粉ものと呼ばれているお好み焼きやたこ焼きは、競争の激しい飲食業界のなかでも利益が出しやすいといわれています。将来はたこ焼き屋を開業しようと考えている方もいるのではないでしょうか。しかし無計画に開業してしまうと、廃業に追い込まれてしまう可能性が高いのも事実です。
そこで今回は、たこ焼き屋を開業するのに必要な資格や許可、失敗を避けるポイントについて解説します。たこ焼き屋を開業するメリットや必要な資金などについてもお伝えしますので、たこ焼き屋の開業を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
- たこ焼き屋を開業するメリット
- たこ焼き屋を開業するために必要な資金の目安
- たこ焼き屋の開業に必要な資格・許可
- たこ焼き屋開業に必要なものリスト
- 失敗しない!たこ焼き屋開業を成功させるポイント
- たこ焼き屋開業のポイントまとめ
たこ焼き屋を開業するメリット
数多くある飲食店のなかで、たこ焼き屋を開業するメリットはどのような点にあるのでしょうか。たこ焼き屋を開業する3つのメリットについて、確認していきましょう。
①高額の設備が必要ない
一般的な飲食店と比べて、たこ焼き屋は高額な設備がほとんど必要ありません。必要なのは焼台と鉄板、冷蔵冷凍庫くらいのものです。これらの機材も中古機材を使えば安く購入できます。
②省スペースの店舗で開業できる
たこ焼き屋はテイクアウトがメインとなるため、広い店舗スペースが必要ありません。テイクアウト専門店の場合だと、調理スペースだけですみ、小さな店舗で開業できるのがメリットです。また店舗が小さいため、選択できる立地が幅広いという特徴もあります。
③人件費を抑えられる
人件費は、飲食店のランニングコストのなかで、大きなものの一つです。しかしたこ焼き屋の場合、テイクアウトがメインなので、一人で運営することも十分可能。人件費を抑えられます。
たこ焼き屋を開業するために必要な資金の目安
たこ焼き屋を開業するためには、どの程度の資金が必要なのでしょうか。
5坪の店舗を家賃10万円で借りたと仮定して、おおよその目安をまとめてみました。
物件契約費 |
60~100万円 |
内装・外装費 |
100~200万円 |
厨房設備費 |
10~200万円 |
広告費 |
10~20万円 |
運転資金 |
180~240万円 |
合計 |
360~760万円 |
開業に必要な資金は360~760万円ほどが目安です。屋台で開業すると、さらに安く開業することも可能でしょう。それぞれの費用について説明します。
物件契約費
店舗を借りる際には、居住用賃貸住宅の敷金礼金にあたる契約金(保証金)が必要です。契約金の相場は、家賃の6~10ヵ月分。家賃を10万円とした場合、60~100万円になります。
内装・外装費
物件を借りたら、店内や外回りを改装しなければなりません。改装費の相場は1坪20~40万円です。店を5坪と仮定すると、100~200万円かかります。居抜き物件を活用すれば、費用を節約することが可能です。
厨房設備費
たこ焼きを作るのに必要な焼台や鉄板、冷蔵冷凍庫などの設備も必要です。新品でそろえると200万円程度かかってしまいますが、中古から選べばかなり節約できます。
広告費
開業後は、できるだけ早くお店の認知度を上げなければいけません。チラシや看板を作る費用も確保しておいてください。広告費はかけようと思えばいくらでもかけられますが、開業当時はとりあえず10~20万円程度を目安にしましょう。
運転資金
たこ焼き屋を開業しても、経営がすぐ軌道に乗るとは限りません。その間の運転資金をあらかじめ確保しておけば、安心して経営に専念できます。運転資金は、ランニングコストの6ヵ月分が目安です。
自己資金が足りないときは?
たこ焼き屋は、ほかの飲食店と比べて初期費用はかかりませんが、それでもある程度はまとまった資金が必要です。自己資金だけでは足りない場合、融資を検討しましょう。
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」では創業資金総額の10分の1以上の自己資金があれば、審査が受けられます。このほかにも「一般貸付」「新規開業資金」「女性、若者/シニア起業家支援資金」などさまざまな制度があるため、融資を検討する場合は一度確認してみてください。
たこ焼き屋の開業に必要な資格・許可
必要な資金の目安がわかったところで、次はたこ焼き屋を開業するために必要な資格や許可について説明します。たこ焼き屋の開業には「食品衛生責任者」と「飲食店営業許可」の2つが必須です。
①食品衛生責任者
飲食店を経営する場合、店舗ごとに食品衛生責任者が必要です。資格を取るには6時間の講習を受けましょう。調理師や栄養士の資格をもっていれば、受講が免除されます。
②飲食店営業許可
もう一つ必須なのが飲食店営業許可です。許可を取るためには、次の手順にそって申請してください。
- 事前相談:着工前に店の図面を持って相談、基準に合致しているか確認してもらう
- 営業許可申請:施設完成予定日の約10日前に申請
- 施設の確認検査:実際に店舗を確認
- 営業許可書の交付
- 営業開始
飲食店営業許可には有効期限があるため、定期的な更新も必要です。
調理師免許は必須ではない
たこ焼き屋を開業するために、調理師免許は必要ありません。しかし、調理師免許をもっていれば、お店の信頼性や好感度がアップするかもしれません。調理師免許の受験資格がある場合は、取っておいて損はないでしょう。
ネット販売するなら食品衛生法に基づく営業許可が必要
店頭でたこ焼きを販売するだけでなく、ネット販売も並行して行なう場合は、食品衛生法に基づく営業許可も必要です。食品衛生法施行令では、営業許可が必要なものとして34業種が挙げられています。たこ焼きをネット販売する場合は冷凍加工することになるので、「食品の冷凍又は冷蔵業の許可」が必要です。
34業種以外にも、各都道府県の条例で許可が必要なものもあります。ネット販売を始める前に、管轄の保健所に相談しておけば安心です。
またネット販売をする場合には、食品表示法に基づくラベル表示も必要です。小規模事業者については栄養表示の省略も可能ですが、条件があるため下記記事などを参考にして、事前によく確認しておきましょう。
『ネットで食品販売業をやるなら?食品のネット販売で必要な資格・許可や関連法律まとめ』
たこ焼き屋開業に必要なものリスト
次にたこ焼き屋を開業するのに必要なものをリストアップしてみます。
調理器具や各種設備、備品
たこ焼き屋としてまず必須なのが、たこ焼き器です。たこ焼き器には電気式とガス式があります。ガス好きのほうが早くカリッと焼き上がります。電気式は熱伝導が安定しているため失敗しにくいのが特徴です。
また、たこ焼き器の素材には銅板と鉄板があります。銅板のほうが熱が伝わりやすく早く焼けますが、その分焦げやすいので技術が必要です。
その他に必要な大型の備品としては、冷蔵冷凍庫、作業台などがあります。
細かなものとしては、次のようなものが必要でしょう。
- 生地を入れておく樽
- ひしゃく
- 泡立て器
- 計量カップ
- 粉落とし:生地をたこ焼き器に流し込む器具
- 油引き:たこ焼き器に油を塗る器具
- ピック:たこ焼きをひっくり返す器具
またこのほかに、たこ焼きを入れるパックや割り箸といったものも必需品です。
安定した仕入れ先
たこ焼きの原材料はタコ、小麦粉が主で、その他にキャベツや青のり、ソースが必要です。これらはスーパーでも仕入れることができますが、長期的な経営でコストを削減することを考えると、魚屋、粉屋、八百屋といった個別の業者ごとで契約したほうがよいでしょう。
特に、おもな原材料であるタコや小麦粉については、価格変動の影響をなるべく受けないように、安定した仕入先を見つけることが大切です。
たこ焼きを入れるパックについても、良い資材屋を見つけて安く仕入れられるようにしておきましょう。
決済関連サービス
たこ焼き屋の開業に必要なものとして見過ごしがちなのが、POSレジなどの会計機材です。現在ではクラウドを使ったPOSレジサービスがいくつかあるため、手軽に導入できます。
特に STORES レジ は、iPadがあれば導入可能で、非常に手軽なサービスです。キャッシュレス決済サービスの STORES 決済 と連携できるのもメリット。
最近ではキャッシュレス決済が浸透しており、キャッシュレス決済を導入しているお店を優先して選ぶお客さまもいます。これから開業するのであれば、キャッシュレス決済への対応は必須になるでしょう。
その他
そのほかには、看板やメニューボードといった宣伝素材も必要です。リピーターを確保するためにポイントカードも作っておくとよいでしょう。
インターネット販売も手がけるのであれば、ネットショップ用のホームページも必要です。ネットショップ作成サービスの STORES を使えば、HTMLやCSSの知識がなくても簡単にネットショップを開設できます。初期費用は無料で、月額無料のプランもありますから、インターネット販売を手がけるのであれば一度検討してみてください。
STORES の特徴やメリットについて詳しくは、以下の記事もチェックしてみてください。
『【ネットショップ開業】ネットショップ開設には STORES がおすすめ!使うべき10のメリットをご紹介』
また今後ネットショップの開業したい方向けには、『2021年最新版】ネットショップ開業・開設手順はこれを見れば完璧!初心者〜上級者向けにご紹介』で詳しくやり方を解説しています。
失敗しない!たこ焼き屋開業を成功させるポイント
ここからは、たこ焼き屋の開業を成功させるためのポイントについて解説します。
立地の選定
たこ焼き屋の開業で非常に重要なのが立地です。いくら味が良くても、立地が悪ければお客さまが来てくれません。徒歩の交通量が多い場所を選ぶことが大切です。
都市部であれば、駅前や商店街が候補地として挙げられます。郊外であれば、観光地や商業施設のテナントなどがよいでしょう。
回転率を上げる工夫
たこ焼き屋の経営でもう一つ重要なのが、回転率を上げることです。たこ焼きの単価は500円程度と安いです。ブランディングで価格を上げるにしても、お客さまがたこ焼きに払える許容額には限度があります。ほかの飲食業のようにサイドメニューで客単価を上げることも難しいことから、回転率を上げて数を売ることが大切です。
そのためお店の収容数はそれほど重要ではありません。むしろテイクアウト販売だけに割り切ってしまうのもよいでしょう。お店が小さければ家賃も安くなるため、経費の節約にもつながります。
たこ焼き屋開業のポイントまとめ
たこ焼き屋は、ほかの飲食業と異なり、初期費用やランニングコストをかなり抑えられるのがメリットです。しかしその分競争が激しく、生き残りが大変なのも事実です。
たこ焼き屋の開業を成功させるためには、立地が重要です。いくら味の良いたこ焼きでも、立地が悪ければ廃業してしまうこともありえます。また、客単価を上げることが難しいからこそ、回転率を上げる工夫も大切です。
この記事で紹介したポイントを参考にして、たこ焼き屋の開業を成功させていきましょう。