ネイルサロンは特別な資格や機材が不要で、比較的開業しやすい業種です。しかし、その分競合店も多く、入念に計画を立てて開業しなければ、失敗する可能性もあります。
そこでこの記事では、ネイルサロン開業のスタイルや必要な資金の目安などを解説します。失敗しないためのコツなどもお伝えしますから、ぜひ参考にしてみてください。
- ネイルサロンのスタイルごとの開業資金の目安
- ネイルサロン開業は儲かる?収入の目安
- ネイルサロン開業に必要な資格とは?
- ネイルサロン開業に必要なものリスト
- ネイルサロン開業に必要な手続き
- ネイルサロンを開業するなら保険に入っておいてほうがいい?
- 失敗を避ける!ネイルサロン開業のコツ
- ネイルサロンの開業ポイントまとめ
ネイルサロンのスタイルごとの開業資金の目安
ネイルサロンを開業するには、店舗やマンションを借りるほか、自宅や出張型もあります。4つの開業スタイルのメリット・デメリットなどを解説します。
①店舗を借りて開業する場合
店舗を借りて開業するメリットは、集客に適した立地が多いことや内外装を自分の思ったとおりに改装できることなどが挙げられます。
デメリットは、賃貸料がかかることです。毎月の賃貸料のほかに、契約時には保証金が約3~10ヵ月分必要とされ、4つのスタイルのなかでは初期費用が最もかかります。
賃貸料10万円、5坪の店舗で開業した場合の費用の目安をまとめました。
項目 |
金額 |
物件取得費 |
30~100万円 |
内外装工事費 |
50~100万円 |
備品代 |
30~50万円 |
広告宣伝費など |
10~50万円 |
合計 |
120~300万円 |
②事業可の賃貸マンションで開業する場合
賃貸マンションで開業するメリットは、店舗のように家賃が高くないことと保証金も少ないことが挙げられます。保証金は0~2ヵ月程度と住居用の賃貸物件と変わりません。
一方で賃貸マンションの場合は、内外装の工事をほとんど行なえません。目立つ看板を出すのも難しいでしょう。そのため、集客を工夫する必要があります。
賃貸料10万円で賃貸マンションを借りた場合の費用をまとめてみました。
項目 |
金額 |
物件取得費 |
0~20万円 |
内外装工事費 |
10~20万円 |
備品代 |
30~50万円 |
広告宣伝費など |
10~50万円 |
合計 |
50~140万円 |
③自宅で開業する場合
自宅で開業した場合のメリットは、物件取得費がかからないことです。部屋の内装工事も、壁紙の交換程度で済むでしょう。
デメリットは、住宅の立地は集客に向いていないケースが多いことが挙げられます。また、プライベートな空間とサロンの空間をきっちりと分けておかないと、生活感が感じられて、お店の雰囲気が悪くなる可能性もあります。
自宅で開業する場合の費用をまとめてみました。
項目 |
金額 |
物件取得費 |
0万円 |
内外装工事費 |
10~20万円 |
備品代 |
30~50万円 |
広告宣伝費など |
10~50万円 |
合計 |
50~120万円 |
④出張型として開業
出張型のネイルサロンとは、店舗をもたずに依頼に応じてお客さまのところへ赴くスタイルです。店舗がないため、物件取得費や内外装工事費はもちろんのこと、家具類も必要ありません。
その代わり、積極的な集客をしないとお客さまからまったく認知されないこともありえます。集客が大変なスタイルです。
出張型で開業する場合の費用をまとめてみました。
項目 |
金額 |
物件取得費 |
0万円 |
内外装工事費 |
0万円 |
備品代 |
10~20万円 |
広告宣伝費など |
10~50万円 |
合計 |
20~70万円 |
ネイルサロン開業は儲かる?収入の目安
次に、ネイルサロンの収入の目安を解説します。ここでは賃貸料10万円の店舗を借りたと想定します。従業員は雇いません。
収入は1日のお客さまが3人で、客単価は1万円とします。1ヵ月に8日休んで、22日営業する場合、1ヵ月の売上は次のようになります。
1万円×3×22=66万円
次に、1ヵ月の支出は次のようになります。
項目 |
金額 |
賃貸料 |
10万円 |
ネイル商材費 |
5~7万円 |
水道光熱費 |
2~4万円 |
広告宣伝費など |
5~10万円 |
合計 |
22~31万円 |
売上から支出を引いた35~44万円が月収です。年収は、月収を12倍した420~528万円になります。あくまで概算ですが、開業の際の参考にしてください。
ネイルサロン開業に必要な資格とは?
ネイルサロンを経営するのに必要な資格は、実は特にありません。ご自身でネイルのスキルを磨き、お客さまに満足いただけるサービス提供に注力することが大切です。
ただ、ネイルサロンを経営する上で、取得しておくと役に立つ資格があるのでご紹介します。
JNECネイリスト技能検定試験
爪の健康と美容のプロであるネイリストとして、正しい知識と技術があると証明できる資格です。公益財団法人日本ネイリスト検定試験センターが主催し、3級、2級、1級とあります。
試験内容は、筆記試験と実技試験の両方。2級を取得すると、「プロで通用するスキル」を証明することが可能です。
JNECネイリスト技能検定試験 | 公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター
JNAジェルネイル技能検定
ジェルネイルが主要メニューになったため、2010年に始まった検定です。NPO法人日本ネイリスト協会が創設しました。
初級・中級・上級とあり、初級・中級は筆記試験と実技試験の両方で、上級に関しては実技試験のみです。
JNAジェルネイル技能検定試験 | NPO法人 日本ネイリスト協会
その他
ネイルサロンでは、お客さまの爪を施術します。そういったことから、健康面を配慮し、衛生管理が重要です。そこで、厚生労働省の「ネイルサロンにおける衛生管理における指針」を把握しておくとよいでしょう。
ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針について|厚生労働省
また、ネイルサロンの衛生管理の専門知識をもつ「ネイルサロン衛生管理士」という資格もあるため、取得しておくとよりお客さまに安心して施術を受けてもらうことが可能です。
ネイルサロン開業に必要なものリスト
ネイルサロンの開業に必要なものをリストアップします。
①物件(店舗型や賃貸マンション型の場合)
自宅や出張型以外の場合はサロンを開く物件が必要です。物件を選ぶ際は、できるだけ集客しやすい場所を選びましょう。
②設備・機器
ネイルサロンでは、高価な専用機器は必要ありませんが、テーブルや椅子、棚などの家具を購入しなければなりません。また、顧客管理や予約管理、インターネット広告運用などでパソコンもあったほうがよいでしょう。
③消耗品
施術で使うネイル商材などの消耗品も必要です。また、最近では感染症対策グッズとして消毒薬やマスクなども忘れないようにしましょう。
④各種ITツール
ネイルサロンでは、一人にかける施術時間が長いため、予約管理による効率化が必須です。
例えば予約管理システムがあれば、クラウドを使って簡単に予約管理ができるようになりますし、お客さまからしても、いつでもインターネットで予約ができて便利です。初期費用・月額料金無料で使えるシステムも多く、コストをかけずに導入できます。
『ネイルサロンで無料の予約システム活用!導入メリットとおすすめサービス12選』
また、最近では現金決済よりもキャッシュレス決済を好むお客さまも多く、キャッシュレス決済機器も大切な要素です。
『おすすめのキャッシュレス決済システム5選。店に導入するメリットも』
⑤広告宣伝
広告宣伝も重要です。従来からのポスティングやビラ配り、コミュニティ紙への広告掲載などのほかに、インターネット広告もおすすめです。インターネット広告は広告を配信する先を細かく設定できるほか、費用も少額から始められます。
これから開業する場合は、インターネット広告もぜひ検討してみてください。
『費用対効果が高すぎる! ? 小規模店舗にもオススメの「ネット広告」の種類と効果』
ネイルサロン開業に必要な手続き
ネイルサロンを経営するのに専門的な手続きはありません。しかし、開業するにあたって必要な手続きがあるためご紹介します。
開業届
開業して1ヵ月以内に、税務署へ開業届の提出が必要です。
書類は税務署窓口で入手できますが、国税庁のホームページからPDFファイルに入力しダウンロードすることも可能です。提出する際には、マイナンバーの確認が求められるため、忘れないようにしましょう。
青色申告申請書
青色申告申請書は、確定申告の際の申告方法の種類です。事業主として経営を行なっている場合は、売り上げや経費の集計などを国に申告しなければなりません。
その際の申告方法で、青色申告・白色申告と2種類ありますが、青色申告の方が特典がいっぱいです。
青色申告については、『青色申告と白色申告の違いを解説! 「節税になる」と言われるのはなぜ?』『個人事業主の青色申告。節税に役立つ裏ワザ6選』で詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
ネイルサロンを開業するなら保険に入っておいてほうがいい?
ネイルサロンでは、お客さまに直接施術を行なうため、怪我を負わせてしまう可能性が付き物です。万が一に起こってしまったときのために、保険に入っておくと安心できるでしょう。
施設賠償責任保険
施設内(=店舗内)にて、お客さまや第3者に怪我をさせてしまったり、持ち物に損壊を与えてしまった場合に生じる賠償責任を保障してくれる保険です。
ネイルサロン賠償責任保険
MPO法人日本ネイリスト協会会員専用ではありますが、ネイルサロンに特化した賠償責任保険です。店舗を持たない出張サービス専任の方も入ることができます。
指を傷つけてしまったり、お客さまの持ち物を壊したり汚してしまったりなど、さまざまなリスクに対応することが可能です。
参考:ネイルサロン賠償補償制度のご案内 - 日本ネイリスト協会
失敗を避ける!ネイルサロン開業のコツ
ネイルサロン開業で失敗を避けるコツを3点紹介します。
低リスクで小さく始める
まず、失敗しないためには小さく始めることです。
せっかく開業するのならこだわりのお店にしたいと思う方もいるかもしれません。しかし、高額の借入をしたり、初期費用にお金をかけすぎたりすると、それだけリスクが高くなります。集客に使えるお金が減ってしまうのも痛いです。
資金が少ない場合は、自宅型や出張型など、低リスクで仮に失敗してもダメージが少ない方法で開業するのがよいでしょう。
また、資金の調達は借入だけでなく助成金もあります。助成金にはさまざまなものがあるため、自分に当てはまるものがないか、開業前に一度検討してみてください。
リピーターを確保する
開業したばかりのときは、新規顧客の獲得に集中しがちですが、リピーターの確保も大切です。新規獲得には多くの費用がかかるため、新規だけに依存していると売上が安定しません。
リピーターを確保するには、施術や接客などのスキルを向上させて、お客さまを満足させるのが第一です。また、STORES 予約 などの予約システムを活用して予約を取りやすい環境を整えることも重要です。
『【リピート率UP】美容室・サロンにおすすめ!予約システム STORES 予約 のスタッフ指名制度』
STORES 予約 はメールの自動配信機能があるので、来店を促すステップメールの構築も可能。リピーター化促進のための仕掛けを簡単に用意できます。
『【集客のコツ】リピーターが自動的に増える!?メール配信のポイントは?』
DX化(オンライン化)に取り組む
これからネイルサロンを開業する場合、他店舗と差別化するには、DX化も有効な手段です。
DXとは「デジタルによる生活やビジネスの変容」のことで、簡単にいえば事業のネット化です。ネイルサロンであれば、例えばオンラインネイルサロンとして、ビデオ会議ツールを使いネイルの講座や練習会を開くことが挙げられます。
ほかにも、YouTubeなど動画配信プラットフォームを使った情報発信も考えられます。
ネイルサロンの開業ポイントまとめ
ネイルサロンは、店舗のほかに賃貸マンションや自宅、出張型でも開業できます。
資金が少ない場合、初期費用やランニングコストを抑えられる自宅や出張型での開業がおすすめです。まずは小さく、低リスクで始めましょう。
STORES 予約 や STORES 決済 など、安価に利用できる予約システムやキャッシュレス決済関連のITツールも、経営を助けくれる便利な存在です。お店の利便性とお客さまの満足度が向上し、リピーター確保につながるので、ぜひ活用してみてください。