要な各種システムもコストを抑えていきましょう。
STORES 予約 や STORES 決済、STORES レジ を使えば、予約管理システムやキャッシュレス決済、POSレジを安価に導入できます。導入費用はほぼ無料ですし、月額料金も無料プランがあります。まず、どのようなものか試してみてはいかがでしょうか。
レンタカー屋開業のポイントまとめ
レンタカー屋の開業は、法人だけではなく個人でも可能です。
ただし、「自家用自動車有償貸渡業の許可」をとらなくてはならないため、許可の条件をよく確認しておきましょう。また、レンタカー屋の開業には車両や店舗の取得費用など、ある程度まとまった資金が必要なので、開業資金もある程度蓄えておく必要があります。
車両台数を少なくすれば、レンタカー屋は低コストで始めることもできます。コストを抑えて始めれば、仮に失敗した場合でもダメージは少なくなるでしょう。STORES 予約 などクラウド型の予約システムも活用して、低コストでの開業を検討してみてください。