経営層の方やマーケティング担当の方、マーケティングを正しく行えているでしょうか。マーケティングを上手く行い商品やサービスを売るには店舗分析が欠かせません。こちらの記事では、マーケティングに欠かせない店舗分析について紹介いたします。
- 店舗分析とは
- 店舗分析は何のために行うのか
- 店舗の分析の鍵は「顧客視点」と驕らないこと
- クロス集計による店舗分析
- ABC分析による店舗分析
- 店舗分析の流れ
- 店舗分析を怠らず、適切なマーケティングを打ち出そう
店舗分析とは
店舗分析は、店舗の売上や顧客属性、どのような経路からサービス購入したのか、来店頻度、来店の時間、地域の特性などの売上や収益につながるものを洗い出すことです。
分析結果は、今後のマーケティング施策に活かされます。店舗分析には大きく分けて二つ、既存店の分析と新規に出店する候補地の分析が存在します。
既存店の分析
既存店の分析は具体的には、たとえば店舗ごとにポイントカードや会員制度などを導入して顧客の情報を知る方法があります。
例えば顧客が店舗の近くのお客様ばかりだということが分かれば、マーケティング施策として近隣住民へのチラシ配りが有効であることが分かります。
また、もしお客様のうち女性の方が多くかつ金額を良く使ってくれていることが分かれば、女性の会員様のみに向けて販促することも有効です。
新規に出店する候補地の分析
新店舗を出す際には、最も売上が上がるであろう物件を数多くある候補物件から選ぶ必要があります。店舗開発、FC展開に必要な売上予測、ドミナント政策の検証、競合店分析などで分析を行うことが可能です。
ドミナント政策の検証では、商取引を行う際に周辺の地理的要因を多角的に調査します。競合店分析では、その名前の通り競合店舗の現状の来客数や売上、立地を考慮した分析を行います。
店舗分析は何のために行うのか
店舗分析は、自身の店舗がどういうお店なのかを知り、今後のマーケティング施策に役立てるために行います。全体分析やサマリー分析という言い方をすることもあり、小売業や飲食店を営む人の多くは既に実行はされているかと思います。しかし企業ごとにどこまで自分のお店について知っているかは異なります。
例えば焼肉店を営んでいるとして、「自分のお店がどんなお店か」と問われた際に、「うちは焼肉店で、駅近くなので客足も入りやすいです!」ぐらいしか把握していないのか、それとも「当店はアルバイトの数が10人社員が2人いて、フロアは2階建ての構造です。1階が主に使用されているけれど人が多い時は2階も開放して切り盛りします。
売り上げの7割が食べ放題のお客様。17時から22時が最も売り上げが集中する時間帯で、曜日としては土曜・日曜と、金曜日の17時からが良く人の出入りがあります。競合店も近くにありますが、うちの方が安く提供できているのに高品質の肉が売りで、客足はうちの方が2倍多いです。」などの回答ができるまで行うのが望ましいです。
できればそれを店長などのマネージャークラスの人間だけでなく社員やアルバイトも把握できていると尚よいです。そこまでできれば、一人一人がマーケターとして効率の良い店舗の売上の向上に貢献できます。
店舗の分析の鍵は「顧客視点」と驕らないこと
店舗分析に欠かせないのが、「顧客視点」です。また、その顧客視点を取り入れるためにも、決して驕らないことが重要です。
「あらゆるデータを確認したい!」
「新しい革新的な施策で他社より成功したい!」
と根詰める気持ちも理解できますが、出店時の新規店舗のみでとれるデータには限りがありますし、そのデータのみで結論を出すのは早計です。せっかく店舗分析を新規にスタートするならば、自社にあるデータだけでなく、多くの店舗・お客様に還元できる形でソリューション導入を進めましょう。
自社だけでやろうとせず、小売店舗目線や消費者への理解があり、長くお付き合いできそうなベンダーを選ぶことも、プロジェクトをスムーズに進めるために重要なことです。生憎、店舗分析は、1日などの短いスパンで行って効果が現れる訳ではありません。
いかに、店舗分析の考え方を現場レベルまで浸透させるかが重要です。アルバイトの人にまで分かってもらうのを目指しましょう。そして「お客様へどうより良い体験を与えることができるか」ということを現場・本社関係なく対話し、試行錯誤し改善し続けるためのデータ・サービスであると考えてください。
どのような分析方法を選ぶ時点で、あなたの企業がどれだけ「顧客視点」なのかが試されています。
参考:顧客分析とは?目的・主要な3つの分析手法・集客UPに活かす方法 についてはこちら
ここからは具体的な分析手法を二つ紹介します。
クロス集計による店舗分析
店舗分析と言えば必ずと言っていい程声が挙がる基本的な店舗分析手法です。クロス集計は、質問項目を2つ以上で掛け合わせる分析手法です。例えば、「この商品を使いたいと思いますか?」という質問に対し、「はい」と答えた人が55%、「いいえ」と答えた人が40%、「どちらでもない」と答えた人が5%だったとします。
この場合だと、全体的な割合は分かっても女性が買っているのか、若い人が買っているのかなどどんな人が商品を使ってみたいのかが分かりません。小売業で適切なマーケティング戦略を打つには、具体的にどんな属性の方が商品を使ってみたいのかを知る必要があります。
この属性を把握できるのがクロス集計です。性別や年齢だけでなく、来店頻度や満足度なども加えたうえで集計を行います。需要のある性別や年齢を正確に把握することで、その属性に特化した販促を行えます。アンケートで調査した結果を分かりやすく可視化できるのも大きなメリットでしょう。
クロス集計はデータさえそろっていれば、エクセルで表を簡単に作成できます。特殊なツールも必要ないため、すぐに実践できるでしょう。グラフ化もしやすいため、会議やプレゼンテーションがしやすくなるというメリットもあります。ただし、データが大きくなるとコストが掛かりすぎてしまうのがデメリットなので、どこかで妥協する必要がでてきます。
ABC分析による店舗分析
ABC分析は自社店舗の商品を売上などの基準ごとにA,B,Cと三段階にランク付けする分析方法です。
具体的には、
- Aグループ:売上高80%を占める “売れ筋” の商品
- Bグループ:売上高80%~95%の “まあまあ売れる”商品
- Cグループ:売上高95%~100%の “死に筋” 商品
上記のようなグループに分け、主にAグループに入った商品のみに注力して広告の宣伝をしたり、売り場を大きく取ったりします。あなたの店舗では、春や秋にしか売れない商品もあれば、オールシーズンいつでも売れている商品があるのではないでしょうか。
またこの売上データを分析してみると、「取扱商品のうち、ごく一握りの売れ筋商品のみが売上の80%を稼ぎ出していた」という例もあります。分析の注意点ですが、売上が大きい商品が必ずしも多くの利益を沢山稼いでくれるとは限りません。
なので企業によっては売上ではなく利益を基準にして分析を行います。商品の売れ行きは感覚的に理解しているつもりでも、実際の数値は実感と異なることがあります。ABC分析はエクセルやスプレッドシートでも簡単に始められるというのもメリットなので、アルバイトさんにお任せもできてしまうのは人件費や労力の観点から良いです。
店舗分析の流れ
店舗分析は、
- 目的の確認
- 仮説の提唱
- 分析手法を選ぶ
- データ収集
- 分析
- 課題・改善点の明確化
という流れで行います。順に見ていきましょう。
目的の確認
まず最初に店舗分析を行う目的を確認します。客単価を上げたいのか、客数を増やしたいのか、購買率を上げたいのかなど、分析をした結果どうなりたいのかを明確にします。
目的を明確にすることによって店舗分析自体が目的になることを防ぎ、目的に沿った質の高い分析をスムーズに行うことが可能になります。
仮説の提唱
目的を明確化してすぐに店舗分析を開始するわけではありません。データを収集・分析する前にまず現時点で考えられる仮説を提唱します。
「この商品とあの商品は一緒に買われやすい」
「天候によって客数が変わるのかもしれない」
など、現在の問題点などを考えられるだけ並べます。
仮説を並べておくことにより、分析する際にどのような視点でデータを分析していくのかということが分かりやすくなり、分析をスムーズに進める手助けとなります。自分の感覚ばかりを頼りにせず、しっかりと仮説を提唱することがポイントです。
分析手法を選ぶ
仮説を並べることができたら、どの分析手法を用いて分析していくのかを決定します。分析手法によって使用するデータの種類や量が変わってくるため、データの収集や分析を行う前に必ず決めておかなければいけません。業種や持っているデータの種類、量、目的から考慮して選びましょう。
データの収集
分析に使用するデータを収集します。分析をスムーズに、正確に行うためには必要な量のデータが十分にあることが前提となります。「データが足りなくて分析できない」といったことにならないように、普段からこまめにデータ収集を行っておくと良いでしょう。
分析
収集したデータをもとに分析していきます。驕らずに、顧客視点で慎重に分析していきます。精度を高めるためにも、思い込みや個人の感情などはすべて取り払いましょう。提唱した仮説を参考にしたり大きな傾向を掴みながら、現状の問題点を洗い出していきます。
課題・改善点の明確化
分析が完了したら、実践につなげるために現状の課題や改善点を明確化していきます。課題や改善点の明確化が十分に行われていない場合、分析したことを経営に役立てることができません。経営に役立てることができなければ目的は達成できないため、分析した意味がなくなってしまいます。課題・改善点はしっかりと明確化し、経営に応用しましょう。
店舗分析を怠らず、適切なマーケティングを打ち出そう
このように、店舗分析は特に店舗を所持する形で営業している会社の経営を存続させるのに不可欠なものになります。会社が順調に成長しているときこそ怠りがちですが、店舗分析の結果は長い目で行わなければならないので、成長が落ち込んだ時に取り入れてももう遅いことも少なくありません。
なので店舗運営型の会社を営業している人は常日頃から店舗分析を怠らない癖を付けましょう。
また会社が大きくなってきたら、代表取締役社長や役員だけでなく企業のマーケティング担当や現場の人間も極力同じことができるように、店舗分析の重要性を社内に広めることも大切なことです。これが正しく施行され、PDCAを回していければ、適切なマーケティング戦略を打ち続けることができるでしょう。