テイクアウト需要の高まりに伴い、日本各地で急増している唐揚げ屋。テイクアウトやキッチンカーでの販売がメインで、少ない初期費用で始められることから、唐揚げ屋の開業をする方が増えています。
そこで今回は、唐揚げ屋を開業するメリットやデメリット、必要な資格や資金など、開業前に知っておきたいことをご紹介いたします。ぜひ参考にしてみてください。
- 唐揚げ屋の開業スタイル
- 唐揚げ屋を開業するメリット
- 唐揚げ屋を開業するデメリット
- 唐揚げ屋を開業するのに必要な資格や許可、届出は?
- 唐揚げ屋を開業するのに必要な資金はどれくらい?
- 唐揚げ屋開業に使える補助金や融資はある?
- 唐揚げ屋を開業するなら、どんな場所がいい?
- 唐揚げ屋を開業するまとめ
唐揚げ屋の開業スタイル
唐揚げ屋を開業するには、大きく3つの開業スタイルがあります。フランチャイズが一番多いスタイルではありますが、ご自身の理想に近いものを選びましょう。
①フランチャイズに加盟
フランチャイズとは、親企業(フランチャイザー)と契約を結んで加盟店になり、親企業の看板や商品、サービスを使う権利をもらえることです。また、ビジネスのノウハウもサポートしてもらえます。
そのかわり、加盟店は親企業へロイヤリティと呼ばれる売上の一部を支払う義務があります。
親企業からの縛りがあるため、オリジナルのお店を作りたい方は、個人での開業がおすすめです。
②キッチンカーで開業
移動式販売者であるキッチンカー。飲食店を開業するより、初期費用や固定費が抑えられるなどのメリットがあります。
キッチンカーの開業方法や必要な資金については、「キッチンカーを開業するには?開業方法や必要な資金についてご紹介」でご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
③個人で開業
物件探しや内装工事など、唐揚げ屋開業前の準備から開業後の運営まで、個人で行う方法です。
自身の土地が余っている場合はそのまま活用できるなど、自由度が高く好きなように経営できます。しかし、経営ノウハウがないと店舗運営で躓いてしまう可能性も。
細かい計画を自分で立てて、実行していくのが得意な方にはおすすめです。
唐揚げ屋を開業するメリット
ここでは、唐揚げ屋を開業するメリット3つをご紹介します。
①低コストで始められ、運営費を抑えられる
唐揚げ屋の運営スタイルは、テイクアウトがメインです。そのため、飲食スペースを用意する必要はなく、必要最低限の調理スペースがあれば大丈夫。6坪あれば運営できると言われています。
店舗を借りるにしても敷地が広くないため、少ないコストで始めることが可能です。また、一人で開業できれば人件費もかからないため、運営費を抑えることもできます。
②原価率が低く、利益率が高い
唐揚げでよく使用される若鶏(ブロイラー)は、飼育期間が短く比較的安い食材です。
肉質が柔らかく、肉自体に味わいがないため、味付けをしっかり行えば、おいしい唐揚げを作ることが可能です。
③味付けのバリエーションが豊富で、幅広い層に人気のおかず
唐揚げは季節問わず食べられ、単体でもおかずになります。それだけでなく、主食の付け合わせやトッピング、時にはおやつにもなるなど、さまざまなシーンで活用できます。
また、ノーマルな味付けも定番で人気ですが、下味やソース次第でチキン南蛮や油淋鶏など味のバリエーションを増やすことも可能です。
老若男女問わず人気のおかずと言えるでしょう。
唐揚げ屋を開業するデメリット
ここでは、唐揚げ屋を開業するデメリット2つをご紹介します。
①競合が多い
テイクアウト需要の高まりに伴い、唐揚げ屋は増加しています。大手チェーン店も唐揚げ屋を開業し、全国各地に支店を広げました。そのため、競合が多い点がデメリットと言えるでしょう。
もし近くに唐揚げ屋がある場合は、明確な差別化が必要です。
②単価が安いので、集客が必要
原価率が低いので、お客さまへ安く提供することが可能な唐揚げですが、その分売り上げを出すために、一回の購入額を増やすか、客数を確保する必要があります。
客数の確保、つまり集客には、SNS運用や広告の活用などさまざまな方法があります。実店舗で使える集客方法に関しては、「店舗でも使える!集客に関する記事17選」にてご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
唐揚げ屋を開業するのに必要な資格や許可、届出は?
食品衛生責任者
食品衛生責任者は、その名の通り施設における食品衛生の責任者で、食品を扱う営業をする場合、必ず1名は施設に必要です。各都道府県の食品衛生協会が実施している講習会を受けることで、資格を得ることができます。
料金は全国でほぼ一律10,000円。開催日程は自治体よって異なるため、管轄の保健所に確認してみましょう。
なお、調理師や栄養士、製菓衛生士等の資格を持っている人は、この講習会を受ける必要はありません。窓口に申請するだけで資格の取得が可能です。
詳しい情報は、厚生労働省の資料が参考になります。
食品衛生者について(現行の取り扱い)
防火管理者
防火管理者は、建物における防火管理の責任者を指す言葉です。防火管理者には選任されるためには以下の条件があります。
- 防火管理業務を適切に遂行することができる「管理的、監督的地位」にあること
- 防火管理上必要な「知識・技能」を有していること
このうち、1の条件は、飲食店内での立場に関することであるため、開業者が防火管理者を選ぶ際にそれなりの地位におけば問題ありません。
そして、2の条件は、一般的には防火管理講習の過程を修了することで、達成していると判断されます。
移動販売車許可
キッチンカーでの開業を検討している場合、管轄の保健所に申請をし、営業許可を取得する必要があります。有効期限は5年間で、それ以降は更新料が必要です。
販売する地域ごとに申請が必要なので、複数の場所に出店する場合、その出店場所を管轄する保健所に営業許可の申請をしなければなりません。
1つの営業許可でどこでも販売できるというわけではないので、気をつけましょう。
なお、飲食店を開業するのに必要な資格に関しては、「飲食店を開業するには?必須の資格・届出と手続きの流れ」で詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
開業届
開業して1ヶ月以内に、税務署へ開業届の提出が必要です。
書類は税務署窓口で入手できますが、国税庁のホームページからPDFファイルに入力しダウンロードすることも可能です。提出する際には、マイナンバーの確認が求められるため、忘れないようにしましょう。
開業届の書き方や提出方法については、「【個人の開業】個人事業主の開業届は必要? 手続き・書き方やメリットをご紹介」や、「ネットショップを始めるのに開業届は必要?提出方法も解説」で紹介しています。ぜひ、確認してみてください。
唐揚げ屋を開業するのに必要な資金はどれくらい?
飲食店を開業するには1,000万〜2,000万円の開業資金が必要と言われているのに対し、唐揚げ屋を開業する場合、200万〜500万が相場と言われています。
飲食スペースが必要ないため、少ない敷地面積で開業できることから、大幅に開業資金を抑えることが可能です。
唐揚げ屋開業に使える補助金や融資はある?
小規模事業者持続化補助金
「小規模事業者持続化補助金」は、商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいる「小規模事業者」及び、一定の要件を満たした特定非営利活動法人を対象とした補助金です。
販路開拓等の取組や、あわせて行う業務効率化の取組を支援するための補助金なので、それに要する経費の一部を補助してくれます。最大で50万円の補助金が出ます。
なお、令和2年度補正予算小規模事業者持続化補助金事業<コロナ特別対応型>と本事業の両方を採択された場合は、いずれか一方しか補助金を受け取ることができませんので注意が必要です。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、日本政府が運営している金融公庫です。無担保・無保証で利用でき、銀行に比べて低金利で融資を受けることができます。
まずはお近くの支店の窓口へいき、相談をしてみましょう。
制度融資
各地方自治体、民間金融機関、信用保証協会の連携によって行われる融資が、制度融資です。日本政策金融公庫と同様に、低金利で融資を受けられます。
各地等自治体によって制度や融資内容に違いがありますので、詳細は各地方自治体へ問い合わせをしてみてください。
唐揚げ屋を開業するなら、どんな場所がいい?
人通りが多く駅から近い道路に面した場所
どの飲食店を開業する上でも大事なことではありますが、人通りが多く駅から近い道路に面した場所がいいでしょう。
駅の近くにあることで、帰宅途中の主婦やサラリーマン、学生の集客を見込めます。夕飯のおかずや、ちょっとした軽食などの用途で購入してもらえるように、街に住む人がどんな人たちなのか事前に確認することがおすすめです。
競合店が周りにない
競合店が周辺に多いと、価格競争に巻き込まれてしまったり、埋もれてしまったりする可能が。周りの競合店が少ないほど、お店の希少価値は高まります。
唐揚げ屋だけでなく、メニューに唐揚げ定食などを出しているような飲食店や惣菜屋さん、お弁当屋さんも競合にあたるため、気をつけましょう。
唐揚げ屋を開業するまとめ
老若男女問わず人気な唐揚げ。そんな唐揚げの専門店である唐揚げ屋は、テイクアウトがメインなため、初期費用や運営費を抑えて開業することが可能です。
集客や物件の場所選びに気をつければ、継続的な売り上げを見込めるでしょう。
ご紹介した内容を参考に、唐揚げ屋の開業準備を進めてみてはいかがでしょうか。