カレーは日本の国民食で、カレーが嫌いな人はなかなかいないのではないでしょうか。そうした安定した人気があるため、将来はカレー屋さんの開業を目指している方もいるかもしれません。
そこで今回は、カレー屋さんを開業するために必要な資金や資格・許可、失敗しないためのポイントを解説します。カレー屋さんを開業するメリットや、効率的な運営を助けるツールなどもお伝えしますから、カレー屋さんの開業を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
- カレー屋さんを開業するメリット
- カレー屋さんを開業するのに必要な資格・許可
- カレー屋さんを開業するのに必要な資金の目安
- 失敗を避けてカレー屋さんの開業を成功させるポイント
- カレー屋さんの開業ポイントまとめ
カレー屋さんを開業するメリット
カレー屋さんの開業には、ほかの飲食業にはないメリットがあります。いくつかのメリットを確認していきましょう。
カレーは安定した需要がある
カレーは、日本の国民食として広く認知されており、嫌いな人がほとんどいないのが特徴です。かつてカレーは、家庭で食べるものとされ市場はそれほど大きくありませんでしたが、近年は単身者の増加や外食ニーズの多様化で市場が成長しています。
カレーには旬や繁忙期などが存在しないため、季節やトレンドによる需要の変動が少なく、売上の予測がしやすいのもメリットです。
スパイスの配合でオリジナル性を出しやすい
カレーのスパイスはたくさんの種類があり、60種類以上にもなります。スパイスの配合で味が大きく変わるため、お店ならではの特色を出しやすく、商品のオリジナル性を担保しやすいのもカレー屋さん開業のメリットです。
店舗、デリバリー、通販、どの形態でも開業できる
カレー屋さんは、小規模な店舗でも開業可能です。店舗型だけでなく、デリバリー型や移動販売(キッチンカー)などさまざまな形態があります。
最近では通販(ネットショップ)も候補として挙げられるでしょう。資金やコンセプトに合わせた形態で開業ができるのもカレー屋さんのメリットです。
カレー屋さんを開業するのに必要な資格・許可
カレー屋さんを開業するには、必要な資格や許可がいくつかあります。それぞれ確認していきましょう。
食品衛生責任者
飲食店を開業する際には、食品衛生責任者を設置することが求められます。調理師や栄養士の資格をもっていれば食品衛生責任者になれますし、そういった資格がない場合でも、講習を受ければ大丈夫です。講習も6時間程度の受講で済むため、カレー屋さんの開業を検討している場合は、早めに取得しておきましょう。
飲食店営業許可
飲食店を開業するには、保健所から食品営業許可をとらなければなりません。許可をとるには以下のような手続きが必要です。
- 事前相談:内装・外装工事を始める前に図面を持参して相談
- 営業許可申請:施設完成予定日の約10日前に申請
- 施設の確認検査:保健所の職員が実際に店舗を確認
- 営業許可書の交付
- 営業開始
場合によっては修正を求められることもあります。時間に余裕を持って、手続きを進めましょう。
キッチンカー型(移動販売)で開業する場合の注意点
キッチンカー型(移動販売)で開業する場合には、キッチンカーが保健所の定める施設基準を満たしている必要があります。以前は地域によって施設基準にばらつきがありましたが、2021年6月の法改正で基準が統一されました。
しかし、地域によっては独自の規定が残っている可能性もあります。あらかじめ管轄地域の施設基準をよく確認しておいてください。
また、キッチンカーを複数の保健所のエリアで営業する場合、営業許可をそれぞれの地域で取得しなければなりません。店舗のように、必要な許可が1ヵ所だけ、というわけではないため、注意しましょう。
キッチンカーについては、以下の記事で詳しく解説しています。興味のある方は参考にしてみてください。
『キッチンカーを開業するには?開業方法や必要な資金についてご紹介』
ネット販売は食品の種類に応じた営業許可の取得が必要
インターネットでカレーを販売しようとしている方もいるかもしれません。ネット販売の場合は、食品衛生責任者と飲食店営業許可に加えて、食品の種類に応じた営業許可の取得が必要です。
食品衛生法では34業種について、営業許可の取得が求められています。カレーをネット販売する場合、冷凍で販売することになりますが、冷凍食品を販売するには、「食品の冷凍又は冷蔵業」の許可が必要です(34業種の詳細は、以下のリンク先で詳しく解説されています)。
参考:食品衛生法の定める営業許可が必要となる業種 |厚生労働省
カレーのネット販売については、以下の記事で事例をご紹介しています。興味のある方は参考にしてみてください。
『勝負をかけた、冷凍カレー。 原点回帰させてくれたのは リピートしてくれる「常連さん」』
調理師免許は必須ではない
カレー屋さんの開業に調理師免許は必須ではありません。しかし調理師免許があれば、お店の信頼性や好感度アップにはつながる可能性もあります。調理師免許がある場合は、免許を取得していることをアピールしてみるのもよいでしょう。
カレー関連の資格について
カレーの民間資格として、日本野菜ソムリエ協会が認定する「カレーマイスター」や日本カレー機構が認定する「カレーエキスパート」などがあります。
こうした資格をもっていれば、「カレーマイスター」「カレーエキスパート」のお店としてブランディングにつながるかもしれません。お客さまとのコミュニケーションの潤滑油になることもあるでしょう。
カレー屋さんを開業するのに必要な資金の目安
カレー屋さんを開業するのには、どれくらいの初期費用や運営費が必要なのでしょうか。資金の目安を解説します。
初期費用
以下に、カレー屋さんを開業する初期費用をまとめてみました。店舗は15坪のものを家賃15万円で借りると想定しています。
内訳 |
金額 |
物件契約費 |
90~150万円 |
内装工事費 |
150~450万円 |
キッチンカー取得費 |
200~300万円 |
厨房設備費 |
100~200万円 |
広告宣伝費など |
10~20万円 |
店舗で開業する場合はキッチンカーが不要のため、合計金額は350万~820万円ほどです。移動販売の場合は、物件契約費や内装工事費が不要のため、合計金額は310万~520万円ほどになります。
内装工事費や厨房設備費は、居抜き物件を使えば節約可能です。またキッチンカーも、中古車を買ったり、リースを活用したりすれば、初期費用を抑えられるでしょう。
このほかに、開業後軌道に乗るまで数ヵ月はかかることを考えると、毎月の運営費を6ヶ月分程度用意しておいたほうが無難です。
毎月の運営費(ランニングコスト)
次にカレー屋さんの毎月の運営費(ランニングコスト)の目安をまとめてみました。売上は月に150万円と仮定しています。
内訳 |
金額 |
賃貸料 |
15万円 |
人件費 |
38~53万円 |
原材料費 |
38~53万円 |
水道光熱費 |
9~12万円 |
広告宣伝費など |
5~8万円 |
毎月の運営費は、合計で105万~141万円ほどです。キッチンカーの場合は賃貸料が不要のため、運営費の合計は90万~126万円ほどになります。
人件費・原材料費はともに30%程度が適切とされていることから、今回は売上の25~35%として計算しました。金額が大きい部分だけに、人件費・原材料費をうまく削減できるかどうかで、運営費は大きく変わってくるでしょう。
借入について
カレー屋さんの開業には、数ヵ月の運転資金も含めると1,000万円以上のまとまった資金が必要です。貯金だけでは足りない場合もあるかもしれません。そういった場合は、金融機関などからの借入も検討しましょう。
なかでも、日本政策金融公庫は融資が通りやすいことで知られています。特に「新創業融資」は担保や保証人なしで最大3,000万円まで借り入れることが可能です。ほかにも「女性、若者/シニア起業家支援基金」や「新規開業資金」などの制度もあります。融資を受けようと思ったときには、こういった制度をよく調べてみてください。
失敗を避けてカレー屋さんの開業を成功させるポイント
カレー屋さんの開業を成功させるにはどのようなポイントがあるのでしょうか。いくつかのポイントを確認していきましょう。
競争は激しい!独自の売りを訴求する必要がある
カレー屋さんは競争が激しく、独自の売りがなければ集客が困難です。特に、店舗を持たない場合はそれが顕著にあらわれます。
独自の売りを訴求するためには「誰に?」「どのようなものを?」売りたいのかを明確にしていきましょう。例えば、「女性向けの低カロリーで健康志向カレー」などが考えられます。女性向けの健康志向カレーだと、男性からは支持されないかもしれません。しかし、誰にでも受け入れられる商品では、特定の層から大きく注目されることはないのです。
ほかにも学生街であれば、ボリュームに力点を置いたり、制限時間内の完食で無料にしたりするなど、立地条件によって独自性を出していく方法もあります。
集客できるけど回転率が悪い!オペレーションは徹底させる
うまく新規集客できても、ランチで長時間待たせるなど回転率の悪さが目立てば、不満が続出してしまうでしょう。カレーは本来回転率の良いメニューのため、オペレーションを洗練させて回転率を改善していくことが必要です。
従業員への教育や配膳の工夫などももちろん必要ですが、意外と時間をとられがちな決済関連の効率化も考えてみてください。例えば、キャッシュレス決済を導入すれば、小銭の受け渡しなどで時間をとられることがなくなります。
STORES 決済 はキャッシュレス決済を簡単に導入できるツールです。クレジットカードのほか、電子マネー、QRコードにも対応しています。
また、STORES レジ は、iPadを使用したレジで、レジ操作に慣れていない方でも直感的な操作が可能です。STORES 決済 とも連携できるため、2つのサービスを組み合わせれば、さらに会計作業が効率的になるでしょう。STORES レジ はiPadがあれば導入可能なため、一般のPOSレジのように高額な導入費用は不要なのもメリットです。
味にこだわりと原価・利益とのバランスを取る
カレー屋さんに限らず、飲食店でよくやってしまいがちな失敗として、味にこだわりすぎることがあります。他店にない独自の売りをつくり出すためには、味のこだわりはもちろん必要ですが、こだわりすぎて原価が高騰してしまえば廃業リスクが高まります。
カレー屋さんの原価率は30%程度といわれています。原価をケチりすぎてもお客さまは離れていきますが、原価をかけすぎても経営が続けられません。原価率のバランスをどれくらいとっていくかが重要なポイントでしょう。
どれくらいの価格で、どれくらいの数を売れば、いくら売上があるのか、毎月のコストはいくらで、そこからいくら利益が残るのか……といったことを数字できちんと把握していくことが大切です。
カレー屋さんの開業ポイントまとめ
カレーは安定した需要があり、商品のオリジナル性も出しやすいことが特徴です。店舗だけでなく、移動販売やネット通販などを展開できるのもメリットでしょう。しかしその分、競争が激しく、はっきりとした独自性や効率の良いオペレーションがなければ失敗してしまう可能性もあります。
効率の良いオペレーションのためには、従業員への教育などに加えて、会計関係の効率化も不可欠です。STORES 決済 や STORES レジ などのシステムの利用も検討しながら、カレー屋さん開業の準備を進めていきましょう。