ハンバーガー屋は特殊な技術が不要で、飲食店のなかでは比較的容易に開業できます。しかしその分競合も多く、計画が不十分だと失敗してしまう可能性が高いのも事実です。
そこで今回は、ハンバーガー屋を開業するのに必要な資金や資格・許可などを解説します。開業に必要なものや成功させるポイントなどもお伝えしますから、ハンバーガー屋の開業を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
- ハンバーガー屋を開業するのに必要な資格・許可
- ハンバーガー屋の開業に必要なもの
- ハンバーガー屋を開業するのに必要な資金の目安
- ハンバーガー屋の開業を成功させるポイント
- ハンバーガー屋の開業ポイントまとめ
ハンバーガー屋を開業するのに必要な資格・許可
ハンバーガー屋を開業するためには、いくつかの資格や許可が必要です。必要な資格や許可を確認していきましょう。
食品衛生責任者
飲食店を開業する際は、食品衛生責任者を1人定めなければなりません。食品衛生責任者になるには、保健所で行なわれる6時間程度の講習を受ける必要があります。調理師や栄養士の免許をもっていれば、講習を受けずに食品衛生責任者になれます。
飲食店営業許可
飲食店を開業するには、保健所から飲食店の営業許可をとる必要があります。飲食店営業許可をとるには、ハンバーガー屋の店舗が保健所の定める施設基準に合致していなければなりません。施設基準の例として、2層シンクであることや流水式の洗浄設備などが挙げられます。保健所によって基準が異なる可能性があるので、詳細については管轄の保健所に確認することをおすすめします。申請から許可までは10日程度必要です。
移動販売型で開業する場合の注意点
移動販売型(キッチンカー)で開業する場合も、飲食店の営業許可をとらなくてはなりません。
移動販売の場合も、キッチンカーが保健所の定める施設基準を満たしている必要があります。キッチンカーの施設基準として、運転席と調理場が仕切られていることや給水・排水タンクの容量など、店舗とは違ったものもあるため注意が必要です。
2021年6月の法改正で全国の施設基準は統一されていますが、細かい要件は地域によって異なる可能性があります。念のため、申請の前には管轄の保健所に相談しましょう。また、移動販売の場合は、実際に販売を行なう地域ごとに営業許可をとる必要があります。
キッチンカーでの開業については、以下の記事で詳しく解説していますから、キッチンカーでの開業を検討している方は参考にしてみてください。
『キッチンカーを開業するには?開業方法や必要な資金についてご紹介』
ネット販売は食品の種類に応じた営業許可の取得が必要
店舗やキッチンカーだけでなく、ネット販売もする場合は、飲食店営業とは別の営業許可が必要です。
食品衛生法と食品衛生法施行令では、34業種について営業許可の取得が義務づけられています。ハンバーガーをネット販売する場合は、一般的に冷凍で販売するため、「食品の冷凍又は冷蔵業」の許可が必要です。
食品衛生法に基づく営業許可が必要な業種については、以下の記事をご参照ください。
参考:食品衛生法の定める営業許可が必要となる業種 |厚生労働省
調理師免許は必須ではない
ハンバーガー屋を開業するのに、調理師免許は必須ではありません。
ただし、調理師免許があれば、お店の信頼度や好感度アップにつながるかもしれません。調理師免許は2年以上の実務経験があれば受験可能です。飲食店を開業するのであれば、将来的には調理師免許の取得もぜひ検討してみてください。
ハンバーガー屋の開業に必要なもの
次に、ハンバーガー屋の開業に必要なものをまとめてみました。それぞれ、確認していきましょう。
調理設備
飲食店営業許可を取得するために、調理設備で必要なものとして、以下のようなものが挙げられます。
- 扉付の食器棚
- グリストラップ
- 2層シンク
- 手洗い場
- 温度計付の冷蔵庫
など
このほかにハンバーガー屋を開業するためには、ガスコンロ・調理台・ハンバーガープレス・フライヤーなどが必要です。
各種備品・消耗品
上記設備のほかにも、各種備品や消耗品が必要です。例えば、客席などの家具類、食器、商品を入れる袋やナプキンなどが挙げられます。
最近では感染防止グッズ(アルコール除菌スプレーや客席の仕切り板など)も必須でしょう。
店舗型の場合は物件
店舗型で開業する場合は、物件を借りなければなりません。自宅での開業も不可能ではありませんが、厨房設備の要件や集客面を考えると、貸店舗の利用がおすすめです。
物件を選ぶ際は、場所の特性やお店のコンセプトに合わせることが大切です。例えば、都市型のお店であれば、駅前など人通りが多い場所がよいでしょうし、郊外型の店であれば、駐車場があるとよいでしょう。
移動販売の場合はキッチンカー
移動販売の場合は、キッチンカーが必要です。キッチンカーのベースとなる車には、軽トラック・軽バン・普通車バン・トラックなどの種類があります。店舗と同様に、お店のコンセプトに合わせた種類を選ぶことが大切です。
新車や中古で購入するほか、レンタルやリースで調達してもよいでしょう。
決済関連サービス
ハンバーガー屋の効率的な運営には、POSレジや決済機器も必要です。
STORES レジ であれば、iPadがあれば無料でレジを導入できるため、高額になりがちなPOSレジの導入費を大幅に節約できます。キャッシュレス決済サービスの STORES 決済 と連携すれば、キャッシュレス決済にも対応可能です。
ホームページやGoogleビジネスプロフィール
ハンバーガー屋を開業するのであれば、お店のホームページをつくりましょう。インターネットでお店のことを調べる人はたくさんいるからです。
また最近では、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)への登録も必須といえます。Googleビジネスプロフィールとは、Google検索やGoogleマップでお店の情報が表示される仕組みで、店舗系の集客には欠かせない存在です。
登録は無料のため、ハンバーガー屋を開業するのであれば登録しておいたほうがよいでしょう。ほかにもSNS運用なども効果的です。
ただし、ホームページやGoogleビジネスプロフィール、SNSなどの運用にはそれなりの手間もかかるため、資金に余裕がある場合は運営代行会社やフリーランスに依頼しても良いかもしれません。
ハンバーガー屋を開業するのに必要な資金の目安
ハンバーガー屋を開業するのに資金がどの程度必要なのか、初期費用と運営費に分けて説明します。
初期費用
初期費用として代表的なものをまとめました。15坪の貸店舗を賃貸料20万円で借りると想定しています。
項目 |
費用 |
物件取得費 |
60~200万円 |
内外装工事費 |
450~750万円 |
車両取得費 |
200~250万円 |
調理設備費 |
200~400万円 |
備品・消耗品費 |
50~100万円 |
広告宣伝費 |
30万円 |
物件取得費として、契約金(保証金)が賃貸料の3~10ヶ月分必要です。内外装工事費は坪単価30~50万円として計算しました。居抜き物件を使えば、内外装工事費はもっと節約できます。車両取得費は新車の場合です。中古だと上記よりも安く調達できるでしょう。
店舗の場合の合計費用は790~1,480万円、移動販売の場合は480~780万円です。
このほかに、運転資金として毎月の運営費を6ヵ月分程度用意しておいたほうがよいでしょう。今回の想定だと、運営費が61~70万円のため、366~420万円必要です。
毎月の運営費
毎月の運営費としておもなものをまとめました。1ヶ月の売上を100万円とし、従業員は雇わないと想定しています。
項目 |
金額 |
賃貸料 |
20万円 |
原材料費 |
35~40万円 |
水道光熱費 |
4~5万円 |
広告宣伝費 |
2~5万円 |
合計 |
61~70万円 |
原材料費は売上の35~40%で計算しました。水道光熱費は4~5%、広告宣伝費は2~5%で計算しています。
借入について
上記を見てわかるとおり、初期費用が抑えられるとされている移動販売の場合でも、運転資金を含めると800万円以上必要です。自己資金だけでは不足する場合は、融資を受ける必要があるでしょう。
一例として、日本政策金融公庫は、初めて開業する方でも融資が通りやすいことで知られています。特に「新創業融資」は原則担保や保証金なしで、最大3,000万円までの融資が可能です。自己資金が足りない場合は、日本金融公庫からの融資を検討してみてください。
ハンバーガー屋の開業を成功させるポイント
ハンバーガー屋は手軽に開業できる分ライバルも多く、他店にはない工夫をしないと失敗してしまう可能性もあります。ハンバーガー屋を成功させるポイントを確認していきましょう。
低価格帯か?高価格帯か?
ハンバーガー屋は低価格帯と高価格帯のお店に大きく分かれています。例えばマクドナルドなど大手チェーンのハンバーガー屋は低価格帯が売りのお店が中心です。
低価格帯で攻める場合には、原材料費やオペレーションコストをカットし、大量に販売できる仕組みを構築しなければいけませんが、個人でその仕組みを実現するのはハードルが高いはずです。低価格戦略で大手チェーンと争うのは厳しいでしょう。
一方で高価格帯の場合は、低価格帯にはない「手作り」「オリジナル」などの魅力を打ち出していくことで提供価値を上げ、同時に価格も上げるという戦略です。大量に販売する必要がないので、個人での開業に向いているといえます。
粗利を意識した価格決定
一般的に、飲食店の原価は40%以下に抑えるべきだといわれています。
ただし、高価格帯のハンバーガーの場合、商品の価値を上げる必要があるので、「40%以下」という数字を絶対視する必要は必ずしもありません。
本当に注目すべきは、粗利額です。原価率が40%を超えても、販売価格(顧客単価)が高ければ、粗利は多くなり儲かるからです。原価率だけでなく粗利額にも注目して、商品価値を維持できなおかつ利益も多く残る価格を設定しましょう。
明確なコンセプトの設定
ハンバーガー屋は競合が多く、独自のコンセプトがないと成功は難しくなります。特に、強力なライバルである大手チェーンでは提供できない価値が必要です。
例えば、夕食時の来店を狙ったアルコールやサイドメニューの提供が考えられます。ほかにも、素材の産地にこだわったり、女性向けに健康志向のヘルシーなハンバーガーに特化したりといったアイデアもあるでしょう。
お客さまが望んでいることは何かを考えて、お店のコンセプトを考えることが大切です。
ハンバーガー屋の開業ポイントまとめ
ハンバーガー屋は、飲食店のなかでは比較的容易に開業できますが、明確なコンセプトがないと失敗してしまう可能性が高いといえます。特に大手チェーンにはない独自の価値の提供が重要です。
個人で開業するなら、大手チェーンのような低価格・多量販売のスタイルよりも、高価格路線がおすすめです。お客さまにとって価値のあるオリジナルのハンバーガーを提供することで、販売価格(顧客単価)を上げることができ、大量に売る必要がなくなるからです。
また、STORES レジ や STORES 決済 など、店舗運営をサポートするシステムも活用すれば、個人あるいは少人数でも効率的に店舗を運営できるでしょう。ぜひ、ハンバーガー屋の開業にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?