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訪問マッサージ開業方法とは?必要な資格や届け出、成功のコツまで

訪問 マッサージ 開業

 

お客様のもとに訪問して、マッサージを行う『訪問マッサージ業』。現在整体院などで働いている方で、将来開業したいと考えている方も多いのではないでしょうか。

 

本記事では、訪問マッサージの開業に必要な資格や届出、開業を成功させるためのポイントを解説します。開業形態の種類も紹介しますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

訪問マッサージの需要

訪問マッサージを開業するにあたっては、まず顧客ニーズがあるかを確認しなければいけません。結論を言えば、高齢化社会が進む日本では、今後ますます訪問マッサージにニーズが高まることが予想されます。

高齢化社会でニーズが高まっている

近年、日本は急激に少子高齢化が進んでいるといわれています。総務省統計局が2021年12月に公表した人口推計によれば、2020年の国勢調査で、日本には75歳以上の人(外国籍の人を含む)が約1,856万人もいたという結果です。

2019年の10月時点と比べて、2年足らずで約7万人も増加している計算になります。同統計では75歳以上の割合が全人口の14.8%にも上り、日本社会の高齢化が着実に進んでいると分かるでしょう。

こうした社会背景を受け、近年は在宅介護をはじめ自宅で高齢者のケアをする人が増えている状況です。自宅にいながら体の不調に対処できる訪問マッサージの需要も、今後ますます高まると予想されます。

訪問マッサージは継続訪問してケアするケースが多いため、安定した収入に結びつきやすいのが特徴です。

参考:

統計局ホームページ|人口推計 令和3年(2021年)7月確定値、令和3年(2021年)12月概算値

開業に必要な資格とは?

訪問 マッサージ 開業

 

訪問マッサージは施設を持つわけではないものの、施術には資格が求められます。どのような資格を持つ必要があるのでしょうか?団体への加入とともに、必要資格について見ていきましょう。

あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師

『あん摩マッサージ指圧師』の国家資格を持つ人でなければ、訪問マッサージの施術はできません。あん摩マッサージ指圧師の資格は、専門学校で学び国家試験にパスすることで取得が可能です。

また、施術に針やお灸を使う場合は、別途『鍼灸師』の資格が必要になります。同じく専門学校への通学と、国家試験への合格が取得の条件です。

さする・なでる・もむといった手で行う施術には『あん摩マッサージ指圧師資格』、針やお灸でツボを刺激して治癒を目指すなら『鍼灸師資格』が求められます。

近年はどちらも、働きながら通える学校が登場しています。しっかりと計画を立てて勉強に励み、開業までに合格を目指しましょう。

ただ、一方の資格だけ持っていても、もう一方の施術はできない点に注意が必要です。鍼灸のみで施術する人は、厳密には『訪問鍼灸師』と呼びます。手と鍼灸どちらの施術に取り入れたいなら、両方とも取得しなければなりません。

資格に合った団体への加入もおすすめ

マッサージ師や鍼灸師の資格を取得したら、その資格に応じた団体に加入するのもおすすめです。国家資格を持つマッサージ師にも鍼灸師にも、対応している協会・団体があります。

例えば、『マッサージ師協会』に加入すると、医療費の支給申請書の作成・申請代行といったサービスを提供してもらえます。さまざまな会員向けのセミナーに参加できるのも、加入するメリットです。

さらに、病気や怪我で事業を休まなければならない場合、所得補償保険に加入できるようにもなります。

鍼灸師の資格だけ持つ場合も、『全鍼師会(公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会)』をはじめとした団体に加入しておくのがおすすめです。療養費取り扱い施術者として登録され、療養費の申請がスムーズになるでしょう。

個人開業にあたって必要な届出

訪問マッサージ業を開業するにあたっては、事前に『出張施術業務開始届』を提出する必要があります。また、訪問マッサージ業に限らず、個人で事業を興す場合、税務署に開業届も出しておきましょう。

保健所には「出張届」

訪問マッサージ業を始める場合、最寄りの保健所に対して『出張施術業務開始届』を出しておかなければいけません。業務を開始してから10日以内に、業務開始届と出張免許証、本人確認書類などを提出する必要があります。

詳しい提出書類や手続きに関しては、各自治体によって変わってくる点に注意しましょう。事前に開業するエリアの保健所に問い合わせるのが確実です。届出書は保健所のWebサイトからもダウンロードできます。

税務署には「開業届」

マッサージ業に限らず、新たに事業を興した人は開業後の1カ月以内に、最寄りの税務署に『開業届』を提出しなければいけません。開業届を出しておけば、税金の優遇措置を受けられる青色申告も可能になります。

確定申告を青色申告にすると、最大で65万円の税金控除が受けられる点が大きいでしょう。ただし、特別控除の適用には細かい条件が定められているため、事前に確認しておかなければなりません。

青色申告申請が承認されると、他にも事業が赤字になった場合に翌年から3年間は赤字分を繰り越せるといった優遇も受けられます。

開業届は各税務署の窓口で受け取れるほか、国税庁のWebサイトからのダウンロードが可能です。期日までに忘れず提出しましょう。

参考:

[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出手続|国税庁
No.2072 青色申告特別控除|国税庁

本格的な開業までに押さえたい知識

訪問マッサージを開業するにあたっては、資格や手続きの他にも押さえたい知識があります。事業を始めるまでの流れや、必要になってくる開業資金についても理解しておきましょう。

訪問マッサージを始めるステップ

訪問マッサージを始めるまでの一般的な流れは、大まかに次のようなフローとなります。

  1. 開業の準備
  2. 保健所や税務署への届け出
  3. マッサージ師の協会やNPOに加入
  4. 営業開始


まずは資格を取得して、必要なものをそろえましょう。物件の契約は不要ですが、名刺や仕事用のスマートフォン・白衣など、最低限の備品は用意しなければなりません。

次に『出張施術業務開始届』や『開業届』を、それぞれ保健所と税務署に提出します。開業届はスタート後でも構いませんが、期日を過ぎないように前もって準備しておいた方が安心です。

団体への加入はマストではないものの、会員になれば医療費の支給申請が楽になるといったメリットが多くなります。

必要な資格さえ有していれば、他の業種に比べて開業に大きな手間はかかりません。事前にしっかりと必要な器具を準備しておき、計画的に開業準備を進めましょう。

生活保護法の医療扶助担当者登録も

生活保護受給者を訪問診療する場合、指定施術機関として各自治体に『医療扶助担当者登録』をする必要があります。

指定を受けるためには各自治体の生活福祉課へ、所属している協会の会員証や免許証のコピーなどとともに申請書を提出しましょう。あん摩マッサージ指圧・鍼灸のどちらの診療も行う場合は、それぞれ別に申請しなければいけません。

協会やNPOなどに加入していない場合、各自治体と個別に協定を結ぶ形式になります。スムーズに指定を受けるためにも、協会やNPOには加入しておいた方がよいでしょう。

参考:医療機関の指定について|横浜市

開業資金の目安

訪問マッサージでは診療所を開設する場合と違い、大きな初期費用はかかりません。人によって開業資金は変わってくるものの、10万円程度あれば始められるのが通常です。

顧客名簿の管理するパソコンや名刺の作成費、訪問先へ移動する車両代・自転車の購入費などを考慮しておきましょう。すでに車を所持している人は、訪問先までのガソリン代が毎月の経費となります。

近年は個人事業でもWebサイトを持っているのが当たり前になっているため、広告宣伝費に加えてWebサイトの作成費用も必要です。

ただ、自らサイトを作成するのも一つの手です。サイト作成を補助するサービスを活用すれば、専門知識がなくてもWebサイトを作れます。

治療に使う備品やお客様に快適な体験を与えるためのアイテムには、ある程度のお金をかけましょう。開業資金が少ない分、満足度を高める施策をとりやすいはずです。

訪問マッサージ開業の選択肢

訪問 マッサージ 開業

 

資格の取得から集客まで、全て自力で事業を運営している訪問マッサージ師や訪問鍼灸師は多くいます。

しかし、開業のサポートを受けたり経営のみに携わったりするのも、開業する方法の一つです。具体的にどのような選択肢があるのかを知り、今後の動き方を考えましょう。

コンサルティングサービスを利用する

開業コンサルティングサービスを利用すれば、専門家から実践的なアドバイスを受けられます。自力で全て進めるよりも、スムーズに開業できるでしょう。

訪問マッサージ業の場合、先輩のマッサージ師や鍼灸師からも知識を得られます。事業を運営する上でつまずきがち部分や、顧客との関わりで注意したいポイントなどを、あらかじめカバーできるのが大きなメリットです。

さらに、マッサージ師・鍼灸師としての技術指導を受けられる場合もあります。実際に顧客を相手にする前に、プロとして問題ない技術を身に付ける方法も考えましょう。

フランチャイズに加盟する

フランチャイズといえば、コンビニエンスストアや飲食店のイメージを強く持っている人もいるでしょう。しかし、近年は訪問マッサージ業のフランチャイズも存在しています。

フランチャイズに加盟すれば、加盟元(フランチャイザー)のブランド名を使って利用者を集められます。スタッフの採用活動をサポートしてもらえるので、事業を大きくしたいとき効率的に人材を集められるのもメリットです。

ただし、初期費用がかかるのに加えて、定期的にロイヤリティを支払う必要があります。自分の思い通りに事業を進められない場面に出てくるでしょう。メリットとデメリットをよく比較した上で、加盟するかどうかを決めなければなりません。

マッサージ師を別に雇う

自身が資格を取得する時間はないけれど、マッサージ業を営みたいと考えている人もいるでしょう。あん摩マッサージ指圧師や鍼灸師の資格を持っていなくても、資格保持者を雇用すれば訪問マッサージ業を開業できます。

スタッフとして雇う方法だけでなく、マッサージ師と業務委託契約をして事業を運営するのも一つの手です。経営だけに関わればよいという場合は、別の人に施術を任せる道を検討しましょう。

マッサージ師として高度な技術を持っていても、事業を運営する知識やスキルに課題がある人はいます。そのような人と業務委託契約を結んでうまくマネジメントできれば、お互いの利益を最大化できる可能性が高まるでしょう。

事業を成功につなげるには

新しい事業を確実に成功させる方法はありません。しかし、利益につながる共通の行動はあります。特に重要な『集客』『ライバルとの差別化』の二つにおいて、訪問マッサージではどのような工夫ができるのでしょうか?

顧客を集める工夫をする

マッサージ業に限らず、事業の開始段階で最も事業主が苦労するのが集客です。技術はあっても、集客の方法を知らない事業主は少なくありません。

集客には大きく分けて、チラシや地域の情報誌などを使うオフラインの方法と、Webサイトやインターネット広告・SNSを使って宣伝するオンライン集客の2種類があります。

近年はオンラインでの集客が主流となっていますが、集客の方法に一つの正解はありません。ターゲットとする顧客や活動地域の特性に合わせて、最適な方法を模索していく必要があります。

ただし、自分のサービスを広く認知してもらうためにも、Webサイトは作成しておいた方がよいでしょう。実質的に無料で使えるSNSも、積極的に取り入れたい手段です。

ライバルとの差別化を図る

ライバルの訪問マッサージ師や、鍼灸師との差別化を図ることは重要です。今後の需要を見込んで開業するライバルは増えていくと考えられるため、独自の『売り』が求められます。

他のサービスに埋もれてしまわないよう、自身の経験や強み・特性を生かして差別化のポイントを考えましょう。自分のサービスだからこそ得られる体験を、顧客に提供する工夫が必要です。

例えば、プロのスポーツ選手だった経験を生かしてアスリート向けの訪問マッサージを行えば、ターゲットの状態を推測しやすいという差別化ポイントが生かせます。

一方、介護士の経験からホスピタリティの高い施術・接客ができる人であれば、一般的なマッサージ師よりも高齢者に好まれるでしょう。

差別化のポイントは人それぞれですが、顧客ニーズを調査した上で『自分を選んでもらえるポイントは何か』を考えることが大事です。

訪問マッサージには将来性がある

少子高齢化が進む日本社会では、今後さらに在宅で受けられるサービスが注目されるでしょう。

訪問マッサージもその一つで、需要に伴ってライバルも増えると予想されます。早期に参入することで、利益を上げられる可能性が高くなる業種です。

ただし、マッサージ業に限らず、事業を成功させるのは簡単ではありません。十分な時間をかけて必要な知識やスキル・資格を習得した上で、入念な準備が求められます。

安定した収入を確保するための集客方法を模索するとともに、ライバルと差別化する方法を考えましょう。すでにマッサージ業で成功している先達のアドバイスを受けることも大事です。

 

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